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四皿目 絵画王子

03※

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「ぁ……っん、ふ……」

 俺が仕掛けた唇を触れ合わせるだけのキスは、足りないとばかりに歯列を割った舌により、瞬く間に官能的なモノへ深まっていった。

 互いの唾液を混ぜあって飲み下すのが気持ちよく感じ、アゼルの舌を吸う。

 内壁を擦っていた緩やかな抽挿が止まる代わりに、湯の中で手が肌を滑り胸の突起を摘んでは捏ねる。

 角度を変え、舌を絡ませ、吐き出された相手の吐息で呼吸する様な戯れ。

「ふっ……っ、ン…んぅ……」

 腹側のしこりをゆっくりと押しつぶしていたのに、フイとキスと愛撫だけで責められ、物足りない。

 無意識に柔らかな肉襞が、強請るように中の雄をキュウと締め付けた。

 焦れているのがわかっているのに、アゼルは溢れる唾液を舐め取っては舌を絡め、顎裏をくすぐるばかり。

「ん……ぁ…っはぁ……く……っ」

 自分で筋肉に力を入れ中を感じると、余計にいつもの快感が欲しくなる。

 俺を抱いている時のアゼルは、少し意地悪だ。

 抗議するべく、自分の勃起したモノでアゼルの引き締まった腹筋をなぞり、控えめにヌチュヌチュと擦り付ける。

 するとようやく、食らい尽くすように口内を貪っていた唇が、糸を引いて離れた。

「は、ぁ……なんで止めるんだ、ちゃんと抱いてくれ」
「フフン、でも好きだろ?」
「好きだが」

 なんだそのドヤ顔は。

 背中と違い別段性感帯でもなかったのに、誰のせいで乳首責めが好きになってしまったと思っているんだ。

 指の腹で硬く芯を持つ胸を弄ばれ、ゾワゾワする。

 好きだというか、好きになってしまったんだぞ?
 勉強熱心で要領のいい魔王様のおかげでな。

「好きならいいじゃねぇか」
「ふっ……ぅあ……っ」

 火照った肌に触れ堪能するアゼルにふぅ、と息を吐いた。

 高められている情欲に抗わず、俺はアゼルの肩に手を添え膝を浴槽の底について、自分でどうにか身体を少しずつ浮かせる。

 ズズ……っ、と粘膜が擦れ合い、奥までハマりこんでいた肉棒が途中まで抜けた。

「ン、……今日は頑張って、疲れているなら……俺が動く。ふ、ゆっくり休んでいてくれ」
「なっ……! え、そっ、まあ……しっ、仕方ねぇな……!」

 うん、言葉とは裏腹に非常に嬉しそうだ。

 思わず頭をなでて労るとアゼルは感極まったように抱きつくが、動けないからちょっと腕の力を緩めてほしいな。

 よしと意気込んで肩に置いた手に力を込め、ズルズルとどうにか少しずつ引き抜き、ギリギリまで腰を浮かせる。

「く……ぅ、ん……っぁ……」

 勝手がわからないのでなるべくゆっくり腰を持ち上げると、きゅっと締まった括約筋が形をなぞるように広がって、中程のところをどうにか抜けた。

 いつもしっかり解してから挿れてくれるので、不慣れな俺でもすんなりと腰を引ける。

 初心者に優しくないサイズであるそれを感じ、意図せず形を内壁で確認して、反芻する様な心地。

 硬く逞しいので、抜き差しがし易いのは救いか。

 おかげで好きにさせると、腹の中を殴られている気分になるんだけどな。

「ぁっ…んぁ……はっ……」

 入口がつっぱり足が震えるが、先端の反りまでたどり着き、ゆっくり元通りに腰を降ろしていく。

 腰が付け根からゾクゾクと粟立つ。

 抜き差しするだけで気持ちいいのか。俺の体は、手遅れだな。

 なるべく中を開こうと力を込めたからか、隙間からお湯が入り変な感じがしたので、情けなくもぎゅっと目を瞑った。

「うぅ……お湯、入ってきた……っ」
「口広げるからだろ?」
「よし、締めて、やる……ん、んン……っ」

 ニヤリと愉快げに言われて、アゼルの腰の上で一息吐く。

 一度目の失敗を考慮し、今度はお湯が入らないようにキツく絞る意識をして、また身体を持ち上げる。

「はぁ…っ……ぁ、っく……」

 そうすると引き絞った口ではまた埋める時に咥えにくい。

 ズプッ、と挿入すると、狭い体内をギチギチと押し広げられる感覚が、背筋を駆け上がった。

 突き込むだけで腫れたしこりが潰され、内側からよく知った快感が脳を焼く。

「ぁっ…ぁっ…あ…はぁっ……」

 緩やかだった動きは霞んだ理性を振り払い、次第にちゃぷちゃぷと湯を揺らして激しさを増して来た。

「あ、あっ…っく…ぁ…っ」
「これ、いい眺めだな。ククッ」
「ッ……! ぁ、あ、こら、そこは、広げるな……っ」

 自ら乱れ始めた姿を眺めふんふんと機嫌の良くなったアゼルは、懸命に奉仕する俺の尻を左右に開いて、いくらか抽挿をスムーズにする。

 そのせいで僅かな隙間からまた暖かな湯が体内に染み込み、驚いてギュッと肩を掴む手に力を込めた。

 わざとか、意地悪め。



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