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閑話 ガドと愉快な仲間たち
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しおりを挟むタローは悪く使うのは、と言う言葉でガドのことを思い返したらしい。
またぷくーっと頬を膨らませて、俺の服を掴んだまま二人を睨みつける。
「ぐるぐる、でびでび、みんなでがどくんいじめた……だからね、しかりにきたっ」
「うっ! うぅ……」
「がどくん、いたいいたいなんだよ~っ。しゃるとまおちゃんがゆるしても、わたしはおこるよっ」
「いやあのタローちゃん、俺ら全員瀕死になったし、執行猶予期間中だからまだ魔王様には許してもらえてない……」
「? だめ、おこるよっ」
「うぐぅ……っ!」
めっ! と叱られ、グルガーたちはしょんぼりと尾を垂らして反省した。
流石に子供に叱られると、気持ち的にも罪悪感があるようだ。
「がどくんいいこ、ね? ぐるぐるたちも、はたらきものだから、いいこになるでしょ? そしたら後でしゃるのおかし、分けてあげるね」
「お、お菓子? まぁその取り敢えず、俺らとっても良い子になるぜ。……まさか彼女じゃなくて、義兄弟の更に義家族で、姪っ子だったとはな……」
「きょうはおかし、ぴーなつせんべ! あのね、じゃあねっ、みんなおでこんってしてならんで~。ぴんする~」
「ぴん、うん?」
話を終えると、首を傾げるグルガーたちに、タローは胸を張った。
そして俺の肩に登りたがったので、元通りに乗せてやる。
なにがなんだか言われるがままにぞろぞろと一列に並び始めたリンドブルムたちが、タローの前にやってきた。
俺は取り敢えず話の流れを察したので、一つの紙袋を手の中に召喚して待機する。
するとタローは案の定──額を突き出すグルガーのそこに、小さな指でピンッ、と痛くも痒くもないデコピンをした。
「うひっ」
「ん、お仕置き終了。幼児が手を出すくらい、八つ当たりや逆恨みで誰かを傷つけるのは、よくないことなんだぞ?」
「ぉうあっ、わ、わかった、けど、えっ」
「うん。わかったらほら、甘いものが苦手じゃなければ、お菓子を食べて休憩しておいで」
「えう、うっ、えっ」
デコピン、お菓子、このループ。
屈強な竜人が行儀よく並んでお仕置きを待っているのがかわいい気がして、なんだか和む。
タローは真剣そのものでご立腹で、竜人たちも注射の順番を待つ子どもみたいだから、俺もちゃんと真面目に言い含めているぞ。
ガドがしょげかえって部屋にやってきた時は、どうなることかと思った。
けれどなんとか被害者と加害者の両方が、平和的に解決したかな。
今後共、あんまり俺の大事な友人をいじめないであげてほしいものだ。
でないと魔王城一家総出で、デコピンをしないといけなくなる。
(パパなアゼルとお父さんな俺。娘のタローと、ママなライゼンさんに、お兄ちゃんお姉ちゃんなリューオとユリス。タローに優しいキャットは近所のお兄さんで、ビジネス対応だけど面倒みのいいゼオは先生かな)
マルオたちは飼いコウモリ。
信号機カラーの竜人三人組は、うーん……遊び仲間だから、お友達かな。
楽しい魔王城の家族を思い出して、俺はふふふと笑う。
血の垣根を越えたうちの仲間たちは、みんな、ちょっと過激な家族思いの優しいファミリーなのだから。
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