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十四皿目 おいでませ精霊王

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 それからどのくらいが経過したのか。

 俺はひたすらご機嫌なワンコに、抵抗虚しく嬲られていた。

「ん、っ……く、アゼル、俺は……んっ、て、照れている、っ照れているんだ……っ!」

 耳まで赤く染まった俺は、懸命に自分の感情をありのままで伝える。

 快感に流され淫靡に火照る肢体は、しっとりと汗ばみ、呼吸は荒く乱れていた。

 なにがここまで恥ずかしいのかは、自分でもよくわからない。

 昔は抱かれる姿を見られるのは恥ずかしかったが、慣れた今は、明るい場所で抱かれてもそれほど羞恥を感じなかったはずだ。

 恥ずかしいけれど、それすら興奮のスパイスになる程度の羞恥である。

 けれどこの状況は、凄く恥ずかしい。

「も、う……っ恥ずかし、いっ……ん、ひ……っぁ……くっ……っ」

 これをされるくらいなら、アゼルがしてほしいと言うことを、なんでもしてもいいと言いたいレベルだ。

 女装だろうがSMだろうが、野外だろうが剃毛だろうが、あれやらこれやらと受けて立とう。

(だからこの、俺の後ろを中まで舐めるというのは、か、勘弁してくれ──!)

 声を大にして、心で叫ぶ。

 だ、だってこれは、なんだか凄く、凄ーく恥ずかしいんだぞ……!

 顔から火が出る勢いで羞恥に焼かれる小さな俺が、脳内でバタバタと走り回った。

 嫌なのかと尋ねられると嫌ではない。
 気持ち悪いかと尋ねられても、気持ちいいとしか言えない。

 しかし嫌じゃなくて気持ちがいい自分が、余計に恥ずかしいのだ。

 アゼルが入口を解すように舌を抜き差しするたびに、クチュ、クチュと真っ赤な舌と白い牙の隙間から、いやらしい音が鳴っていた。

 不意にチュ、と軽く吸われると「あっ」と軽率に甘い声が漏れてしまう。

 ほら見たことか。
 いいか? 冷静に考えるんだ。

 俺は今、魔物形態になった旦那さんに直腸の入口を口で愛撫されて、しっかり感じる奥さんなんだぞ?

 どう考えても、三百六十度卑猥な存在になってしまっているじゃないか。

「そんなのだめだっ! お、俺は夫と娘がいる、立派な、んっ……ぅ、っ……あ、アゼルぅぅ~……っ」
「アゥン」

 混乱する俺の言い分は当の夫が機嫌よくひと鳴きし、一蹴された。酷い。酷すぎる。

 浅いところばかりを攻められ続け、焦れた内部がうねる。

 普段は指でもっと奥を好きなだけ感じさせてもらっている俺は、物足りなさすら感じていた。

 けれどめげずに硬い意思を持って、口だけはアゼルを宥めるべく、懸命に抗う。

「ぁ…あ……っ許してくれと、言ってっ……ひっ、あっ…ぁ、んっ……」
「ガウゥ」
「あああ違うっ、違うぞっ? 喜んでないからなっ? 断じて今のはそうじゃっ、ん、んん……っ」
「ウゥン? グルル」
「ぅあっ……! き、気持ちいいのは認めるがっ……人型ならシてもいいって言ったんだ……っ。そしてそこはもう、もういいだろう……っ!?」

 十分すぎる程解され、グチャグチャと柔らかく蕩けきった後孔がきゅんと戦慄く。

 アゼルの持ち前の執拗な愛撫により、蜜を垂らす肉茎は、完全に勃起させられていた。

 それでも、まだ負けていないんだ。

(た、例えHPがレッドゲージでも、アニリングスからの獣姦は、変態を極めすぎている……!)

 こら。だから手遅れだとか言わない。
 理性がある限りトロトロに感じていても、俺は抗って見せるとも。



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