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二章 勇者兼捕虜兼魔王専属吸血家畜兼お菓子屋さんとは俺のことだ。

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 こんな感覚は知らない。
 じっとりとねばつき、深く押し寄せる波のような快感を与えられすぎていた身体。

 乱れきったそこへ突然嵐のような乱暴で強烈な快感が与えられるなんて、耐えられないものだろう。

 目の奥が白く感光する。
 頭の回線がショートしてきた。前と後を同時に攻められながら、ただただアゼルの与える感覚だけを必死に追い求める。

 何度も奥を突かれて胎内を蹂躙されているから、俺の中がもうアゼルの形を覚え始めている。

 心と連動させられた内壁は、好きだ、好きだと、コレだけを求めているのだ。

 そういう生き物に身体を作り変えられたようで、ゾクゾクと背筋が疼いた。だったらすごく、素敵なことだと思えたからだ。


「はっ、ふ、アゼル……っお前を悦くするための身体に、変わった、みたいだ……っ」

「っアホ、真っ直ぐすぎんだよ、お前……! そんな素直な身体、ぜってぇ俺以外に染まんなよっ?」

「あぁ、っん……! ん……っ!」


 無意識に深く受け入れるよう調教された内部の快感に喘ぎ訴えると、項から首筋、ついに肩甲骨を噛み始めたアゼルが、低く唸って俺を叱りながらグリッと腹の中の粘膜を抉った。

 中が気持ちいい。
 擦られるのも、突かれるのも、すごく気持ちいい。
 急所の動脈や骨の上、噛まれるのも気持ちいい。
 ビクビクと脈打つ勃起を陰嚢から先まで、余すとこなく揉まれるのも気持ちいい。


「ふ、アゼルが、きもち、いい」

「っシャル……っ」


 男に抱かれること、誰も受け入れたことのない器官を犯されること。

 それがではなく、アゼルにそうされるのが気持ちいいのだ。

 俺はアゼルのものなら身体だけじゃなく、吐息も、汗も、声も、全部に酷く興奮する。もう頭が熱にやられて、グズグズに溶け出しているんだ。絶対そうに決まっている。

 涙が出てきた。
 気持ちよすぎて、満たされすぎて。


「ぁっ、いいっ……俺を感じてくれ、アゼル……お前が、もっと欲しい……っ」


 ギシッギシッと軋むベッドで揺すられ上半身はもはや痙攣しながらシーツに沈むだけの俺は、桃色の声で、名前を呼ぶ。

 青みがかった黒い瞳から、一筋の雫が零れた。──どうしよう、我慢できない……言ってしまいそうだ。

 触れ合って脈アリかどうか探ろうだとか、これから好かれる努力をして、自信をつけてから告白しようだとか、思考が消えていく。

 お前の俺への好意は、自分の食事だからという意味でなのか?
 それとも別の、特別な愛情なのか?

 お前の気持ちが聞きたいという願いすら、自分の恋心で塗りつぶされていく。今この瞬間の心が求めること以外は、なにひとつ考えられない。

 アゼルを愛したい。そしてできれば、同じように愛してほしい。

 それ以外はどうでもいいだろう? と、俺の頭が理性を飛ばしていく。




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