607 / 901
十一皿目 魔界立ディードル魔法学園
43
しおりを挟む──臨時教師七日目・日誌
今日で最後だった臨時教師だが、最終日にふさわしいすったもんだだった。
学ぶことが多かったので、キチンとあの騒動の後のことも記しておこう。
自体が収束した後は、ずっともとの場所で待機していた生徒たちと、爆発の後片付けをしたぞ。
クテシアスはプライドが吹き飛んだのか、手伝うクラスメイトたちの前で土下座をしていた。
イケない趣味に目覚めてなければいいのだが……。
思春期のデリケートな部分に関わっていたら、流石に申し訳ない。
そういえば声が聞こえなくとも遠目でなにをしているのかはわかったみたいで、男子生徒たちは股間を押さえ、怯えた目でアゼルの足を見ていた。
どうやら迂闊な行動にはお仕置きがあると、いい教訓になったようだ。
学園長にお仕置き方法を進言しておこう。
女生徒たちは、メガネをオフして髪をかきあげたアゼルが文句なしの美少年だったからか、逆に後片付けにかこつけてみんなで囲み、話しかけていた。
魔王状態と違い常時威圧も多少柔らかくなっているし、未成年らしい幼い顔つきなので話しかけやすいのだろう。
中身は大人なので、魔眼のコントロールもできているしな。
アゼルは普段集団に囲まれ話しかけられたりしないし、勝手に避けられていたので、突然の現象に沈黙。
あれこれと質問したり構い倒そうとする、肉食系魔族女子の餌食になっていた。
それもすぐに我慢ならなくなり、俺に抱きついて野生の獣のように黙々と威嚇していたのだが。
こればっかりは俺も抱きつくのはだめだと言えず、満足するまで抱かれることにした。
若アゼルがかわいかったのも少しある。
そんなわけで、だ。
最後の最後で騒動があったが、それでも総合すると楽しい一週間だった。
先生をするのは初めてだからドキドキしたり、生徒に合わせて試行錯誤したりするのは、いい経験になったと思う。
教師という者は大変だ。
俺は未熟だが、本来ならあの爆発の中無傷で二人を助け出し、何事もなくテストを再開するポテンシャルが必要なんだろうな。
人員不足なのもよくわかる。
教師は戦闘民族のエリートじゃなければ。
とはいえ今日まで自分なりに頑張った。
俺はこの一週間の自分に、はなまるをあげることにした。
──追記。
そして翌日にこの日誌を読んでいるだろう、アゼルへ。
聞きたいことがあるので、休憩時間は執務室にいるように。
流石に当日は疲れているので、翌日にしたんだ。読んでいなくても行くので、心して待っていてくれ。
今の俺はアゼル・ハウリングの先生──シャウルー・アッサディレイアではない。
魔王、アゼリディアス・ナイルゴウンの妃。ただのシャルなんだからな。
◇
「アゼル、聞いているか?」
反応のないアゼルの膝に跨りながら、俺は伺うように首をかしげる。
日誌を読んでくれていることは書斎机の上に開いた日誌があるのでわかっているのだが、アゼルは俺の胸元に顔を埋めて、がおがおと唸るばかりだ。
なにもおかしなことはしていない。
ただ昼食──いわゆる愛妻弁当を持参して寂しがらせたぶんの愛情を補完しつつだな。
椅子に座るアゼルの膝に正面から跨り、ずっと胸にあった疑問をぶつけているだけである。
「もう一度言うぞ? あのな、お前は人魚さんの血を吸ったと言っていたが、俺にするようなことをしたのかと気になってだな……。もしそうならと思い、俺はお弁当を作ってきたんだ。お腹が減ったら、これを食べてくれ。血が飲みたければ、俺のを飲んでくれ」
「おっおれぅぉぉぉぉ……ッ! はうあぁぁ……っ!」
「あだだだだ! 締まってるっアゼルまた締まってるっ、俺の腹がっ、うぐ、ぐぐぅ」
「うへあっ」
41
お気に入りに追加
2,669
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる