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十一皿目 魔界立ディードル魔法学園
04
しおりを挟む「それについてですが……。能力差が激しい魔族の性質上、魔法陣を教えられるレベルで扱える方は、人に教えるという行為があまり得意でない方が多いのです。魔王様然り」
「ガルルル……ッ!」
「それに魔王様が城から長期で離れるのは、難しいでしょう。貴方様は代わりのいない方です。仕事が増えては負担になる。それは私が嫌です」
「! お、お前の代わりもいないだろうがっ!」
こんこんと説明を続けるうち、機嫌が悪いとよく癖で微かに唸っているアゼルが思いっきり唸りながら吠えかかった。
ついに我慢ならなくなったのだろう。
鬼気迫る表情で「後そのモードの話し方やめろ俺と他人行儀になるなッ!」とも言われた。そういえば俺の敬語が苦手だったか。
「なんで俺が他人のクソガキ連中の為にそわそわを我慢しなくちゃなんねぇん」
「アゼル、会議中は静かにしなければいけないんだといっただろう?」
「うぐぅ……ッ! お……俺が代わりに行くぅ……ッ!」
そんなアゼルに困り顔で相対した俺は、唇に指を立ててしー、と言った。
プレゼン前に『後で意見を言う時間をつくるからまずは静かに聞いていてほしい』とお願いしたんだ。会議は静かにするもの。
アゼルはお願いを思い出したのか、シュンと声のトーンを落とした。
それでも口元をへの字にして拗ねている。
「お前、お前は俺の城から離れるな……うう、俺が教師をしたほうがまだましだ……ッ! ディードルを更地に変えるほうがもっとましだ……ッ!」
「ええ。貴方様以外にとっての悪夢ですが」
「まったくだ」
「お前らは俺のシャルへの独占欲の大きさをわかってねぇ!」
至極重大な物事のように叫ばれ、俺とライゼンさんはそろって顔を見合わせ、眉をハの字に下げるしかない。
どうも納得いかない様子なので、俺はアプローチを変えてみようと、長い棒で模造紙に箇条書きした臨時教師の条件をつつく。
「ふむ……ゴホンゴホン。それでは一番簡単ななにも効果を書き込んでいない基礎魔法陣の描き方を、簡単に説明してみていただけますか?」
「は?」
魔王様のジョブチェンジテスト。
アゼルに先生ができるのかを考えてみる方向に変えて投げかけてみると、アゼルはキョトンとして、それからすぐに片手をあげてクネクネと動かす。
「手を、こうして、こうだろ? んでこのへんになんとなーく、効果を書き入れるとこがある。ここに適当にばばっと好きな効果を書き入れると、様々な効果のある魔法陣が完成する。どうだ!」
「……ライゼンさん?」
ドヤ! という効果音がつきそうなくらい誇らしげに俺を見るアゼル。
まるで「褒めて褒めて!」と尻尾を振っている子犬のようで和む光景だが、俺はなんとも言えない表情でライゼンさんにヘルプを求めた。
「……今の説明では私はできませんからね」
「なっ、なんでだ……!? お前の頭おかしいんじゃねえか……?」
手のひらになんの効果もない基礎魔法陣を浮かべたアゼルは、意味がわからないといった顔で傍らのライゼンさんを見つめる。
断じて彼がおかしいのではないからな。
おかしいのはどんな魔法もなんとなくでこなせるお前だ。
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