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閑話 ガドと愉快な仲間たち
22(NOside)
しおりを挟む昨日まで更新が遅れて申し訳ないです(土下座)
予約ミスであります。悲惨なり……!
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現代世界なら通報待ったなしだが、見た目と年齢が当てにならない魔族の住む魔界では、特に法で縛られていない。
仮に生まれたての赤子に求婚しようが、周囲の目が「あ~……そういうアレ……?」となるだけで、問題にはならなかった。
された側は大問題だが。
本人たちがいいならそれでいいのが魔界。
そんなリンドブルムにとって、番の有無は重大なステータスだ。
更に元々魔族は繁殖能力が低く女性が生まれにくい為、彼女なしのおひとり様があちらこちらに溢れている。
女性の希少性は高騰し、守られる女性たちはそれに報いて、例え一妻多夫でもきちんと愛を返す。
それもあって魔族の男性は、性に奔放だが愛する女性に尽くす者が多いのが、特徴だ。
また女性も美に磨きをかけるのが常で、メンタルと押しが強い。
おかげで力で劣ろうが軽んじられることはほとんどなく、基本的に主導権は女性にあるのが一般的だった。
これらを総括すると、こうだ。
竜種であるリンドブルムは同族にマウンティングが激しく、幼い容姿の女性が好きで、彼女なしのモテない日々を嘆いている。
──とくれば、だ。
「ぐすっ、りゅ、りゅーじんさんたちは、きらいっ! いたいのは、よくないっ……! がどくんをいじめるなんて、とんでもないんだよぅっ! わたし、かじるっ! ふんっ!」
「「「お、おのれシルヴァリウスッ!!」」」
──当然、こうなる。
タローは檻の中で手も足も出なくても決して恭順せず、幼児なりに言いたいことを懸命に伝えた。
プイッとどこかの魔王のようにそっぽを向くタローは、気高き幼女だ。ドストライク幼女だ。
だからこそ、モテないリンドブルムのガドに対する対抗心に、火柱を上げさせる着火剤となっていたのだった。
全員が涙目なのはお察しだろう。
詳しくは触れないであげてほしい。
だが仮にこの中の誰かがタローを射止めたとしても、超えなければいけない壁は魔界の幹部が揃い踏みということは、彼らの知らない話である。
そうしてタローも含めた至って真剣な悪ガキたちが騒ぎ立てて、しばらくが経った頃だ。
残念フィールド・フォレクスリール郊外に、突然木々の隙間から大きな影がかかった。
それに気がついたところ瞬きする間に影が縮み、リンドブルムたちの目の前へ、一人の男が舞い降りる。
それは待ちかねた小憎い銀の竜──元魔界軍空軍長官であるはずのガド、その人だ。
ガドは腕の肉が何度か毟られ自動回復でボロボロになり、先の刺から体内に直刺しされる毒対策に、尻尾は三分の一もげていた。
だがガドの様子は元気はつらつそのものだ。
土埃や血で汚れていた真っ黒い軍服も糊の効いた綺麗なもので、見る限り傷一つない。
タローの様子を横目で素早く確認する様は先ほどと変わりないが、ニマニマと機嫌の良さそうな笑みを浮かべているのは、どうしたことか。
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