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閑話 ガドと愉快な仲間たち

02(sideガド)

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 まだ俺が触っただけで死ねる毒を全身どこの皮膚からでも滲み出せるなんて、タローは知らない。

 でも知っても変わらず慕ってくれりゃァ、イイけどな。

 俺だってうっかりすることもあるから、怖いのは本当だ。

 全部わかってて初対面で俺に触ってきたやつなんて、シャルくらいだぜ。
 あんなヤツはとびきり貴重。

(ン~。タローに怖がられちゃ、遠心力で遊ぶ相手が減っちまうなァ……)

 然程心配してないが確かな心配を思うと、尻尾がグネリと空をうねる。

 しかしするだけ無駄な心配だから、さっさと不安は霧散させた。
 ムフフ、悩んだりしねーのよ。

 俺の背中に他人を乗せたのは、タローで二人目だったりする。

 一人目は当然、お気に入りの虚弱人間──シャルだ。

 いつでも乗せてやるって言ってんのに飛ぶとアイツはすぐグデグデになるから、秘密基地に招待できてねーんだぜ。

 シャルは毒を怖いと認識した上で、全く俺自体を怖がらない男だ。

 タローもそうだと俺は嬉しいし、ウキウキすんだよな。子どもに怖がられたら、やだぜ。

 毒どころかちょーっと機嫌よく飛んだらグデグデになる貧弱フレンドを思い出し、グルグルと喉を鳴らす。

『クックック。俺も無闇に物を買い与えないことと、グロッキーにさせたら駄目だぞってシャルに言われてんだよォ~』
「ぐろっきー?」
『シャルがオエッてなるヤツだぜ』
「! ぐろっきーわるいこだねっ」
『おうさ』

 雑談にも花が咲き、俺の頭は花畑だ。

 タローはグロッキーを知らないらしく尋ねられ、意味を教えてやる。

 すると頬袋をぱんぱんに膨らませたタローが、親の敵ならよろしくないと膨れっ面で怒った。

 ンゥ? なんだよォ、戦う気か?

 こんなやわやわのぷにっ子なのに、自分で戦おうとするってぇのまでシャルに似てんのかァ。

 そりゃあ駄目だな。全然駄目。
 先手必勝のガド様だ。

『タロー、これから行くのは、お前の行ったことねぇトコだろ~?』
「うん、そだよ~」
『んじゃあまず、悪い人についていかない。悪い人に拐われたら俺を呼びまくる。戦おうなんて間違ってもしねぇこと。ましてや怪我してんのに暴れたりってのは、絶対にダーメ。助けが来るまで大人しく待つ。オーケー?』
「おーけー? むむむ……んと、がどくんくるの、まってる? わるいひととは、けんかしない? あってる?」
『はなまるだなァ~。素直なタローは大好きだぜ? 後でグルグルしてやんよォ』
「ぐるぐるすき~っ」

 お気に入りのお気に入りにもまずは俺を頼らせたい洗脳終了で、上機嫌な俺だ。

 どっかの誰かさんと違って囚われの姫ができるタローに、俺は鋭い牙をギラつかせてニンマリ笑った。

 ククク。だってアイツは果報は寝て待てじゃなく、果報を迎えに三千里だかんなァ。

 なまじメンタルも戦闘力もそこらの人間より鍛え上げている叩き上げなもんだから、シャルは王子を守ろうとする姫なのだ。

 共にライゼンの世話になった者の先輩であるお兄ちゃん魔王の苦労を思うと、弟の俺は肩ポンしかできないってもんだな。

 その点俺は果報を寝て待ってる間に別の果報とランデブーで、常にハッピー。

 オトクな性格だろォ?
 褒めてくれてもいいんだぜ~、クククッ。



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