本日のディナーは勇者さんです。

木樫

文字の大きさ
上 下
355 / 901
閑話 男気番長は抱かれたい

05※

しおりを挟む


「はぁ…っん、はい、た……ん……ぅ…っ」

 ズズ……、と粘膜を振り切って腰を落とすと、トン、と肌が触れ合った。

 それなりに時間をかけ、ようやく全てを体内へ呑み込むことができたようだ。

 ピッタリとアゼルの腰と肌が触れ合う。

 犯されることに慣れた襞が、意思関係なく収縮を繰り返して歓喜した。

 待ちわびた充足感にギュウ、と締め付けると、湧き水のように快感が溢れだす。

 そうなるほど繰り返し抱かれ慣れた体は火照り、ゾクゾクと背筋が粟立つのだ。

「んっ…ん、っ……っぁ……っ」

 ただ挿れただけなのに。

 薄く目を閉じて襞が絡む感覚を貪り、張り詰めた屹立を夢中で扱く。

 我慢できない。気持ちいい。
 衝動に抗えず、片手は口元を覆い、もう片方は自身を刺激する。

「い……っはっ…ぁっ……ィ、ク……っ」

 顎をそらし仰け反ると同時に──シャルは自らの手の中へビュクッ、とあっけなく精を吐き出した。

「っ」

 その光景たるや、色めかし過ぎる。
 記録したいほどだ。

 ある種のショーだと言われても遜色ない。
 そう言うシステムなら、おひねりをあるだけ投げつけていた。

「この……、っくそ……っ」

 ご褒美をあげようと言われ見せつけられた時から、瞬きすら惜しんで彼の痴態を見つめていたアゼルは、ガリ、と自分の指を噛む。

 まさか褒美に、こんなものを見せられるとは思わなかった。

 てっきり良しと言われ、抱かせてくれるものかと思っていたのだ。

 それをシャルは自分で奥に受け入れ、その刺激と余韻をオカズに射精した。

 自分がそうなるように調教したようなものだが、それにしたって感度がイイ。

 所々抜けていて癒し系だが、見た目も中身もストイックでやると決めたらやるカッコイイ彼がそうだと、余計に淫猥だ。

 ペタリとアゼルの肌に手を置いて項垂れ、脱力する男に、マグマのような欲望が沸き立つ。

 自分の中の凶暴な部分が、達するとともに強請るようにヒクつく体内を、このまま散々に犯してやれとごねる。

 わかっていてやったのか。

 それともアゼルに施す行為の参考になっているらしい雑誌に、そうしろと書いてあったのか。

 どっちでもいいが、アゼルの理性はもう我慢の限界の、その先の限界だ。

 元々彼の全てがかわいく見えるフィルターがあるのに、これ程エロかわいい反応をされたら、興奮するのは当然だろう。

 もう無理だ。本当に無理だ。
 これ以上煽られたら、朝日を拝むまで寝かせられそうにない。

 アゼルの脳内は、大惨事。
 言葉も紡げないほど燃え上がる感情を、ギリギリで押しとどめていた。

「んっ……ぁ……ちょ、っと、困った……」

 そんなアゼルに、シャルは気がつかない。

 そっと赤らんだ顔を上げて、未だ淫らな空気を纏った表情のまま、困ったと笑う。

(こんな予定じゃなかったんだが……)

 ご主人様よろしく焦らしつつ、余裕を持って騎乗位の練習をしようと思っていたのに。

 前置きを告げる彼は、あくまでこの状況を予想外なのだと言い聞かせる。

 どうしたらいい? なんて相談するように、困惑するシャルはアゼルを見つめた。


「その、我慢させる予定が、俺も焦れてたというかだな……。イクつもりじゃなかったんだが……我慢、できなくて……」
「は……」

「き、気持ちよすぎて、腰が抜けた……」


 ──だから、これ以上煽られたら、朝日を拝むまで寝かせないと、言っているだろう。

 つい先程まで積極的に乗り上げ主導権を握っていたくせに、なんの計算でもなく、素で痴態を晒したらしいシャルへ内心抗議する。

 素直なシャルの締めの一言。
 それは、理性の一撃必殺。

「…………」
「っ、え…あ、アゼル?」
「…………」

 愛する人の言いつけを守ろうとかき集めていたアゼルの理性が、モノの見事にブチ切れた。



しおりを挟む
感想 215

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...