591 / 901
十一皿目 魔界立ディードル魔法学園
27
しおりを挟む「ってことは大きいのって現実性ないんですか?」
「あぁ。使い手があまりいないだろうし、そんなに大きなものといえば、都市防衛にかけるぐらいで普段は使わないからな。使用頻度が少ないので、基礎ができても覚える優先度は低い」
「へぇ~そうなんだ~」
「私無理だなぁ、飛行できないし上から見ないとかけないでしょ?」
「だよね、私は飛べても魔力あんまりないもん。人間なら一個小隊ぐらい相手にできるけどさぁ、天使はむりだし……」
「えぇあんたはすごいって! 私なんて精霊数人でも限界だよ~」
うん、例えが物騒だ。
魔族らしいといえばそうだが、優秀な学生なら人間一個小隊を殲滅できるのか……。
勇者が一度も魔王に勝てない理由が、このへんにあると思う。
人間の人口は魔族の十倍以上なのに、領土を奪えた試しがない。
天界が狙うぐらい種族ごとチートなのだ。
「まあできる人は意外とあっさりやるから、あまり気を落とさなくて大丈夫だ。アゼル……じゃない。現魔王様も歴代同様、さくっと城ごと覆う防御魔法陣を重ねて強化してるぞ」
「いやいや~アディ先生落ち着こ? 魔王様って存在を基準にしたら、あーしら全員スライムだからね?」
「ってかなんで名前の、しかも愛称でお呼びしてんの? まだ死ぬのは早いよ? 大丈夫? 悩みあんならあたしら聞くし」
「死に急ぎたいなら悩み言ってみ? 彼女? 彼氏?」
「……うっかりした……」
今までバレそうなことがなかったから安心してしまったのか、うっかりアゼル呼びをしてしまい、バキッとチョークが折れた。
危ない危ない。
俺はこういう抜けたところがあるのだ。気を付けないと。
魔王といえば恐ろしいイメージが横行しているのか、死に急ぎだと思われてしまった。
おかげで質問をしてきた彼女たちに、心配されてしまった俺である。
大丈夫だ。
うっかりしただけなんだ。
彼女たちの話によると、全魔族で誰よりも戦闘力が高いものを選ぶ魔王紋に選ばれた魔王という存在は、強いものに惹かれる全魔族の憧れであり、同時に畏怖の対象である。
だからこそ、弱さが垣間見えれば失望も大きいということか。
冗談抜きで魔力の暴力であり、仮に一番と二番がいても、その差は激しい開きがあるのだとか。
うん。以前アゼルは海軍まるごと反旗を翻しても、勝てると言っていたな。
ようは単体で最強というわけだ。
逆に仲間に攻撃が当たらないように気を使ったり、俺を守るだとかの枷があれば、それだけ弱くなる。
アゼルはアゼルだけで戦うのが一番本人の生存率が高く、無双できるだろう。
世間知らずという設定が生きて、迂闊な俺に言い聞かせるようにそんなことを語られ、俺はなんともいえない気持ちになった。
……アゼルは強いかも知れないが、メンタルはへなちょこなんだぞ?
あんなにも人間味のある魔族もそうそういないくらい、俺の前では喜怒哀楽がフルスロットル。
とてもかわいらしい旦那さんなのだが。
40
お気に入りに追加
2,669
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる