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十四皿目 おいでませ精霊王
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しおりを挟む「あ、あぁっ。キャット、好感度検査をすると言う約束を、すっかり忘れているぞ……!」
ほんの少し離れたところに生えている木。
そこから顔を覗かせ、ハラハラとことの行く末を見守る俺は、気が気じゃない。
あの後、俺とキャットは告白の予行練習を繰り返し、気合を入れた。
そして満を持して、ゼオが帰ってくる時間に間に合うよう走ってここまでやってきたのだ。
けれど監修・俺の〝好きです、付き合ってください〟は、残念な結果に。
キャットの悪い癖によりちっともゼオに伝わらないまま、顔面スライディングで終わってしまった。
「んん、しゃる~……? にゃんにゃんは……?」
そうしてハラハラと心配する俺の肩の上で、幼い娘の眠そうな声が聞こえる。
ついさっきまで部屋のベッドですやすやと眠っていた、タローだ。
お昼寝をしていたタローを置いていくわけには行かないので連れてきたのだが、まだ眠いみたいだな。
今回の俺の付き添いは、部屋を出る前にキャットから付いてきてほしいと頭を下げて頼まれたことに、起因する。
頼まれた俺は、初め、タローを置いて外へ行けないと拒んだ。
かと言って起こすのもかわいそうだと悩み、考えることしばらく後。
悩ましい二人の会議は、いいタイミングで目を覚ましたタローによって解決した。
眠気眼をこするタローは俺が行くならついていくと言い張り、自力でいつもどおり俺の肩によじ登って、また眠ったのだ。
なんともかわいらしい。
どこまでも連れて行こう。
親離れも最近はできていて、知っている人が居れば泣くことはない。
それでも、離れるのはまだ寂しいと思ってくれているみたいだな。
閑話休題。
取り敢えず、そういう経緯だ。
目を覚ましてから一緒にいた筈のキャットがいなくなっていて、タローはキョロキョロと目を擦りながら、あたりを見回し始めた。
「にゃんにゃんいないねぇ~」
「うん。にゃんにゃんは、一世一代の大勝負に出ているんだ。でもどうしよう……! うまくいっていないぞっ」
「にゃ、にゃんにゃんっ! しゃる、助けに行かなきゃ!」
「そうだな……!」
真剣そのもので助太刀を決めた俺は、タローと顔を見合わせ、コクリと頷く。
ようし、俺たちでキャットを支援して、告白ぐらいはまともにさせてあげなければ。
返事はゼオ次第だが、気を配るくらいの助力は、許されるだろう?
キッとキャットたちがいる方向を睨みつける。
すると、燃え盛るボールを召喚魔法域に消したリューオが、こちらを胡乱げに見つめていることに気がついた。
むむ、見つかってしまった。
非常に呆れた視線を感じるが、ここは親指を立てておこう。
タローも真似して親指を立てた。
親子サムズアップだ。
リューオがそれを見て手を上げたので、親指を立て返してくれるのかと思われた。
が、無言で『帰れ』と手をさっさと振られてしまう。
なんて冷たいんだ。
一世一代の大勝負なのに。
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