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六皿目 純情変態桃色魔王
19(sideアゼル)
しおりを挟む「それよ! 箱入りのお妃ちゃんは、よそに男を作れないじゃん? 城で見繕うと魔王様が塵にするだろうしぃ。でもでも、快感を覚えた身体はふとした時に切なく鳴き出す筈……!」
「そっ……そんな……っ!?」
まるで見てきたように語るマルガンの言葉に、俺はカッと赤くなって焦った。
(アイツ、そういう気持ちで普段昼間過ごしてんのか……!?)
もしそうならば、とんだドスケベである。
いやしかし、前一日一緒にいた時は全くそんな素振りはなかったと思うが、本当はそうだったのだろうか。
(そうか……俺がいたら、そうはならねえか。そうか、うん、うん)
少し悩むが、旦那がいるならセックスをすればいい話、とすぐに納得した。そりゃそうだ。
ということはそんな状態で、俺が仕事の後部屋に戻って来た時、涼しい顔でおかえりと抱きしめてきていたのか?
あんな何事もなかったかのように?
欲求不満どころか、性欲はあまりないんですって顔をして?
そう思ったらなんかもう、なんか、シャルは──存在しているだけでエロいじゃねえか?
チッチッチッ、ポーン、と俺の頭の中でひとつの結論が出てしまった。
俺がおかしいのかコレ。
俺が不健全なのか。
「俺っち的に、人妻はドエロい! 火照った熱を鎮める為に部屋で一人遊びしてたって、そんなの人妻道の序の口よ。魔王様はエロ判定が低いんだわ! エロってのはもっとねっちょりグチョグチョなんだかんね?」
「くっ、お前の持ってた人妻巨乳のエロ本展開が、事実だって言うのかよ……!?」
「モチに決まってんよ~っ! 城下の雑貨屋のマーリャも旦那のいない昼間に『貴方の剣で私を串刺しにして?』ってムチムチの尻と胸を俺っちに……!」
「ふあっ! そ、そんなにエロい存在になってたなんて、お、俺でアイツの身体を満足させてやれんのか?」
至極真剣に焦燥する俺の脳内で、一人遊びをするシャルが物足りなさを持て余している妄想が流れる。
脳内シャルは自ら慰めながら、俺を呼んで切なげに喘ぐ。
そして『これは、趣味じゃない……俺が好きなのは、もっと……』と言い、憂い顔だ。
こうしちゃいられない。
性癖ミスは、質さねば。
俺は真っ赤な顔であせあせと立ち上がり、拳を握ってマルガンに向き直る。
マンネリやらレスやらでだんだんと不満が溜まることは、よくあるらしいからな。
恋愛コラム調べによると。
──と言うわけで。
とりあえず〝俺とは真逆だったアイツの好きなタイプになってメロメロにする作戦〟は一時中断だ。
それよりも断固早急にどうにかしないといけない事案が、現れた。
「今から〝シャルの性癖を調べて今夜は満足させてみせるぜ作戦〟に変更だ……!」
「イエスボス!」
作戦名がそのまんま?
うるせえこちとら男として生きるか死ぬかの瀬戸際なんだぞ!
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