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閑話 男気番長は抱かれたい
05※
しおりを挟む「はぁ…っん、はい、た……ん……ぅ…っ」
ズズ……、と粘膜を振り切って腰を落とすと、トン、と肌が触れ合った。
それなりに時間をかけ、ようやく全てを体内へ呑み込むことができたようだ。
ピッタリとアゼルの腰と肌が触れ合う。
犯されることに慣れた襞が、意思関係なく収縮を繰り返して歓喜した。
待ちわびた充足感にギュウ、と締め付けると、湧き水のように快感が溢れだす。
そうなるほど繰り返し抱かれ慣れた体は火照り、ゾクゾクと背筋が粟立つのだ。
「んっ…ん、っ……っぁ……っ」
ただ挿れただけなのに。
薄く目を閉じて襞が絡む感覚を貪り、張り詰めた屹立を夢中で扱く。
我慢できない。気持ちいい。
衝動に抗えず、片手は口元を覆い、もう片方は自身を刺激する。
「い……っはっ…ぁっ……ィ、ク……っ」
顎をそらし仰け反ると同時に──シャルは自らの手の中へビュクッ、とあっけなく精を吐き出した。
「っ」
その光景たるや、色めかし過ぎる。
記録したいほどだ。
ある種のショーだと言われても遜色ない。
そう言うシステムなら、おひねりをあるだけ投げつけていた。
「この……、っくそ……っ」
ご褒美をあげようと言われ見せつけられた時から、瞬きすら惜しんで彼の痴態を見つめていたアゼルは、ガリ、と自分の指を噛む。
まさか褒美に、こんなものを見せられるとは思わなかった。
てっきり良しと言われ、抱かせてくれるものかと思っていたのだ。
それをシャルは自分で奥に受け入れ、その刺激と余韻をオカズに射精した。
自分がそうなるように調教したようなものだが、それにしたって感度がイイ。
所々抜けていて癒し系だが、見た目も中身もストイックでやると決めたらやるカッコイイ彼がそうだと、余計に淫猥だ。
ペタリとアゼルの肌に手を置いて項垂れ、脱力する男に、マグマのような欲望が沸き立つ。
自分の中の凶暴な部分が、達するとともに強請るようにヒクつく体内を、このまま散々に犯してやれとごねる。
わかっていてやったのか。
それともアゼルに施す行為の参考になっているらしい雑誌に、そうしろと書いてあったのか。
どっちでもいいが、アゼルの理性はもう我慢の限界の、その先の限界だ。
元々彼の全てがかわいく見えるフィルターがあるのに、これ程エロかわいい反応をされたら、興奮するのは当然だろう。
もう無理だ。本当に無理だ。
これ以上煽られたら、朝日を拝むまで寝かせられそうにない。
アゼルの脳内は、大惨事。
言葉も紡げないほど燃え上がる感情を、ギリギリで押しとどめていた。
「んっ……ぁ……ちょ、っと、困った……」
そんなアゼルに、シャルは気がつかない。
そっと赤らんだ顔を上げて、未だ淫らな空気を纏った表情のまま、困ったと笑う。
(こんな予定じゃなかったんだが……)
ご主人様よろしく焦らしつつ、余裕を持って騎乗位の練習をしようと思っていたのに。
前置きを告げる彼は、あくまでこの状況を予想外なのだと言い聞かせる。
どうしたらいい? なんて相談するように、困惑するシャルはアゼルを見つめた。
「その、我慢させる予定が、俺も焦れてたというかだな……。イクつもりじゃなかったんだが……我慢、できなくて……」
「は……」
「き、気持ちよすぎて、腰が抜けた……」
──だから、これ以上煽られたら、朝日を拝むまで寝かせないと、言っているだろう。
つい先程まで積極的に乗り上げ主導権を握っていたくせに、なんの計算でもなく、素で痴態を晒したらしいシャルへ内心抗議する。
素直なシャルの締めの一言。
それは、理性の一撃必殺。
「…………」
「っ、え…あ、アゼル?」
「…………」
愛する人の言いつけを守ろうとかき集めていたアゼルの理性が、モノの見事にブチ切れた。
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