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閑話 ガドと愉快な仲間たち
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しおりを挟む──後日談。
あの後、リンドブルムたちはウェルカム誘拐犯状態の魔王城で、それは見事な無駄のない流れの元裁判にかけられた。
判決は当然有罪だったわけだが、刑に関しては実刑を免れることに。
アゼル直々の鉄拳制裁があって、もう二度とあんな馬鹿な真似はしないと誓い、念書を書かされ執行猶予付き判決となったのだ。
反省文も原稿用紙百枚書かされていた。
ボコボコにされるのと同じくらい反省文を書いている時が死屍累々だったので、竜人はやはり勉強や机仕事が苦手らしい。
魔界、やはりのどかだ。
そんな彼らはリーダーのグルガーを筆頭に、現在、丸ごとチームとして奉仕活動をしている。
監視の意味を込めて、空軍の輜重隊(いわゆる戦闘において食料や備品等を運ぶ部隊だ)に就職することになった。
いやはや。
空軍に入れなくて拗ねていたのに、執行猶予で空軍所属になるとは、いかに。
なぜ彼らの事情を知っているかと言うと、一応裁判なので、犯行動機やら諸々の事情やらの調書を取ったのである。
その結果、わかったこと。
リンドブルムたちはなんと言うか……概ねガドに対する〝羨ましくて妬ましい〟を原動力に、一致団結していたらしい。
逆に凄いな。
魔族は元々感情表現が豊かでゴーイングマイウェイだが、竜人は特にそうだ。
話を聞くと、まず、過去にリンドブルムの村で暮らしていたガドから、彼らは侮辱を受けたと言う。
ガドはあのとおり、破天荒でマイペース。
今のタローくらいの歳だった昔は、それはもう輪をかけて破天荒だったようだ。
水浴びで溜池を泳ぐと、うっかり毒を撒き散らして生活用水が麻痺毒まみれ。
それを中和しようと無効化毒を滲ませれば、間違って睡眠毒を垂れ流す。
悪気はなく、子どもなりにどうにかしようとした結果だ。
ガドは叱られて益々村八分にされたが、そこで抱え込むガドではない。
やっちまったぜとライゼンさんに泣きついて、相談を受けたアゼルが秒で新しい溜池を作ったとか。
更に当時、歳に合わない戦闘力を持つ彼だから、獲物を狩る担当として狩猟を行っていた。
つまり食料を献上する代わりに、村に置いてもらっていたのだ。
三ヶ月で戦闘ができるようになる竜種としては、おかしくない。
本人もちっとも苦ではなかったそうだ。
なので、意気揚々と食料調達を行っていた。
だが、ある日ガドがお裾分けだと近所に投げ込んだ魚達には、問題があった。
それは、食べるとスタミナ低下のバッドステータスを受ける、残念な毒がついたお魚だったのである。
本人はそんな魚は投げてないと笑っていたが、笑えないのがバカデビ(とガドが名前を教えてくれた竜人だ)を筆頭としたご近所のリンドブルム。
顔に当てられて体がだるおもだった抗議する竜人たちと、記憶にございませんの一点張りなガド。
意見が食い違うので、裁判官とライゼンさんが話し合った結果──真実は〝ガドの手から毒が滲んでいて、気付かず魚を手掴みで投げた〟だ。
悪意のある嫌がらせではなく、事故だった。
真相を知ったガドはニンマリとしていたが、尻尾をへたらせていたぞ。
あぁ見えて繊細だからな……。
忘れていたり知らなかったことを思い出して、落ち込んでいるんだろう。
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