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二章 勇者兼捕虜兼魔王専属吸血家畜兼お菓子屋さんとは俺のことだ。

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 正直、体中を愛撫されすぎて、どこもかしこも疼くようになった気がする。

 正気のまま快感に従順な体にされてしまい、要領のいい彼に覚えられた弱いところを刺激されると大人しく喘ぐことしかできない。

 今の俺は前までなんとなく気持ちがいい程度だった背中の性感帯を整体なんかで指圧マッサージされたら、おそらく勃起するだろう自信があった。

 恥ずかしすぎる確信だ。
 感度というものはリセットが効くのだろうか……。


「ン……っは、あぁ……っ」


 俺が呼吸もままならないにも関わらず、中も外も弄ぶ手が止まらなかった。

 具合を確かめるように肉襞をクチュクチュと掻き回され、切なげな喘ぎが溢れ出す。

 目的は果たしたのに戯れに熱を持て余しきった身体を攻められ、思考の外で腰がゆらめき、強請るように指の抜き差しに合わせて襞が追いすがった。

 指一本すらうまく呑み込めなかったはずの中はすっかり柔らかく解けている。

 四本の指がグパ、と入口の伸縮性を試し、そこから滴る粘液が内ももを伝って体が震えた。

 指先から注がれる魔力が体内で魔法のなりそこないに変換され、なんの威力もない透明な粘液だけが腹の中に広がる慣れない感覚。

 潤滑油の役割を担うそれはアゼルによってランダムに注がれて、アゼルの手や俺の下半身をヌラヌラと卑猥に光らせた。

 後ろを振り向けない俺の耳にグチュグチュと自分の中を掻き回される音が届くたび、酷く恥ずかしさに肌が焼け焦げて、余計に敏感に感じてしまう。

 体内を擦る四本の指。

 親指は会陰をなぞっては指圧し、唇は臀部から背中にかけて吸いつき、時折甘く噛みつく。

 緩やかで尽きない快感によって、鈴口をヒクつかせるだけだったモノが控えめに反り返り、再び熱を帯びて脈打っていた。

 淫らな自分を恥じる気持ちも大いにある。けれど仕方ないだろう、と開き直る気持ちもある。

 直接的に言葉にしていないとはいえ、俺を喘がせて機嫌よく肌にキスマークをつけているアゼルは、俺に好かれている自覚があるのだろうか?

 わかっているのかそうじゃないのかわからないところだ。……ちょっと悔しい。俺が体から落とされてどうするんだ。


「あ……はっ……」

「いつも思ってた。よく見ねぇとわかんねぇけど、細かい古傷がたくさんある」

「それは俺が、っん……回復魔法、使えないから、ポーション……っん、は」


 本当に薄くしか残っていない数々の古傷を目ざとく見つけていたらしいアゼルは、切れ切れな返答に「人間は回復薬がないとだめなのか……」と神妙に頷く。

 自己治癒のできる魔族なので魔界にはポーションなんてないそうだ。

 自己治癒で回復できないレベルのケガなら、ポーション程度じゃ回復しないので無駄ということである。

 カリッ、と甘く噛みつく牙。


「んぁ……っ」

「傷跡が感じるってのは、人間だからか? それともお前だからか?」


 皮膚が僅かに薄くなっている傷跡に牙を掠められビクンッ、と背中が丸くなった。

 質問をするアゼルの声が上擦っている。楽しそうなそれはわざと意地の悪いことを言っているんだ。

 それぐらいはわかるくらい、俺はアゼルに神経を持っていかれている。

 背中が感じるのは俺の性感帯だ。だけど口に出して答えるのは、恥ずかしい。


「いじわるを、しないでくれ……」

「ッ……!」


 カァァァ……と顔が真っ赤に染まるのを感じて、俺はクッションで顔を隠しながら懇願するしかなかった。


「くそっ……お前はなんでそうっ……!」

「ふっ……あ、うっ……」


 ちゅぷ、と濡れた音をたてて、俺を弄んでいた指が抜ける。

 ねっとりと絡みついた肉が、振り切られたのを恋しがってヒクン、といやらしく収縮する様子がわかった。




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