本日のディナーは勇者さんです。

木樫

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二章 勇者兼捕虜兼魔王専属吸血家畜兼お菓子屋さんとは俺のことだ。

66※

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「は、イク、イぁ、ぁぁ……っ!」

「シャル……ッ」


 上り詰めていく快楽が絶頂をもたらし、ガクガクと全身が痙攣した。

 それでもすぐには収まらない。
 トロリと色のないなりそこないの射精を終え、萎えきらない肉茎がヒク、と呼吸する。

 ほんの少し冷静になった。
 ぼんやりと白んだ視界の中、アゼルに名前を呼ばれ、愛おしさが溶けだす。


「……ゼル……アゼル、好きだ……」

「──ッ!?」


 愛する人にこんなにも熱く抱かれて、駆け引きなんてできるわけがない。

 男だとか、女だとか。魔族だとか、人間だとか。魔王だとか、勇者だとか。

 臆病な俺はたくさんの問題を考えてしまうけれど、どうせ諦めることはできないのだ。

 だって俺は──お前が、好きだ。


「この世界の誰よりも、お前が一番好きだ……っ心ごと、もうお前にしか染まれない……俺はお前だけが、欲しい……っ」

「なッ……! ッ、チッ……ッく」


 甘ったるいフニャフニャとした泣き出しそうな声の告白をした、直後だ。
 ガリッ、と項へわずかに牙で傷をつけられ痛みが走ったのも束の間。

 陰茎の根元を内側から押しつぶしていた怒張が脈打ち──ドクンッ、と弾けた。

 ドクッドクッとマグマのような熱い液体が注ぎ込まれる。
 酷く熱くて、届かなかった中の隙間にまで、染み渡るような知らない感覚。


「っふ……ん……中に……」


 ぼう、と体内の熱を感じ、襞がヒクヒクとひとりでに蠢いた。

 他人の精を注ぎ込まれるなんて、当たり前だが初めてだ。
 けれどこれもアゼルと出会わなければきっと味わうことがなかった温度である。


「ふっ……」


 予想していたより、注ぎ込まれる精液の感覚が鮮明に伝わった。

 下腹部と腰のあたりに、甘い痺れが走る。俺に欲情してくれた証のようで、嬉しい。一滴もこぼしたくなくて、力の入らない筋肉を動かしきゅう、と締めつける。

 ──これは……まずい。

 これをされると、自分がこの男のものだという感覚が、強すぎる。

 感情のない相手ならこうはならないだろうが、恋い慕う男のものなら、まるで麻薬のようにもっと欲しくなる。


「ッ……ぐ、ッ……」

「……ん、っぁ……はっ……」


 興奮して尖っていた牙は、完全に刺さる前に咄嗟に引っ込めてくれたらしい。

 アゼルは傷つけない歯で俺の項にカプカプと噛みつき、チュク、と肌に吸いつきながらわずかに震える。


「ん……あ、ぁ……はぁ……」


 うるんだ瞳を閉じて、俺はトクトクと吐精される官能に浸った。

 口からこぼれ落ちないか、とありえないことを心配したくらいだから、もう俺はすっかり脳が緩みきってしまっているのだろう。

 こうされると所有されるのか。
 なら俺も逆に、こうさせたのだから──天下の魔王様を所有させてほしいな。

 恋心は愛へと転じ、一人の男へ、心の所有権を捧げたのであった。




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