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十五皿目 正論論破愛情論
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しおりを挟む「ふ、もっと……、噛んで……」
片手では物足りなくなり、手紙から手を離して、空いた片手で上衣のボタンを外し、乳首を指先で強くひねり上げた。
「あっ……! っ……ぁ、う……」
途端、少し大きな声が漏れ、慌てて唇を噛み締める。
護衛の観点から隣の部屋ではリューオが眠っているのだ。
あまり声を出すとバレてしまう。
もし襲撃だと思われて乗り込んでこられたら、俺の寝床は墓場になる。
是非埋め立ててほしい。頭まですっぽりお願いしたい。
ゴク、と喉が鳴る。
──バレてはいけないが……もうやめられない……。
「っ……、あ、ンぁ……」
俺は再度慎重に両手を動かし、自らが与える快感を追い求めた。
キツく目を閉じたせいで敏感になった肌は、元々あらゆる手管で感度を高められていたこともあって、どう触れても気持ちがいい。
むき出しの粘膜を強弱をつけて擦り上げるとたまらないことを、知っている。
勃起した胸の突起をつまんで手のひらで転がし、押しつぶし、絞るように捏ねると腰がゾク、と痺れることも、知っている。
「ひっ……ア、ゼル……、っ気持ちいい……ふぁ……だめ、だ……っ」
それは全部、ここにはいないアゼルが教えたことだ。
俺を知らない土地で不穏な気配にさらされる夜でも、一人で自分を慰めるいやらしい体にしたのは、アゼル。
アゼルのせいで体が疼く。
アゼルがいないから自分でこんなことをしている。
だからつまり、俺がいやらしいのは、アゼルのせいだ。俺が望んだわけじゃない。
クチュクチュと先走りでドロドロの陰部が粘着質な音を奏で、こみ上げる精を吐き出そうと脈打つ。
近づく絶頂に手の動きが早くなり、呼吸の乱れが激しくなった。
「アゼル、いく、アゼル……っ、ふ、うあ……っぁ、あぁぁ……っ」
目の奥が真っ白に感光する。
絶頂の瞬間、俺は目の前の手紙に噛み付き、唾液でそれを汚してしまった。
そして直後に一際大きくビクンッ、と体が痙攣し、手足をグンと伸ばして、つま先をきつく丸める。
ビュクッビュクッ、と勢いよく断続的に手の中に迸る熱い精液。
下着にこぼれないようにと指をカリ首に引っ掛け、丸めた手のひらが白濁液でまみれた。
「あ、っ、は……はっ…、…っあ…っあ……」
ピクン、ピクンと小刻みに痙攣しながら、荒い呼吸を整える。
ジワリと滲んだ汗が額をつたってシーツに落ちた。
開いた唇からゆっくりと離れた手紙が銀の糸を引いて、プツ、と切れる。
それをしばしぼんやりと眺めながら、俺の体は未だに熱を持て余し、理性が崩れたまま戻らなかった。
──……足りない。
ゾクン……ッ、と腹の中が疼く。
寂しい。物足りない。普通に達しただけでは、もう満足できないのだ。
今の俺は脱げかけの下衣を上掛けの中で取り払うのに、なんの躊躇もなかった。
「ひっ……ん、んん……」
精液でたっぷりとヌメった手をそのまま奥へ伸ばし、解すように窄まりに擦りつけた後。
そっと指を一本、ちゅぷ……、と埋め込む。
キュウ、とキツく締まった狭い排泄器官は、本来の目的とは裏腹に、自ら誘い込むように内部へと蠕動する。
意識しているわけではないので、これは何度も繰り返し抱かれたことで身に付いたものだ。
すっかりアゼルに抱かれるための体に変えられてしまったな……、と、自分で中を拡張する時いつも思う。
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