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後話 受難体質大河勝流
09※
しおりを挟む温かな湯船で赤く染まった熱い頬に押し当てた唇を、薄く開いて肌を食む。
「ん」
擽ったそうに片目を閉じたが、アゼルは好きなようにさせてくれた。
そのうちに中をゆっくりと丁寧に解いていた指が、グゥと突き入れたまま拡げる。
指はイタズラにお湯を招き入れ、ズルリと出ていった。
腰を抱かれ膝立ちになると、肋の凹凸をベロリと舐められ力が抜けてしまう。
「ぅあ……っ」
「気持ちいいのが好きなんだろ?」
肌が粟立つ感覚を収める前に、代わりにあてがわれた怒張が、急いた様子でグチ、と先端を潜り込ませた。
キュゥ……っ、と期待に収縮する後孔が、くびれを締め付ける。
それを咎めるように、胸元に吸い付いた唇が鬱血痕をつけてしまうのだ。
舐められ、噛まれ、吸われ。
ビクンッと背を撓らせて仰け反った途端引き寄せられ、一息に根本まで突き刺ささった。
「ふ、あぁ……っ! ア、っそう、好き、ん……っ」
「っつ、締めすぎ、だろ、馬鹿、っ」
「あっ、ン、ぁっ、あっ」
俺の体を掴んで軽々と揺さぶるアゼルに、されるがままの俺は頭を振って乱れるしかない。
胎内にピタリと馴染む杭が穿つたび、凹凸が壁をひっかき弱いところをゴリッと抉る。
コレの形をもうすっかり覚えている。
どこがどう擦れて気持ちいいのか、目を閉じていても反芻できるほどだ。
あぁ、好きだ。
隅々まで満たされる。
熱くなってずいぶん馬鹿げた遊びをしたが、欲しかったものが与えられて全身で歓喜してしまう。
「お前が、お前だから、っ、あ、いい……っ好きだ、アゼル、が、一番……っ」
「うっ……! くそ、俺だって、っ」
頭がだめになってしまい切る前に言いたくて、懸命に愛を告げた。
それに応えるようにアゼルが動き、激しく突き崩される。
チャプチャプと揺れるお湯の音を聞きながら、理性の飛んだ俺はイイ、もっと、とすっかり夢中で快感に浸った。
その後は──もう。
俺が堪えきれずに達してもアゼルは休息を許さず責め立て、穿ち、何度も奥に注ぎ込む。
我慢していたのは俺だけじゃない。
アゼルの理性はおぼろ豆腐なみの柔らかさなのだ。
意地悪をしてみせたのは、他にフラフラと懐かせないため。
黙りこくって理性と戦っていたのは、誘えばいつもどうにかなるなんて思わせないため。
グズグズに蕩けた体をまだ足りないと犯されながら、今回は俺の完敗だな、とふやけた思考で実感して笑う。
俺は男が恋愛対象ではない。
だがアゼルは他の人と二人きりで出掛けられるのが、本当は嬉しくなかったのだろう。
ちゃんと許可を取ったとはいえ、その感情を譲ってくれたのだ。
いつも恋心は鈍くて見抜けず、不安にさせてしまったことを反省する。
『あいしてる、いちばん、おまえだけ』
俺は噛み付いてくる頭を抱きながら、たっぷりとそんな愛の言葉を、喘ぎ混じりに吐き出した。
自分が抱いている俺の様子を見れば、触れられただけでこんなにおかしくなるほど熱くなっているのが、一目瞭然だろうに。
まったく。独占欲が強くて嫉妬深いアゼルは、自分ばかり愛していると思っているが……そこのところは鈍いな。
俺が、誰をデートに誘うために、出かけたのか。
それを忘れているらしいアゼルは、やっぱり鈍ちんだ。
だがそれでもアゼルが愛しくてたまらない自分に、一番呆れて笑ってしまった。
たまにはこんな戦いもいいと思う。
そんな俺たちらしい、時間だった。
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