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閑話 男気番長は甘やかしたい

07※

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「あッ…、ぁあ…、…んッ……あぁ、ぁ……」

 人間にしてはだいぶ体力のあるシャルだが、一度が濃厚な魔王相手では、限界も早くなるだろう。

 流石にくたびれているのか、腕で上体を起こそうとしても力が入らず、ガクッと崩れ落ちる。

 横たわる淫靡な体はじっとりと汗でしめやかに濡れ、引き締まった筋肉に覆われた背が、淫らに波打った。

 ──まったく……エロい教師だ。
 悔しいくらい、煽られる。

 今でも定期的な訓練を抜からないために剣だこができ、皮膚の厚くなった無骨な手。

 それが白いシーツを掴んでか弱く震えているギャップに、ゾクゾクと視覚的興奮を煽られた。

 あの指に牙を突き立てて熱い血潮をすすると、喉元から溶けそうな充足に犯される。

「くそ……ッ」
「ぁ、アゼル、ぁッ…う、奥、過ぎ……っ」

 思い出しただけでゴクリと喉がなった。

 ああくそ、我慢だ。
 血を失っても自分の回復魔法じゃ治してやれない。

 シャルのためならいくらでも我慢してやる。吸いたい、飲みたい、味わいたい。我慢だ。我慢する。

 凶暴な欲求は飲み込んで激しく突き上げながら、腰を掴んでいた両手をぐうっと胸元まで押あげ、強く背骨を親指でなぞった。

「ひっ、ぅっあぁぁ……ッ」

 すると甘い鳴き声と共にビクンッ、と大きく背をしならせて踊る、淫猥な肢体。

「はっ、お前だけだぜ。中かき混ぜられながら背骨えぐられて、イクような男……」

 かわいい。最高にかわいい。

 たったそれだけで軽く射精してしまったシャルに、お前はかわいさで俺を殺す気か、という気持ちが声色ににじみ出る。

 アゼルにとって、こんなにいやらしくかわいい男は、他にいない。

 いつまでたっても色眼鏡だと思っているが、アンケートをとってやってもいい。

 シャル以外の男には微塵もそんな感情を抱かないが、シャルになら毎日湧き上がって、溢れて、枯れることがない。

 それにそもそも、アゼルはこれまで、性的な興奮をあまり覚えてこなかった。

 なので自分のセクシャリティが男と女どちらにあるのかは、やっぱりいまいちわからない。

 吸血には催淫毒が含まれているのだから、本来は性欲発散と吸血欲求の両方を兼ねているのだろう。

 しかし欲しくなればそのへんの動物の血を吸っていたので、動物が発情しているかどうかはどうでもよく、肉も美味しく食べていた。

 自己処理はしていたが、それもメンタルに余裕がなくなれば無反応を極めていたのだ。

 些細なことでもこんなに性感を煽られてしまう今の自分が、信じられない。

「ん、あっ、あ……っアゼル、ふ……っ」
「なんだよ、シャル」

 切羽詰まった声を漏らされ、笑みが溢れる。
 自分の返事がとんでもなく甘い響きを持っていて、少し恥ずかしい。

 やっぱり自分の性対象は、シャルで決まりだ。

 他にはピクリともしないくせに、シャルの中では簡単に質量を増す自分の息子を、褒めてやりたい。

 わかってるじゃねぇか。
 これを味わったら、これ以外なんて満足できない。

「アゼル、もっ……中、きもち、いい……っひ、…ひっ……っ」

 発情しきったメスの声を、硬派で穏やかな、ともすれば聖域のような男が喉奥から絞り出すことの、背徳感たるや。

 心臓が弾けそうなくらい燃え上がった。

 根元の奥が痺れ、獰猛なオスの本能が煽られる。シャルはアゼルを煽る天才だ。

 腰をぶつけるたびにパンッと破裂音が響く。
 アゼルの顎から汗が散って、シャルの背中に落ちた。

 シーツにこすれるシャルの起立からは、粘液が糸を引いている。

 シャルも酷く感じているのだ。

 アゼルに抱かれることを当然と受け入れ、自分が男であるだとか、男としての矜恃なんてへし折って、丸ごと愛し合おうとしてくれる。



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