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十四皿目 おいでませ精霊王
50※微
しおりを挟む俺を舐めるアゼルの舌は体が覚えていた。
けれど今そうしているのは、狼の姿のアゼルなのだ。
普段よりずっとイケないコトをしている気分にならざるを得ない。
アゼルが触れるから仕方ないんだが……。
動物という無垢な存在の行動に快感を感じ始めてしまう自分が、なんだか罪な男に思えてブルリと身が震えた。
嫌じゃないから困り果てているだなんて。
(そんな体にしたのも今の現状も、全てアゼルのせいだぞ……!)
牙が擦れると、皮膚が弱い急所は僅かに痛んだ。
食べられそうだと危惧し、オドオドとビクついてしまう。
けれど柔らかだった陰茎は次第に芯を持ち、屹立し始める。
(もしかして俺という男は、いろいろと手遅れすぎやしないか……?)
アゼルの唾液以外の湿りを帯びている自身が、もっとと強請っているかのように感じた。
「ふ、ぅ、駄目だ、駄目……っ、アゼル……っ、んんっ……」
腹筋の要領で上体を起こし、アゼルの頭を抱えて、痛くないように毛皮を引っ張りながら訴える。
これ以上感じてしまうと、後戻りはできなくなってしまう。
大腿を伝う淫液が、クチュ、と警告音を鳴らしている。
「姿を戻したら、シてもいいと言っているのに……っく、そこを舐めるのは、やめてくれ……ぁ、あ……っ」
のしかかるように太ももを押さえつけられ、足を閉じることが叶わず、だ。
俺は抱えたアゼルのモフモフな頭に額を擦り付け、懇願することしかできない。
「ウォンッ、ゥウ」
「っあ……っ! 本当にそれは駄目なやつだっ、あっ、よ、よーしよーしっ? アゼルはいい子だから、そこは……っ、あ、まっ」
「アォンッ」
(なんで俺が駄目だと言えば言う程機嫌が良くなるんだ、この困ったさんは……!)
よくわからないが、アルコールでバグったミラクル思考回路で、駄目をもっとと受け取ったらしい。
いや、それはいつものことだったかな。
うん。だったかもしれない。
とにかく鼻先で軽く俺の尻を持ち上げるアゼルの舌は、あろうことか割れ目の奥を探り始めた。
「そ、こ……っん、そこ汚いぞ……!? 恥ずかしい、あ、アゼルぅ……っ」
カァァ……ッ、と頬を赤く染めた俺は、目を剥いて驚いた。
いやわかる。
わかりたくないがわかる。
狼化したアゼルが、そのままいつも通りに俺の後ろを解せるわけがない。
そうなれば舌を使うのは野生のイヌ科とてそうだろう。本能だ。
結果──アニリングスというあれである。
(は、恥ずかし過ぎる……ッ!)
そりゃあ風呂には入ったばかりなので、体は綺麗に洗っていた。そこも綺麗だ。
けれど、そういう問題じゃない。
正直に言うといくらアゼル相手でも、そこを舐められるのは、少し覚悟を決めないといけなくなる。
かなり本気だぞ。
なぜなら、〝そこを舐められて感じる自分が、すこぶるふしだらな男のようで、恥ずかしい!〟という理由に尽きるのである。
手遅れだということは言いっこなしだ。
俺は変態だが、まだ手遅れではない。
……と、思っている。
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