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閑話 男気番長は抱かれたい

02※

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 そんなシャルがゴソゴソとアゼルの下衣を腰で引き止めている紐を解き、中から陰茎を取り出した。

 となれば当然、魔王のヤル気スイッチはカチ、とオンになる。

 シャルが口での奉仕を練習すると言い出してから、二度目のこれだ。

 アゼルは触れたい気持ちを我慢しない。

 とりあえず押し倒そうと、自分の中心に顔を寄せる男の髪をクシャリと握った。

「だめだぞ、アゼル。俺の練習なんだから、今日は動かないでくれ」
「!? れ、練習ってお前、こないだシただろ?」
「コツを掴んだから復習する」

 が、何事も真面目なシャルは、触れたがるアゼルに否を唱えた。

 そんな馬鹿なことがあるわけない。

 人の大事なものを握りながらなにを言っているんだ、コイツは。生殺しか。

 アゼルはぐぐ、と焦れったい様子で自分の髪を僅かになでて、黙った。

 もどかしげなアゼルを置いて、シャルは数日前の実践を思い出す。

 あの時はとりあえず咥えればいいんだろうな、と思って、初めから口の中いっぱいに頬張ってみたのだ。

 だけど本を読むと、雰囲気作りをしたほうがより官能的だと学んだ。

「ん、……ふっ……」

 唇を舐めて湿らせ、舌を伸ばしてペロリと先端を舐める。

 それからチュ、チュ、とわざと音を立てて何度も亀頭にキスをした。

 時折裏筋を舌先で探ると、手の中の肉棒はあっさり元気になり始める。

 前もこうだった。
 今日はまだ咥えてないのに、やっぱりアゼルは感度がいいのだろうか。

 動くなと言う言葉を律儀に守って、ウズウズとしつつも手を出すのを我慢している魔王。

 それを上目遣いに見ながら、クスリと笑う。

 その吐息がかかって擽ったかったのか、アゼルは掴んだままの髪を、ほんの少しクッと引いた。 

「は、ん……」

 伸ばした舌先が円を描くように鈴口の周りをなぞり、ようやく肉感的な唇が先端を覆うように咥える。

 口内で全体を嬲ると苦味のある液体が滲んで、舌が溺れそうだ。

 ちゅる、と吸い上げるとその分溢れる淫液に、嫌悪感はなかった。

 むしろ拙い口淫で感じてくれていることに、興奮を覚える自分がいる。

 唾液とそれが混ざったものをゴクリと飲み込んで、少し唇を緩めつつ、残りの粘液は竿を伝わせ指に預けた。

「……動きたい」

 先端を口の中で、残りをヌメリを得た手で、ゆっくりとこすりあげ愛撫していると、頭上で切実な声が聞こえる。

 シャルは返事をする為に咥えていたものをジュルリと吸い上げ、飲み込んだ。

 ビクッと腰が震えたのを面白いと思いつつ、口を離してペロリと唇を舐める。

「ん、下手くそだったか?」
「くっ……逆だぜ、上達早すぎだろ……! ……俺も、触りたい。交代しろ。舐める」
「む、それじゃあいつもと一緒だ。それに今日は飲める気がする」
「飲むな馬鹿野郎」

 グルルと唸るアゼルは、身を任せてくれと言わんばかりに見つめるシャルを、紅潮した顔で睨みつける。

 前回は驚いて口を離したので飲み込めなかったが、リベンジする気満々なのだ。

 アゼルからすると、流石にそんなことはさせられないとなるらしい。

 後、自分はなにもしていないのに奉仕させて、挙句口でイかされるなんて恥ずかしいと。

「まだ、だめだ」
「おわっ」

 ムラムラとシャルの言いつけ、我慢の間で揺れるアゼルを、シャルは足を引っ張り引き寄せた。

 ふかふかの枕を背にもたれかかっていたのに引っ張られてずり落ちる身体が、シーツを乱して寝そべる。




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