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十一皿目 魔界立ディードル魔法学園
05
しおりを挟むライゼンさんがうちの子がすみません感を醸し出しているのがいたたまれなくて、俺はフォンッ、とアゼルと同じように手の中に基礎魔法陣を浮かべた。
「ええと……基礎魔法陣ですが、魔法陣の覚え方には二通りの方法があります。頭に直接魔法陣を焼き付ける方法と、書いて覚える方法です」
「?」
「簡単なのは前者ですが、代わりに数日は熱を出して悶絶する頭痛を伴います。衝動的に地面に頭を強打したくなりますよ。なので、一般的な方法は後者ですね」
「??」
「それをふまえると、まず基礎魔法陣を書くにはこの見本を書き写して空で書けるように覚えていただきます。覚えられたら綺麗な円形に魔力を展開させる訓練」
「???」
「そしてそこに古代文字を用いて、使用魔力を陣に貯蔵。形の固定。それをテンプレとして保存と、様々な効果を書き込みます。これでようやく基礎魔法陣が完成するのです」
「????」
俺がかいつまんで簡単に基礎魔法陣の覚え方と内容の構成について話すと、ライゼンさんは合点がいったようで興味深そうに頷いた。
「?? 覚え方……?」
「なるほど……そういうしくみなのですね。私は魔法陣の能力はないのですが、勉強になります。……それで、能力もちなのに魔王様はなぜ首をかしげているのですか……ッ!」
しかしながら俺の説明を受けても逆に不思議そうにしているアゼルに、膝をパシコンッ! と叩く。
……うん。気持ちはわかる。
「う、うるせぇな! 俺はそんなことして覚えた記憶はねぇんだよ! 魔法陣なんか見たら覚えんだろ!? 使ってるうちになんかこうなってこうなってんだなーってわかんだろうが! いちいち紙に書いたことねぇぜ!」
「魔王様それを学園の生徒の前で言ったら総スカンを喰らいますからね!? テスト前に勉強したことねぇわとか吹聴する居眠り常習犯が実際に成績トップだったような、嫌味しか感じませんからね!?」
アゼルの肩を掴んで言い聞かせるライゼンさんは、安定のお母さんだ。
必死にわからないほうに問題があると訴えるアゼルを、一刀両断して叱りつける。
「貴方様には臨時でも教師は無理です! 納得なさったでしょう!」
「なぁっ!? そ、うっ、うぐぐぐぐ……ッ!!」
自分の説明が通じなくて俺の説明が通じたのを目の当たりにすると、流石のアゼルもこれ以上文句は言えなくなってしまったのだろう。
おとなしく自分が行くということは諦めてくれた。できすぎるというのも、困ったものだな。
こう、アゼルはなんというか……魔法関係は本当に秒殺するんだ……。
覚えるのに一切苦労しないんだ。剣の訓練はたまにしているんだが。
「と、このように能力持ち且つ人に教えることがいないよりはマシ程度にできる、私が行くことになりました。よろしいですか?」
「…………ふん」
問題が解決したので一つ頷き、模造紙をつつくための棒を振ると、アゼルは黙って腕を組んでそっぽを向いた。
これは嫌々納得しているんだ。
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