誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第一話 後輩暴君の暴挙

04※微

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 そうこうしている間に、三初はプリンで濡れた俺のシャツを掴んだ。

 暴れる俺の腕を両方一纏めにして、デスクチェアーの背もたれの後ろでぐるぐると拘束する。

 ねじりつつ巻きうけられたシャツは、キュッと結び目が食い込むとなかなか解けない。その上背もたれの後ろで縛った腕をデスクの下に潜り込ませられてしまう。

 チェアーは三初が足で押さえつけているから、俺は腕を上げることができなくなったわけだ。

 いや、嘘だろ。

 俺は最早睨みつけながら吠えることしかできず、嫌がらせとしか思えない暴挙に出た三初を、射殺さんばかりに睨みつけた。


「テメェ、俺を恥さらしな格好にしてなんのつもりだコラァ……ッ!」

「いや、なんか……勃ったんで、ヤラせてください」

「は?」


 ……なんて言った?
 このクソ野郎は。

 まさに青天の霹靂。
 あまりに言っていることが理解できなくて、というか理解したくなくて、唇の隙間から間抜けな声が漏れる。

 三初はあんぐりと口を開いたまま硬直する俺を無視してデスクの上の缶を傾け、流動体のぷるぷるとしたプリン液を手のひらに少し取り出す。

 そして綺麗な手のほうで、グッと俺の足を抱え上げた。……いや、なんでだッ!?


「……はっ! 待っ、ッヒ……!」


 俺が我に返って抵抗の声を上げるより早く、三初の手のひらのプリン液が俺の臀部に垂らされ、その冷たさに体がビクッと跳ねる。

 ゾワァ、と鳥肌がたった。
 冷たい、気持ち悪い、ヌルヌルする。状況も悪い。意味がわからない。

 理解できない状況に白黒している間にも、外気に晒されヒクつく穴に、ヌチャヌチャとプリン液が塗りこめられていく。

 俺は全身の肌を粟立て、血の気が引いた引き攣った表情のまま震えながら、ただ混乱することしかできない。


「ぎゃッ……テ、テメェ先輩になにしてるかわかって、うぉッ……!」

「わかってますって。先輩とセックスするんですよ。ね?」

「ね? じゃねぇ! 気持ちわりィ……ッ、抜け……ッ!」


 必死の抗議を受けても、三初はあっけらかんといつもの悪戯っ子のような笑みでニヤリと笑う。
 ヌルヌルとぬかるむ穴にプリンを纏った三初の指がズップリと入り込んできて、俺はさぁぁぁ……っと青ざめた。

 ──こいつ、本気だ……!
 本気でただ勃起したから手近な穴で適当に処理しようとしてやがる……!

 相手の意図と本気度を正しく理解した途端、焦燥が頭の先から駆け巡った。

 俺の知る三初 要という男は、本気ではなさそうな声で言ったとしても、やると言ったらやる男なのである。

 クソ、なんでそうなるんだ。
 三十路目前男にはわかんねぇ。仕方ねぇからって職場の男の先輩のケツで妥協できンのか? 頭大丈夫かよ嫌だもう若者怖い。

 勃起したら処理したい。抑え切れない性欲を持て余すのはわかる、男だから。
 でも若さ故の過ちで先輩犯すなんて思考はこれっぽちも理解できねェ。

 だとしても俺を選ぶな。
 隣のデスクの竹本とかにしろよ。竹本彼女いねぇって、俺もいねぇけどよ!

 思考回路がショート中で迷走して現実を直視したくない俺を置いて、中の指をクルクルと入り口を拡げるように捻じりながら、根本まで深く押し込まれる。


「ヒッ……!」

(き、気持ち悪ィィィィ……ッ!)


 腹の中が奇妙で苦しい。
 腰の付け根がそわそわする。内壁がキュゥ、と指を締めつけた。

 自分の中を他人の指が好き勝手に蹂躙する形容できない異物感が俺を襲う。
 強引に拡げた入り口から、ギチッと二本目が滑り込んだ。


「はっ、ぅ……っ」

「狭ぇな……三本目挿れますよ」

「イッ……!? ッてぇな! この、いいって言ってねぇのに……ッ今の絶対切れただろチクショウッ」

「ダイジョーブダイジョーブ。切れてませんからさっさと力抜いてネー。ほら俺痛くしないから。絶対悦くするから」

「いやだから嫌とか以前にテメェに好き勝手されんのが腹立つ、ッゔ」


 どうにか二本の指を納めた胎内へ早急に三本目の指が押し込まれ、乱暴な拡張にぴりっと皮膚が悲鳴を上げる。だから許可してねぇって言ってんだよ耳かきしてやるから聞け!




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