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閑話 ガドと愉快な仲間たち
07(sideタロー)
しおりを挟む大丈夫だよね。
きっとこれでいいと思う。
だけど自信は、ちっともない。
私が間違っても失うものはなくて、いつだって優しいみんなが正解するまで、何度もえらばせてくれていた。
今は一人だ。
生まれてすぐでも、魔族は一人でも強くないといけない。
(私はせーれー族だけど、まおちゃんは魔族の王様で、私はまおちゃんの娘だから、一人前にならなきゃね!)
強くなるため、ぐっと手を握る。
りゅーじんさんはがどくんを知っていても、私はりゅーじんさんを知らない。
そして悪い人じゃないと思うけれど、いい人だという理由も知らない。
自分で考えて、私は知らない人のりゅーじんさんより、しゃるの言いつけを守ることにしたんだ。
(……本当は寂しくて泣いちゃいそうだから、ついていって早くがどくんに会いたいよう……)
そう思ってめしょ、としょんぼりするけれど、それじゃあいけない。
ダメダメ、我慢、我慢だね。
私はがっこうにいくんだ。
一人でできるようにならなきゃね。ううう、でも寂しい、ううう……。
私がめそめそしそうになっていると、りゅーじんさんが私の頭にぽんと優しく触れて、私は頭をあげる。
りゅーじんさんは私を見て、ニコッと笑った。
「そっかあ、偉いなー。でも大丈夫さ。俺はガドくんの友達なんだ。聞いたことない? アイツは昔、俺たちリンドブルムの村に預けられていたんだよ。ガドくんはリンドブルムよりも特別強い竜だったから、あんなに早く出世して、長官になってさ? 俺たちは鼻が高い」
「おともだち……がどくんのおともだちなの?」
「そう。ないしょにしてたけど、実は友達だからタローちゃんに声をかけたんだぜ。でなきゃ迷子になってすぐに誰かが声をかけてくるなんて、魔界じゃあんまりないだろうよ」
はにかみながら頬を指先でかくりゅーじんさんは、嘘をついてるように見えない。
──がどくんのおともだち……。
そっか、そっかあ。
だから私がうずくまって、すぐに声をかけてくれたんだ。
がどくんのお友達ということは、悪い人じゃない。ぜったいだいじょうぶ!
私は大丈夫という確信があって、途端に顔をニコニコに変えた。
だってがどくんはとっても強くてかっこいいくて、そしてなにより、いい人を見つけるのが上手なんだよ。
がどくんはまおちゃんのツンツンも、ちっとも効かない。
しゃるを人間だからって貶したりしない。
はじめましてでも大丈夫ってわかる、素敵ないい人センサーを持っている。
いい人ならついて行ってもよくて、家族のおともだちは知らない人じゃない。
私はぴょんと立ち上がって、りゅーじんさんに明るく笑いかけた。
しゃるのいいつけも守れるし、一人ぼっちじゃなくなるし、がどくんにも会える。
これは素敵なお話!
「りゅーじんさん、わたしついていくよっ。ええと、ちゃんということをききます。かってにはなれたりしません。だから……がどくんのところに、つれていってくださいっ」
もう一度深く頭を下げると、りゅーじんさんは「いいこだね」と笑ってくれた。
そしてじっとしたまま静かにするように言いつけると、私を抱き上げて翼を広げ、大空に飛び上がる。
がどくん、会えるかな。
私、ごめんねってするからね。
もう考えなしに動かないでちゃんといいこにするから、またぐるぐるしてくれると嬉しいな。
りゅーじんさんの腕の中で、私はがどくんに会えるのを心待ちに、丸くなった。
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