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十三皿目 ラブリーキングに清き一票
24(sideアゼル)
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「「オラアァァァアァッ!!」」
「はい、危ないですから下に居ないでくださいね。今機嫌がいいから下着くらい頼めば見せてくれると思うんで、覗きは後にしてもらえます?」
さて、こちらコンテスト会場。
現在行っているゲームは、綱渡りである。
会場全体の空中で蜘蛛の巣状に張られた細い綱の上に、選ばれたチームを適当に解き放つ。
そしてお互いを落とし合い、最終的に生き残ったチームには落とした人数分だけポイントが入る、魔界システムの競技だ。
『おっとォチームKMwithFッ! またも阻むライバルを一網打尽ッ! 立ちはだかる敵チームを容赦なく地に落としていきますッ! 飛行禁止の魔法縛りですが、本当に地力だけでのしているのかッ!? 生き残り争奪綱渡り〝女郎蜘蛛の巣~覗いてみろよパンチラ上等~〟を制したのは、パッケージ詐欺集団チームKMwithFだァッ!』
実況の声と共に高らかに響くカンカンカーンというゴングに、ウオオオオオッ! とそこかしこから野太い歓声が湧く。
勝負は決し、我がチームの勝利である。
クックック。
まぁわかりきったことだったけどな。
この俺と俺の部下だ。
格好がどうであれ、勝つに決まっている。優勝はもらったぜ……ッ!
初めは会場の扉を開けた瞬間見渡す限りがオカ魔だらけで、魔法禁止なのにゼオが氷魔法をぶっ放しそうになったが、それはそれ。
俺が跳んだり回転したり、殴って蹴って掴んで投げてと敵を仕留めれば、キャットが逃げ出す奴らを一人残らず締める。
そしてゼオがメイクも衣装もとんでもないことになっている屍を、淡々と掃除していくのだ。
フィジカルのポテンシャルだけで、十分ライバルのオカ魔たちを蹂躙できている俺たちは、完璧な布陣で開始からあらゆる競技を総ナメにしていた。
「クックック……クッフフフ……フハハハハ……ッ!」
上機嫌に高笑いする俺は、綱の下から女装した参加者のパンチラを見ようとキャーキャーと言いながら黄土色の悲鳴をあげるガチムチ集団を鼻で笑い、悠々と舞台上に戻っていく。
漢女と書いてオトメ。
それがオカ魔である。
フッ……まさかこのコンテストの主催が、城下街の有名オカ魔バーだったとはな。
純粋な女装家もいるが、概ね男色家の筋肉ラバーだったのは、嬉しい誤算だ。
大事な有権者共がユリス的な男が好みのマトモな生き物だったら、俺では解釈違いで勝てなかっただろう。
あわや全員に拳をチラつかせ、「え? 魔王は? かわ? かわい? ん?」と優しく心の声を聴いてやる羽目になってたぜ。
命拾いしたな。
トロフィーは俺のものだ。
とはいえ、おかげでライバルチームも半分以上ガチムチゴリラだったため、地に沈めるのは若干骨が折れた。
一つ目巨人、サイクロプスのオカ魔は、開始そうそうに全員で囲んで屠ったのである。
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