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六皿目 純情変態桃色魔王
33(sideアゼル)
しおりを挟むそれより聞いてくれよ。
エロ雑誌の体験談で見つけてから俺のやってみたかったことランキングトップファイブだった、シックスナインもやったんだ。
俺はホクホクしながらそう言って、ほう、と満たされた吐息を吐き出す。
「しかもよ、夜中までシテたらシャルが力尽きたからな。無理させるのもよくねぇだろ? 泣く泣く終わらせたら、眠そうにしながら『お前の好きなタイプはどんなのだ? 俺で大丈夫か?』って」
「へぇ。言ったんですか? ドスケベなお妃様におねだりされたいんですって」
「アホかっ言うかよっ! ふふん、そもそもアイツはあのままで十分エロいぜ」
「ほう。じゃあなんて答えたんです」
「! そっ、そ、そんな恥ずかしいこと言えねぇぜ馬鹿野郎ッ聞くな!」
「いえ、ものの数秒前に猥談してた魔王様がなにをカマトトぶってるんですか。気になるんで吐いてください」
相変わらず無表情のゼオが俺の机から書類を抱えて、ローテーブルにドン、と置きながらズバッと急かした。
俺は頬を若干赤らめて、ツンと顔を逸らす。
(ふん、なに言わせんだよ。はっ、恥ずかしいだろ、アホか。部下になんで嫁への告白教えないといけねぇんだ。俺の告白はシャルだけのものだぜ馬鹿野郎共め……!)
俺の顔から思考を読み取ったライゼンが「羞恥心の在り処が違う……」と遠い目をした。
けれど昨日俺の暴挙を目撃して石化したので、それ以上はなにも言わない。ゼオと違って懸命な男だ。
話を誤魔化そうとサインをした報告書をガドに突き返すと、ガドはニヤリと笑ってマイペースに書類を受け取った。
「んま、シャルに朝会ったから昨日どうだったかって聞いたんだけど──〝好みもなにも俺はお前にしか恋したことねぇんだから、見た目も中身もお前が好みってことだろ〟だったっけなァ?」
「!?」
なっなんで言ったんだシャル!!
くそッいつも取り敢えずガドに報告するのはやめやがれ!!
耳まで赤くなった勢いで机に突っ伏して、ガンッ! と額を強打した。
当然傷がついたのは机のほうだ。
悪いな机、俺は魔王だぜ。
そんな、浮かれた最高権力者の惚気を茶化すだけの魔界軍男子会。
たまたま俺の執務室に集まった俺、ライゼン、ガド、ゼオが仕事をしながら、面白おかしく囃したてる。
そしてそのメンツにプラス、今にも死にそうなチャラ男が一人いた。
「うんうん、ラブラブでよかったねぇ~。王の下半身が満たされて、俺っちは超ハッピーさ。だから……これ外してくれません「ほざけ」アギャンッ!」
そしてその男から、グチャッ! とトマトが潰れるような音がする。
氷で下半身を固められソファーに拘束されていたマルガンの頭が、冷たすぎる声のゼオによって裏拳一発で弾けとんだのだ。
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