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四皿目 絵画王子
05※
しおりを挟む「ん、ん……っんぅ…っふっ……!」
追い立てられるような早急な突き上げを繰り返され、俺はビクンッ、と足先を丸め、達してしまった。
下半身が浸る湯船の中に白濁液が迸り、すぐにたゆたう。
「ふっ…っ…ぅ……っン……」
──うぅ、いやだ……。
視界の端で自分の粗相を捉えて恥ずかしく身震いするが、絶頂に浸ることは許されない。
俺が達していることはわかっているだろうに、アゼルは責め立てる勢いを弱める気がなかった。
ギュッ、と目をつぶる。
そんなことをされると、俺はダメになってしまう。
波が引く前に前立腺をノックされて骨盤の上や筋肉をなでられると、腹の奥に孕んだ甘美な絶頂感が逃げ場を失い、俺の脳は溶けていくのだ。
「はっ」
「ふぁ……っん…あ、ぜる、まだ、イってる……っぁぁ……っ」
チュ、と互いの混じりあった唾液の溶液を舐め取って、ようやく唇が離れた。
物申そうとしていた俺の言葉は、案の定、嬌声になりかわって伝わらない。
ゴッ、とバスタブの内壁が背にあたって背骨が痛んだ。
「っ……ぁッ…ふ、か……っ」
喉が仰け反り、口端から唾液が零れた。
熱い。逆上せたのかアゼルのせいか、よくわからない。
逃げ場のない状態では、より深く呑み込ませられてしまう。
アゼルは動きながら掴んでいる俺の腰も動かし、最小限の律動で巧みに熟れた襞の全てを擦った。
首筋を噛み、水滴ごと肌を舐め、俺が感じてアゼルにしがみつく腕の強さすら嬉しいようで、機嫌がいい。
機嫌のいいアゼルは夢中になっているので、口数が減ってしまうのだ。
そのうち激しかった抽挿は小刻みになり、湯が揺れる音と俺の喘ぎ声が、篭ったバスルームにから回っていく。
「ぁっ……っ…は……っあ、……いっ……っ」
まるで蜃気楼のようだ。
気持ちのいい夢に思える。
顎をそらすせいでくっきりと浮き上がった喉仏をガリッ、と噛まれたかと思うと、ややあって、腸壁を限界まで広げていた怒張が脈動した。
「ん……ぁ…んっ……」
肉襞の隙間の奥へドク、と吐き出される精液を感じ、腰がブルリと痺れる。
一度射精したはずの屹立が、芯を持っていた。くそう、アゼルのことをやらしいと言えないぞ。
でも、アゼルが気づいているかはわからないが……俺は多分、中に出されると感じてしまうんだと思う。
あちこちについた歯型をペロペロと熱心に舐めているアゼルの髪をなで、心の中で密かに性癖を自覚した。
するとアゼルは歯型にキスマークまで足してから、少し身を離す。
「ぁ……ん…も、出るか……?」
小首を傾げて尋ねると「馬鹿野郎め、全然足りねぇ」と文句を言われた。
パシャン、と水音が鳴り、アゼルの手が俺の胸元をヌルリとなぞる。
「ん、く……、っぁ」
俺が吐き出した白濁液をこれみよがしに胸に擦り付けられ、カァ、と恥ずかしさに目が潤んだ。
「くくく、もう一回洗ってやらねぇとだめになったな」
「はっ……それは、その、そんなこと、するからだと思うが……、んっ…ひ……っ」
「意地悪が好きなんだろ? シャルは体も、これも、全部甘い匂いがしやがる。桃の食いすぎだな。だから俺が上書きの香りに選ぶのは当然で、自業自得だ。お前がいい匂いなのが悪い」
「や……っぁ…んっそ、れ……暴論だ、ぁ……っ」
理解できないアゼル論を論じられてまともな返事を返す前に、間を置いて復活した中の肉棒が再度動き始めた。
「くっ…ふ、っ…アゼル……っ」
──むむ……こうされてここから巻き返せた試しがないぞ……。
予想どおり、抱かれることに慣れきった粘膜は貪欲にしゃぶりつき、快感を貪る。
まぁ、アゼルに求められて拒む気がない自分のせいでもあるので、俺は静かに身を委ねた。
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