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十五皿目 正論論破愛情論

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 荒い呼吸を整えられずぐったりと横たわる。栓を失った後孔はクッパリと開き、切なげに収縮を繰り返す。

 まだ足りない、なんて思考は二度射精した後でも芯を持つ屹立と、誘うように動く口が物語っていた。

 後ろから犯されていたせいでわけもわからず抱かれた俺の体を、逞しい腕が抱き、仰向けに転がす。

 ギシ、と軋むベッド。

 大きく開かれた脚を抱えられ、奥に出された種が蠕動により溢れる前に、萎えない凶器が根元まで一息に突きこまれた。

「は、あぁ……っ!」

 ボヤリと滲む視界がクリアになる前に内側からの快感に脳がショートし、ビクンッ、と背がしなる。

 身悶える俺の唇にチュ、と触れるだけのキスが送られ、言葉もなく抽挿が開始された。

 挿入こそ容赦のないものだったが、一度目より幾分ローテンポにトントンと内部を犯され、滲んだ視界が月明かりに照らされる男の姿を鮮明に映し出す。

 いつもと同じではない、黒い軍服のようなデザインの礼服を着ている。

 軽く抱いたくらいじゃそれほど汗もかいていない涼しげな面立ち。

 相変わらず色気のある切れ長の目元を甘く緩ませ、ニヤリと本人にそのつもりはなくとも高嶺に見える笑みを見せる。

 俺の全身を余すところなく視姦しようと体を密着させずにいるものだから、よく見えた。

「ん、アゼ、ル、はっ……おかえり、だ」
「ただいまだぜ、シャル」

 ふらりと左腕をあげて手を伸ばすと、その手が取られ、心得たように薬指のリングにキスをする。

 うん。怪我はなさそうだし、なにか精神にも干渉された様子はないな。

 一ヶ月ぶりの再会なのにセックスと同時進行という欲望に忠実なところも、いつも通りのアゼルだ。

 俺は安心してヘラリと笑みを返し、両腕を伸ばす。

 それを受け入れたアゼルがベッドと体の間に割り込んで俺の背に腕を回してくれたので、俺は彼の首に腕を巻きつけた。

 おかえりのハグは習慣だ。
 どこにいても、俺たちは夫夫で、お互いを想っている。

 今までなにをしていたかだとかなにが起こっているんだとか、そういうことは聞かない。

 アゼルのオニキスの瞳は雄弁で、おそらく厄介事が起こっているだろうにそれらを露聊かも気にせず、今は俺にしか興味がないのだ。

 もちろんそれは俺も、同じく。

「あぁぁ~……永久にここにいてぇぜ……」
「ン? んっ」

 一ヶ月分しっかりめにハグを交わし、今度は唇を重ねて、舌を絡め合う。

 アゼルは真剣に俺に永久就職したい旨を伝えてきたが、もうお前は俺のものだろう? 今更なにを言っているのやら。

 唇が塞がれているので言葉にできない。

 代わりに背骨を丸めてなるべく受け入れやすいようにすると、濡れた怒張が媚肉をかき分け出入りを繰り返す。

 二人の間で存在を主張するものから、先走りが滴った。互いの吐息で呼吸していることに、酷く興奮する。

「はっ……あっ……ぅあ……っ」

 唇が離れると共に、抑えられない喘ぎ声が上がる。感度アップの賜物だな。

 ズプッズプッと激しい抽挿に合わせて「んっ、は」と断続的にこぼす声。俺の背に押されたベッドが軋む。



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