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十皿目 ワンとニャー

08※

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 唇が閉じられなかったおかげで銀の糸がツツ……、と引かれる。
 プツ、とそれが切れると、アゼルは満足そうに唇を舐めた。

「クク。お前だって耐性ねぇぞ。背中触られて勃たせやがって……」
「く……ッ、う、お前な、それは暴論だぞ……」
「純然たる正論だろうが」
「ぅひ、っ」

 強引にスイッチを入れられて芯を持ち始めた陰茎の先端を布越しにカリ、と爪で浅く引っかかれて、浅い悲鳴を上げる。

 アゼルが触ると気持ちよくなるように開発したのは、他でもない本人だと言うのに、酷い話だ。

 勃たないわけがないじゃないか。それをからかわれると困る。
 恥ずかしいような、拗ねたような、複雑な気持ちだ。

 いつもどんなにその気がなくたって感じさせられて、ネコというのは難儀だな。

 それでも自ら足を開き、わざわざ鳴かされるのだ。
 自分でも変な生き物だと思う。

「俺じゃないと物足りねぇって、言わせてやる」
「言わせなくとも言ってや、ッ」

 降参した俺に機嫌を良くしたアゼルは一度体を離すと、突然俺の足を持ち上げ、肩に乗せた。

 驚いた俺が状況を理解しないうちに体を折りたたませて、下着ごとカプ、と起立の先端を甘噛みする。

「っ、く、ぅん……っ」

 扇情的に目を細め、どうだ? と言わんばかりの、わざと煽るようなやり方。
 よく見えるような体勢をわざわざ取らされたおかげで、よく見えた。

 そのまま布の上から尻をやんわりと揉まれ、割れ目をなぞり、ヒクつく窄まりをつつかれる。

「ん、んっ……は、ぁ……」

 そうされると当然、布越しの愛撫じゃ足りなくなってしまい、期待にアゼルを見つめて喘ぐだけだ。

 時折尿道口や会陰を舌先で強く刺激され、腰が跳ね上がるが、それも簡単に押さえつけられてしまう。

 視線でもう勘弁してくれ、と訴えてみても、アゼルのオニキスのような黒い瞳は、それは愉快そうに輝きを増す。

 ほんの少しずつ下着をずらされ、顕になった肉棒を焦らしながら舐められる。
 視覚を使いながら刺激され続けるが、そこからなかなか先へは進んでくれない。

 もどかしいのがわかっているくせに、身悶えるのを機嫌よく楽しみ、次第にトロトロと溢れだした蜜を指ですくう。

 アゼルは粘着質な液体でぬらついた指を一本だけ俺の中に埋め込み、潤滑油代わりに魔法のなりそこないの魔力を流し込んだ。

 溶けたスライムのようなそれを助けに、浅いところを抜き差しして、更に煽る。

「ぅっ……! ぁ、あっも、意地悪を、しないでくれ……っ」
「ククク、でも焦らされるの好きだろ? 我慢できないお前が、かわいすぎるのが悪いぜ。悔しかったらかわいいを抑えてみやがれ」
「抑えるってそもそもなにが、っん、んぅ……っ」

 スイッチの入ったアゼルは官能の疼きに身悶える原因を俺へ責任転嫁して、話を遮るようにうつ伏せに転がす。

 ボフッ、とシーツに顔を埋めた俺は、後ろにいるアゼルを見ようとした。
 けれどうまく力が入らず、腰を掴まれ、尻だけを高く上げた姿勢を取らされる。

「なにって、お前の存在からにじみ出るかわいさの話だろうが。いつもそう言ってるだろ?」
「はっ……全然分からないが」

 小首を傾げると「なんでわからねぇんだ?」と不思議そうにされ、あっさりと膝下まで下げられたグチャグチャの下着。



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