本日のディナーは勇者さんです。

木樫

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二章 勇者兼捕虜兼魔王専属吸血家畜兼お菓子屋さんとは俺のことだ。

68※(sideアゼル)

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 シャルの腰を抱えている手で、しっとりと様々な体液で濡れた肌をなでる。

 この腹の中に注ぎ込んで、貪って、自分のものだと刻みつけた。

 どうしよう。
 俺は満ちすぎて、今すぐ世界征服ができる気がする。

 世界を征服したらその半分をシャルにあげよう。世界の半分をあげたなら、俺とお前だけの世界を二人きりで共有できるだろ?


「シャル」

「っ、ん、ぁ……?」


 うつ伏せでシーツに張りついていたシャルの体を抱え、シャルの痴態がよく見えるように、ドサッと仰向けに押し倒す。

 未だに脱力してぼんやりと反転した世界で、自分を押し倒す俺を見ているシャル。

 汗で濡れた前髪は額に張りつき、赤らんだ頬は唾液と涙で濡れている。
 芯を持ったままの性器がヒクリと震え、湿った茂みにトロリとこぼれた。


「ぁ……アゼ、ル……好きだ」

「く、っ……ああ、くそ」


 滲んだ視界に俺が見えたからか、シャルは重ねて愛を告げた。
 その意味を知った俺に、その言葉はあまりにも刺激的すぎる。

 口元を覆って、茹で上がった顔を隠す。

 いつものように背けようとするが、こんなにもイイ姿から目を逸らすだなんて、とんでもなくもったいない。

 ほんの数時間前まで、こんなにも淫靡な空気を纏うとは思えなかった。なのに今はたまらなく淫らで、艶やかな男だ。

 ともすれば蜜事とは無縁の禁欲的な香りすらする端正な顔。

 俺がイったから律動が止み、射精できなかったままの勃起と入ったままの肉棒に襞を刺激され、無意識に強請るような表情をしている。


「っ……魔性だな、っ……」

「ふ、んん、……ん、ん……」


 吸い込まれるように顔を寄せて、チュ、と唇にキスをした。そんな顔をされると、我慢できない。

 そうさせているのが自分だとわかっていると、胸の高鳴りは止まらず、チュク、チュル、と舌を突き込んで味わってしまう。

 止めていた律動を再開させ、激しかった一度目と違い、ゆっくりゆっくりと胎内を掘削する。

 チュプ、と舌を引き抜くと、惚けきった双眸が俺だけを映して、逸らさなかった。


「ふ、好きだ、アゼル……俺は……お前、に……染まった……」


 ──これが、恋。

 シャルは自分をかわいくないと言っていた。きっと外見のことを指しているのだろうが、俺の目にはこんなにかわいく見える。

 かわいくて、綺麗で、愛おしくて。
 この世界の誰よりも一番──……好きだ。


「俺だって、とっくにお前にしか染まれねぇ」

「ん、あ……ぁ……」

「これが恋だったのか……ふふん。かわいい、かわいいな……シャル。……なあ、世界の半分をやるから、俺のものになれよ」


 なんて、お前が望むなら世界全てを手に入れて、跪いて差し出すぜ。

 誰にも邪魔させない。
 ずっと二人で抱き合っていられるような、最高の世界に染めあげてやろう。


「シャル……俺もお前が、好きだぜ」


 くくく、と機嫌よく喉の奥を震わせながら、シャルが快楽でわけがわからなくなっているのをいいことに、素面では恥ずかしくてスムーズに言えないことを言う。

 腰を揺するとふにゃりと破顔し、甘い声を漏らしだした愛しい勇者を抱きしめ。

 俺は溢れ出した愛を持って何度も何度も、キスをした。




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