本日のディナーは勇者さんです。

木樫

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六皿目 純情変態桃色魔王

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「はっ、っ…、今度はどうした、くっ」

 ようやく舌が口の中から出ていったので息を吐くが、次はそのまま首筋を舐められる。

 舌は更に下がり、カーキのベストをはだけさせた。
 シャツの上から胸の突起を鼻先でグリグリ弄られ、舐められる。

「っ、こら、そこはだめだっ」

 流石に慌てて犬の頭をグッと強く押しのけるが、全く避けられない。

 つ、強いぞ。犬なのに凄く強い……!

「んぁ……っ」

 唾液で濡れた生地の上から、透けて立った乳頭にカリ、と歯をたてられる。

 弱点への刺激につい甘い声を上げてしまい、バッと口元を押さえた。

 俺は犬相手になにをされているんだ。
 そしてコイツはなんで俺のツボを心得ているんだ。やめろ。乳首を噛むのはやめろ。

「あ、も、ダメだから、っやめろ、あっ」
「わう……!」
「尻尾振ってる場合じゃ、ンッう、はぁ……っ」

 ご機嫌な犬は、はちきれんばかりに尻尾を振っている。

(くそうかわいい……!)

 俺への怒りなんて忘れたのか、それはそれは楽しそうに俺の体の上に寝そべり、犬は熱心に舐めたり噛んだりと肌を弄んだ。

 足の間にモフモフの体を入れられているので、足を閉じることも起き上がることもできない。

 このままもし勃起したら、犬とはいえ即バレだ。
 それはいただけない。無情すぎる。

(こうなったら、魔法を使って抵抗するしかないぞ……っ)

 俺は覚悟を決めて喘ぎ声を押さえつつ、もごもごと必死に呟き、犬を軽くどかせる程度の魔力をこめて魔法を使った。

「ぁあ……っくっ、弾けっ!」
『打ち消せ』
「は?」

 しかし、パァンッ、と魔法はシャボンが弾けるように打ち消されてしまった。

 ポカン、となにがなんだかわからない俺は、犬を見つめて固まる。

(お、俺の使った魔法が、なぜか勝手に消えた……?)

 なんとなく犬が一瞬声も発さず口を動かした気がするが、なにも聞こえなかったので気のせいだろう。

 犬は全く気にせず、嬉々として俺の乳首をいじめている。

(……ハッ! まさかこの犬、魔法無効のスキル持ちなのか……!?)

 耐性スキルですらレアなスキルだ。
 無効スキルなんて、全くお目にかかったことがない。

 ──この犬……強いぞ……!

「ひ、う、き、鍛えているのに、犬にすら勝てない、だと……? っやめ、こら、っんん……!」

 ガビン、とショックを受ける俺は、魔法が効かない犬に、なすすべなくされるがままになってしまう。

 これはまずい。まずいったらない。

 フサフサの毛が肌をこする。
 胸に添えられた両の前足が、肉球でサワサワし始めるのが更にまずい。

 魔族のエロ本には人間は載ってなかった。もしかしたらこの犬は、人間趣味なのかもしれないぞ。

「は……っこの、いけない子だな。お前は……? 主のモノに手を出すのか? んう、っ」
「がう、あう」
「ン、もうよせ。アゼルに叱られるぞ……っ」

 なかなか言うことを聞かない犬にあわや獣姦かと内心焦っていると不意に──ガチャ、と窓が開く音がした。

 そしてすぐに困った時の強い味方、本人公認サポートセンターこと、頼りがいがある銀の竜がマイペースにニンマリと笑い、悠々とやってくる。

「シャァル~。今日俺もメシ一緒に食う~」

 やってきたのはもちろん、何度言っても窓からやってくるおなじみの空軍長官──ガードヴァインさんだった。

 よ、よし。これでなんとかなるぞ……!

「がっガド……! 助けてくれ!」
「ンア?」

 俺は闇の中に光が差したとばかりに、ソファーの上からガドにヘルプをする。

 が。なぜかキョトンとしながら、首を傾げられた。

 ガドは足元に落ちていたエロ本を拾いながら、のんびりとした足取りでこちらへ向かって来る。

「なんでそんな姿なんだァ? 魔お「ウォンッ! グルルルッ!」アァ、そうなのか。クククッ悪ィ悪ィ」
「う、うん?」

 ガドがなにか言おうとすると、俺の上で俺を好きなように弄んでいた犬が、素早くバッと飛びかかる。

 そしてガドにワンワンと吠えかかり、異議申し立てを始めた。

 どうしてか、仲良さげだ。
 犬とガドは友達なのだろうか。


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