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十四皿目 おいでませ精霊王
52※
しおりを挟むそれからどのくらいが経過したのか。
俺はひたすらご機嫌なワンコに、抵抗虚しく嬲られていた。
「ん、っ……く、アゼル、俺は……んっ、て、照れている、っ照れているんだ……っ!」
耳まで赤く染まった俺は、懸命に自分の感情をありのままで伝える。
快感に流され淫靡に火照る肢体は、しっとりと汗ばみ、呼吸は荒く乱れていた。
なにがここまで恥ずかしいのかは、自分でもよくわからない。
昔は抱かれる姿を見られるのは恥ずかしかったが、慣れた今は、明るい場所で抱かれてもそれほど羞恥を感じなかったはずだ。
恥ずかしいけれど、それすら興奮のスパイスになる程度の羞恥である。
けれどこの状況は、凄く恥ずかしい。
「も、う……っ恥ずかし、いっ……ん、ひ……っぁ……くっ……っ」
これをされるくらいなら、アゼルがしてほしいと言うことを、なんでもしてもいいと言いたいレベルだ。
女装だろうがSMだろうが、野外だろうが剃毛だろうが、あれやらこれやらと受けて立とう。
(だからこの、俺の後ろを中まで舐めるというのは、か、勘弁してくれ──!)
声を大にして、心で叫ぶ。
だ、だってこれは、なんだか凄く、凄ーく恥ずかしいんだぞ……!
顔から火が出る勢いで羞恥に焼かれる小さな俺が、脳内でバタバタと走り回った。
嫌なのかと尋ねられると嫌ではない。
気持ち悪いかと尋ねられても、気持ちいいとしか言えない。
しかし嫌じゃなくて気持ちがいい自分が、余計に恥ずかしいのだ。
アゼルが入口を解すように舌を抜き差しするたびに、クチュ、クチュと真っ赤な舌と白い牙の隙間から、いやらしい音が鳴っていた。
不意にチュ、と軽く吸われると「あっ」と軽率に甘い声が漏れてしまう。
ほら見たことか。
いいか? 冷静に考えるんだ。
俺は今、魔物形態になった旦那さんに直腸の入口を口で愛撫されて、しっかり感じる奥さんなんだぞ?
どう考えても、三百六十度卑猥な存在になってしまっているじゃないか。
「そんなのだめだっ! お、俺は夫と娘がいる、立派な、んっ……ぅ、っ……あ、アゼルぅぅ~……っ」
「アゥン」
混乱する俺の言い分は当の夫が機嫌よくひと鳴きし、一蹴された。酷い。酷すぎる。
浅いところばかりを攻められ続け、焦れた内部がうねる。
普段は指でもっと奥を好きなだけ感じさせてもらっている俺は、物足りなさすら感じていた。
けれどめげずに硬い意思を持って、口だけはアゼルを宥めるべく、懸命に抗う。
「ぁ…あ……っ許してくれと、言ってっ……ひっ、あっ…ぁ、んっ……」
「ガウゥ」
「あああ違うっ、違うぞっ? 喜んでないからなっ? 断じて今のはそうじゃっ、ん、んん……っ」
「ウゥン? グルル」
「ぅあっ……! き、気持ちいいのは認めるがっ……人型ならシてもいいって言ったんだ……っ。そしてそこはもう、もういいだろう……っ!?」
十分すぎる程解され、グチャグチャと柔らかく蕩けきった後孔がきゅんと戦慄く。
アゼルの持ち前の執拗な愛撫により、蜜を垂らす肉茎は、完全に勃起させられていた。
それでも、まだ負けていないんだ。
(た、例えHPがレッドゲージでも、アニリングスからの獣姦は、変態を極めすぎている……!)
こら。だから手遅れだとか言わない。
理性がある限りトロトロに感じていても、俺は抗って見せるとも。
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