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十一皿目 魔界立ディードル魔法学園

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 ──臨時教師七日目・日誌

 今日で最後だった臨時教師だが、最終日にふさわしいすったもんだだった。

 学ぶことが多かったので、キチンとあの騒動の後のことも記しておこう。

 自体が収束した後は、ずっともとの場所で待機していた生徒たちと、爆発の後片付けをしたぞ。

 クテシアスはプライドが吹き飛んだのか、手伝うクラスメイトたちの前で土下座をしていた。

 イケない趣味に目覚めてなければいいのだが……。
 思春期のデリケートな部分に関わっていたら、流石に申し訳ない。

 そういえば声が聞こえなくとも遠目でなにをしているのかはわかったみたいで、男子生徒たちは股間を押さえ、怯えた目でアゼルの足を見ていた。

 どうやら迂闊な行動にはお仕置きがあると、いい教訓になったようだ。

 学園長にお仕置き方法を進言しておこう。

 女生徒たちは、メガネをオフして髪をかきあげたアゼルが文句なしの美少年だったからか、逆に後片付けにかこつけてみんなで囲み、話しかけていた。

 魔王状態と違い常時威圧も多少柔らかくなっているし、未成年らしい幼い顔つきなので話しかけやすいのだろう。

 中身は大人なので、魔眼のコントロールもできているしな。

 アゼルは普段集団に囲まれ話しかけられたりしないし、勝手に避けられていたので、突然の現象に沈黙。

 あれこれと質問したり構い倒そうとする、肉食系魔族女子の餌食になっていた。

 それもすぐに我慢ならなくなり、俺に抱きついて野生の獣のように黙々と威嚇していたのだが。

 こればっかりは俺も抱きつくのはだめだと言えず、満足するまで抱かれることにした。
 若アゼルがかわいかったのも少しある。

 そんなわけで、だ。

 最後の最後で騒動があったが、それでも総合すると楽しい一週間だった。

 先生をするのは初めてだからドキドキしたり、生徒に合わせて試行錯誤したりするのは、いい経験になったと思う。

 教師という者は大変だ。

 俺は未熟だが、本来ならあの爆発の中無傷で二人を助け出し、何事もなくテストを再開するポテンシャルが必要なんだろうな。

 人員不足なのもよくわかる。
 教師は戦闘民族のエリートじゃなければ。

 とはいえ今日まで自分なりに頑張った。

 俺はこの一週間の自分に、はなまるをあげることにした。

 ──追記。
 そして翌日にこの日誌を読んでいるだろう、アゼルへ。

 聞きたいことがあるので、休憩時間は執務室にいるように。

 流石に当日は疲れているので、翌日にしたんだ。読んでいなくても行くので、心して待っていてくれ。

 今の俺はアゼル・ハウリングの先生──シャウルー・アッサディレイアではない。

 魔王、アゼリディアス・ナイルゴウンの妃。ただのシャルなんだからな。


 ◇


「アゼル、聞いているか?」

 反応のないアゼルの膝に跨りながら、俺は伺うように首をかしげる。

 日誌を読んでくれていることは書斎机の上に開いた日誌があるのでわかっているのだが、アゼルは俺の胸元に顔を埋めて、がおがおと唸るばかりだ。

 なにもおかしなことはしていない。

 ただ昼食──いわゆる愛妻弁当を持参して寂しがらせたぶんの愛情を補完しつつだな。

 椅子に座るアゼルの膝に正面から跨り、ずっと胸にあった疑問をぶつけているだけである。

「もう一度言うぞ? あのな、お前は人魚さんの血を吸ったと言っていたが、俺にするようなことをしたのかと気になってだな……。もしそうならと思い、俺はお弁当を作ってきたんだ。お腹が減ったら、これを食べてくれ。血が飲みたければ、俺のを飲んでくれ」
「おっおれぅぉぉぉぉ……ッ! はうあぁぁ……っ!」
「あだだだだ! 締まってるっアゼルまた締まってるっ、俺の腹がっ、うぐ、ぐぐぅ」
「うへあっ」



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