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第六話 敗北せよ悪魔ども!

18(side?)

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『ポンコツ相手でも油断はない……! クゾウを確保しホームに誘い、同じく呪いの強いキューヌにニューイの呪いを邪魔させ、発動するより早く殴り飛ばす真っ直ぐな作戦だったんだ……っ! それがこうなって、グヌヌ……っあいつらがイチャイチャするなんて不愉快だぞっ!』


 根が比較的真面目なドゥレド。

 確かにキューヌが気まぐれを起こさなければ、ちょっとクリアするのが難しい難易度の危機が訪れていたと思う。

 しかも九蔵はニューイと気持ちが噛み合っていなかったので、焦りと負い目からニューイに申し訳が立たずどん底に落ち込み、なかなか困ったシリアスに突入していたはずだ。

 それだけ本気で挑んだドゥレドだが、二転三転。現在、舌蔵と愚痴タイム。同情しかない。


「そう落ち込むなよ。なんならもう今回は諦めておいて、俺が俺だってわかったんだし次のチャンス待ってみよーぜ。な?」

『そんなに待たせられない……一刻も早くア、オレはニューイをこちらへおびき寄せたかった……はぁ……』


 居心地が悪くなった舌蔵が慰めると、ドゥレドはのっそんと座り込んでプルプルとクマの顔を振った。

 すっかり元気がない。
 憎き悪魔といえど実に侘しい。

 目の前で他人に落ち込まれると放置するのは世論的に酷い気がしてやりにくいタイプの舌蔵は、どうしたものかと悩ましくなる。

 悩みの中でふと、そういえばそもそもなぜニューイをおびき寄せたいのか、目的を聞いていなかったと思い出した。


「えと、ドゥレドの目的って、ニューイを悪魔の世界に呼び戻すことなのか?」

『あぁ。個人的にはその過程でうっかり殺してもいいとは思っているがな』

「うっかり殺さないでください」

『悪魔ジョークだぞ』


 ジョークで人の彼氏を殺さないでくれ。
 悪魔のジョークはいつもタチが悪い。


「なんでですか」

『王の役目をまっとうさせるためだ。広がる土地を管理する王が足りない。のに、ニューイが悪魔王様の申し出を断ったからこうなる』


 しかし苦笑いしたい気分の舌蔵が尋ねると、ドゥレドはもっすんと不遜な態度で腕を組んだ。

 そうか。そういえばニューイは王の位があるのだった。おそらくクリスマスはその関係で呼び出しを食らっていたのだろう。

 そしてニューイは断った、と。


「悪魔は欲望の権化だぞ? 権力はいくらあっても困らない。気に食わなければ土地ごと燃やせばいい。裁判は全て個人裁量。楽なもんだ。嫌がるアイツはイカレているな」


 出世の辞退を理解できないドゥレドは、不満しかないと舌蔵に愚痴を吐き続ける。

 流石は悪魔優秀生だ。
 悪魔落第生のニューイとは真逆に近い。

 話を聞いて一応ドゥレドの不満を納得するが、ふと疑問がわいた。

 ニューイは悪魔王の命令は聞くので、そんなに困るなら命令すればいい。しかしそれをせずドゥレドとキューヌがやってきた。

 そしてキューヌが気まぐれに抜けられるならば、悪魔王の命令じゃないことになる。


(そんな愚痴が止まんないくらいニューイが意味不明で言うこと聞かせんのが大変なら、ドゥレドもやめればいいのに……なんでやめねぇんだ?)


 素朴な疑問。

 悪魔はみんな嫌なことはしない。
 あのニューイですら、家事を任されたが一向にできなくて爆発した前科持ちだ。ズーズィは言わずもがな。

 それにニューイを必要以上に敵視する理由も、九蔵に向ける奇妙な感情の意味も、なにかある気がする。

 なにか。なにかとは。

 ぐーるぐーると本体の思考を経由して脳のない舌蔵がしばし考えると、もしかしての可能性程度にオトメ脳が閃いた。

 言ってもただのジョークだ。冗談半分のそんなわけないよな系のヒラメキ。


「えーと、ドゥレドさん」

『なんだ』

「もしかしてお前さんがニューイを敵視して俺に妙な感情を抱いてる理由って──……」




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