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十皿目 ワンとニャー
11※
しおりを挟む名残惜しそうに絡みつく襞を振り切って異物が出て行くと、それまで散々嬲られた後孔は切なく戦慄く。
なにも入っていないと物足りない。ヒクヒクと収縮を繰り返すのが、自分でもよくわかった。
ブルリと体が震える。
肌を粟立たせて期待する淫らなそこに、待ち望んだモノが宛てがわれ、叱るように何度か入口を滑った。
「んっ……はやく、っ、でないと、俺が自分で、あ……っ」
「あぁクソ、馬鹿っ、脅すな。痛いのは我慢できるのに、なんでこれは我慢できねぇんだお前……堪え性なし」
「ぅあ…っん、はい、って、あ、っ……だ、てっお前が、そう教えた、から……ッ」
自分で俺を我慢できない体に躾たくせに、俺を悪い飼い犬だと責めるアゼル。
言いながら一番太い先端が傷つけないようにゆっくりと中に埋め込まれていき、内臓がせり上がってくる圧迫感に、短く息を吐き出す。
俺の中にアゼルが入ってくるのが、一番気持ちいい。
そういうふうに仕込んだじゃないか。
なのにアゼルはバツが悪そうに「そうだぜ、お前をこんなにエロい体にしたのは俺だ」と言う。
そしてスローな挿入を一転。
半ばまで埋め込まれていた怒張を、根元まで一気につき込んだ。
「ヒッ……!? は……ッあ、っ! あっ、っ……っ!」
その瞬間、俺の目の裏で星が散ったかと思うと、頭がショートするような快感が体の中を走り抜ける。
ギュゥ、と握りこんでいたはずの勃起から押し出されたようにビュク、と粘ついた白濁液が吐き出された。
腹の中の行き止まりをゴツッゴツッと押しつぶされる衝撃。
裂けそうな程拡がった入口はしっかりと解され裂けることもなく、尻肉にアゼルの肌がピタリと触れている。
その衝撃で手を離せば、せき止めていた精液がタイミングを逃し、ドプ、ドプ、と緩やかな絶頂が断続的に続いた。
「あっ、う、嘘、ひっ……い、いって、っあ、ぁっ、おわらな、っ……」
短い痙攣が永遠に続くような感覚。
意識が飛ぶような快感ではなく、意識があるままゆっくりと射精する快感。
筋肉が喜びに打ち震え、内壁が自分を蹂躙するものにネットリと絡みつく。
だが絶頂が終わるまで、犯人は待ってくれない。
「俺がいるのに一人で楽しんでんなよ? これから何回でも、イカせてやる」
「あ……っ! ま、アゼル待って、あっ、んっ、っんぅぅ……っ」
一人で先にイったからか、アゼルは俺を感じろと言わんばかりに激しく抽挿を開始する。
体を貫く太く長大な怒張は中の襞の一枚一枚を擦りあげて、暴れだした。
腹側の内壁をえぐられるたびに、出しきれなかった精液が少し柔らかくなった肉棒から溢れ、シーツを汚していく。
「待って、ンッあ、ぁぁ……っ!」
待ってくれ、と言って待ってくれる程、スイッチの入ったアゼルはいい子ではない。
俺はただ腰を掴まれ、後ろから揺さぶられ体内を貪られるしかないのだ。
押し寄せる波に思考がままならず、行き場のない両腕はシーツを引っかき、開きっぱなしの唇からあられもない嬌声が室内をから回って溶ける。
「ふぁ……っ! あ、いっ、うぁ……っ」
「はっ、シャル、強くされんの好きだろ? さっきイったくせに、勃ってる、クク」
「ひ……っあっす、きだ……っ好き、奥が、あっイイ……っ」
「奥? ふっ、これ以上挿れたら口から出てくるぞ」
もっと奥、と強請ればアゼルは笑いながらも最奥まで犯し、小刻みに揺さぶって突き当たりを何度もいじめてくれた。
──あぁ、たまらない。気持ちいい。
いっそ頭の先まで貫いてもらえれば、死ぬほどイイんじゃないだろうか。
理性の崩れ始める俺は、喉を反らせて押し殺しきれない喘ぎ声をあげる。
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