上 下
673 / 902
十三皿目 ラブリーキングに清き一票

24(sideアゼル)

しおりを挟む


 ◇


「「オラアァァァアァッ!!」」
「はい、危ないですから下に居ないでくださいね。今機嫌がいいから下着くらい頼めば見せてくれると思うんで、覗きは後にしてもらえます?」

 さて、こちらコンテスト会場。
 現在行っているゲームは、綱渡りである。

 会場全体の空中で蜘蛛の巣状に張られた細い綱の上に、選ばれたチームを適当に解き放つ。

 そしてお互いを落とし合い、最終的に生き残ったチームには落とした人数分だけポイントが入る、魔界システムの競技だ。

『おっとォチームKMwithFッ! またも阻むライバルを一網打尽ッ! 立ちはだかる敵チームを容赦なく地に落としていきますッ! 飛行禁止の魔法縛りですが、本当に地力だけでのしているのかッ!? 生き残り争奪綱渡り〝女郎蜘蛛の巣~覗いてみろよパンチラ上等~〟を制したのは、パッケージ詐欺集団チームKMwithFだァッ!』

 実況の声と共に高らかに響くカンカンカーンというゴングに、ウオオオオオッ! とそこかしこから野太い歓声が湧く。

 勝負は決し、我がチームの勝利である。

 クックック。
 まぁわかりきったことだったけどな。

 この俺と俺の部下だ。
 格好がどうであれ、勝つに決まっている。優勝はもらったぜ……ッ!

 初めは会場の扉を開けた瞬間見渡す限りがオカ魔だらけで、魔法禁止なのにゼオが氷魔法をぶっ放しそうになったが、それはそれ。

 俺が跳んだり回転したり、殴って蹴って掴んで投げてと敵を仕留めれば、キャットが逃げ出す奴らを一人残らず締める。

 そしてゼオがメイクも衣装もとんでもないことになっている屍を、淡々と掃除していくのだ。

 フィジカルのポテンシャルだけで、十分ライバルのオカ魔たちを蹂躙できている俺たちは、完璧な布陣で開始からあらゆる競技を総ナメにしていた。

「クックック……クッフフフ……フハハハハ……ッ!」

 上機嫌に高笑いする俺は、綱の下から女装した参加者のパンチラを見ようとキャーキャーと言いながら黄土色の悲鳴をあげるガチムチ集団を鼻で笑い、悠々と舞台上に戻っていく。

 漢女と書いてオトメ。
 それがオカ魔である。

 フッ……まさかこのコンテストの主催が、城下街の有名オカ魔バーだったとはな。

 純粋な女装家もいるが、概ね男色家の筋肉ラバーだったのは、嬉しい誤算だ。

 大事な有権者共がユリス的な男が好みのマトモな生き物だったら、俺では解釈違いで勝てなかっただろう。

 あわや全員に拳をチラつかせ、「え? 魔王は? かわ? かわい? ん?」と優しく心の声を聴いてやる羽目になってたぜ。

 命拾いしたな。
 トロフィーは俺のものだ。

 とはいえ、おかげでライバルチームも半分以上ガチムチゴリラだったため、地に沈めるのは若干骨が折れた。

 一つ目巨人、サイクロプスのオカ魔は、開始そうそうに全員で囲んで屠ったのである。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

リオ・プレンダーガストはラスボスである

BL / 連載中 24h.ポイント:32,595pt お気に入り:1,827

推しを陰から支えるのが僕の生きがいです。

BL / 完結 24h.ポイント:1,072pt お気に入り:6

普通の学園生活を送っていたはずなんだが???

BL / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:311

私を愛して下さい イチャラブしたこと無いんです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:424

悪妻なので離縁を所望したけど、旦那様が離してくれません。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,563pt お気に入り:4,595

敏感リーマンは大型ワンコをうちの子にしたい

BL / 完結 24h.ポイント:1,420pt お気に入り:373

処理中です...