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六皿目 純情変態桃色魔王

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(んん? ん、一先ず助かったか……?)

 俺はわけがわからなくてとりあえず起き上がり、はだけた服を元に戻した。

 うう、胸のところが湿って透けている。
 ベストを着ていてよかった。

『──ンじゃあ、好きなタイプになる為にアレコレしてて? 最終的に性癖チェックの為に、お散歩モードでエロ本を読ませに来たわけか。そんでオモチャを買おうとし始めたから、止める為に押し倒したら、魔が差したと。クックック……!』
『笑ってんじゃねえぞ。重大事項だろうが。例え無機物でも俺以外がアイツの中に入るのは、ダメだぜ……! そんで初めて口でするのが俺以外ってのは、あり得ねぇッ』
『夕焼小焼な時間までなにやってんだかなァ~。俺が聞いてやるから、魔王はそこで犬っぽく座ってな?』

 俺が服を整えてソファーに座り直す頃になると、丁度一人と一匹の話し合いが終わったようだ。

 じ、っと無言で見つめ合っていたガドと犬が、何事もなかったかのようにやってきて、隣に座る。

 なんで二人とも両隣なんだ。挟まれた。

 ──実際は俺が犬と思い込んでいる狼が、アゼルのお散歩形態だと言う事実がある。

 そして更に二人は人間には聞こえないし話せない、魔物語で話していたのだが……俺がそれを知ることは、ついぞなかった。

(なんなんだまったく。俺だけが散々だぞ……?)

 むぅ、と無言のまま困惑してしまう。

 ガドに夕飯に誘われたことで外を見ると、空はすっかり赤く染まっていて、そろそろアゼルが帰ってくる時間だった。

 まさかエロ本でそこそこの時間を使ってしまったとは。
 そっと息を吐く。

 うん。まぁ、楽しかったから良しとするか。
 あっちの練習はアゼル本人に頼んでさせてもらおう。

 獣姦は回避したので気にするのはやめて、テーブルの上の紅茶セットを使って紅茶を用意する。

 ガドにお礼を言おうとしたが、ガドのほうが先に口を開いた。

「なぁシャルゥ。お前の恋愛的に好きなタイプって、なんだ? 愛関係なくだぜ?」
「ん? 今日二回目だな、その話……」
「ケド俺とはしてねェかんな~」
「それもそうか。愛関係なく……単純に好みってことだな」

 カチャン、と紅茶を俺とガドと犬の前に用意して、今日二回目のピンクめな話に思案顔をする。

 そうだな……。
 仮に俺が誰も好きじゃなくて、出会ったら恋をするかもしれない容姿と中身というわけだろう?

 まぁ、聞かれるのは二度目だし、ここにはアゼルもいないから、ちょっと思う様答えようかな。

「馬鹿みたいな惚気話をしようか。アゼルには秘密にしてくれよ?」
「クックック」

 挑発的なニヤリとした笑みを浮かべた俺の言葉に、ガドが口元に手を当てて、愉快げに笑う。

「愛関係なくなら、俺は本当はしたがりだから、女性のほうが好きだと思う。守りたくなるか弱い存在に弱いとも思う」
「お前らしいなァ」
「でも、俺は好みでない筈の、アゼルが好きだ。アイツじゃないと、好きじゃない。んん、不思議だな? ガド」
「惚気だな。でもまだ馬鹿さが足りなくねえかぁ」

 ガドはニマニマとなぜか俺の後ろの犬を見つめて、な? と言う。
 ガドに向き直っている俺には、犬の姿は見えない。


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