321 / 901
六皿目 純情変態桃色魔王
07(sideアゼル)
しおりを挟むとりあえず世界の常識シャルかわいいを唱えることで、俺は初撃を耐えた。
──が。
放たれたシャルの好みのタイプで、ものの見事にメンタルはズタボロになった。
『身長が小さめで……あまり眩しくない、健全な面相で……やや三段腹ぐらいの、適度にたるんだ身体で……』
ぐはッ、俺のほうが背が高い……!
残念ながら魔王仕様で、魅了アップの俺のご尊顔……!
努力も虚しく引き締まった腹筋に、軽やかに動けるよう、身体を重くしない程度に鍛えた身体……!
『あぁ……なるほど。確かにそれならのほほんなお前的にも、安心感あるね』
あっ安心感だと……っ!?
シャルの好みのタイプじゃねぇ俺に、安心感がなかったのか!?
『そうなんだ。後は個人的に獣耳が欲しいのは置いておいて……俺の勝手な要望でいいなら、あまり(シャルに)優しくし過ぎないでほしいかもしれないな』
! 獣耳はあるぜ! あるんだぜシャル!
だが……優しくするなって、どういうことだ!? 厳しい男が好きなのか!?
どんどん知られざる妃の好みのタイプが割れて行き、俺はハラハラと動揺で廊下を荒らしながら、聞き耳を立てていた。
ヒットポイントは赤ゲージ。
これ以上は耐えられない。
だがしかし、よろよろと肉体改造計画を練る俺に──とどめを刺した会心の一撃。
『あれが……上手い人がいいな。俺は実のところいつも、どう断ろうかと悩んでいるんだが……アゼルは強引だから……』
『──ほら、下手くそだろう?』
「下手くそ……この俺の……実は百年越えの童貞を拗らせていたことが……バレていたとでも言うのか……」
「魔王様~! 帰っておいで~! せっかくのイケメンが台無しだよ~ん?」
ガーンと落ち込み度が地底に達している俺の話を聞き、軽い語調の慰めが降りかかる。
ソファーに突っ伏する俺の体をゆさゆさと揺さぶる軟派な男は、この部屋の主だ。
へらっと緩い笑みを常に浮かべ、肩にかかるくらいの柔らかな金の髪。
誘うようにゆっくりと瞬きをする、タレ目の甘いマスク。
黒い軍服に身を包み、息をするように誰でも口説くこいつ──マルガンは、魔界きってのチャラ男でサボリ魔だ。
もっと言うと俺の桃色事情系知識の大元で、陸軍長官である。
笑死魔将、マルゴリー・マルゲリーテ。
副官のゼオはスケコマシと呼んでいるぜ。
「ガチ凹みじゃぁん、魔王様ぁ~」
しかし残念ながら今の俺には声をかけながらのぞき込んでくる女受けバツグンのハニーフェイスも、土偶に見える。
嫁に下手くそだと言われた男の気持ちが、経験豊富なチャラ男にわかるか。
俺はシャルならば土偶でも勃てるってのに、うう……ッ。
41
お気に入りに追加
2,688
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる