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3.もう一番目じゃいられない
12※
しおりを挟む根元まで呑み込みトン、と触れ合うと、外側の体温が目じゃないほど熱く柔らかな襞が喜悦に蠢き、絞るようにきゅう、と収縮した。
連動した刺激に蜜を垂らす屹立がしなり、シーツに粘度の高い糸を引く。
夜鳥は窮屈な肉穴が自身の大きさに慣れるまで、じっと動きを堪えた。
まろやかにうねる襞が包み込んだ雄と一体感を芽生えさせると、じょじょに抽挿を始め、舟をこぐ。
トン、トン、と突き上げるたびに、朝五はしどけなく開いた唇から甘美な嬌声を吐き、もっと、と求めた。
感じ方を観察する夜鳥は、求めに応じ、次第に律動のテンポを上げる。朝五の教えた弱い部分をこそぐことも忘れない。
しかし夜鳥の腰使いはだんだんと激しさを増し、それは落ち着くことなく、どう猛なまでに朝五の中を貪り始めた。
「まっ……夜鳥っ……激しすぎ、ふっ……あぁ……っい、息できね、って……っ」
あまりに貪欲さを増していく交わりに、朝五は快感に喘ぎながらも夜鳥を呼んだ。
けれど夜鳥は眉を潜めて瞳を潤ませ、視線で強請る。手加減しようとはしない。
「ごめん、調節、できなくて……はっ……」
抱えていた朝五の片足の膝が肩につきそうなくらい押し倒し、朝五の頭を抱いて耳孔に肉厚の舌を挿れた。
「ぁ、っ……! くっ……ぅっ……」
ゾクゾクゾク……ッ、と陰茎の根元から耳までを甘い痺れが襲う。
鼓膜をダイレクトに嬲る淫猥な音だ。
気持ちいい。激しく求められて壊れそうにもがいても、気持ちがいい。
怒張を咥え込む幼気な口が健気に窄まり、直腸がヒクヒクと蠢動し、腹筋は不規則に波打って全身が痙攣した。
くりかえす喘ぎに覇気がなくなる。
トロンとトロけた甘ったるい声が、飴玉をしゃぶるように吐息とともに漏れる。
「もうっ……あっ…ぁっ……っ! ずっとそれ、無理っ……死ぬっ……ぁあっ……ン……ンン……っ」
ごりゅ、と下腹部を裏側から突き上げられる強烈な快感に、目の奥がスパークした。特別大きなわけじゃない夜鳥の杭だが、恐ろしいほどしつこく責め立てる。
このままでは本当に死んでしまいそうだ。早く夜鳥を満足させなければならない。
朝五はなけなしの力を込め、肉棒が排泄される時は殊更に粘り強く締めつけた。
拙い尻穴を奥深く抉られる時は、熟れた肉襞を弛緩させ、根元まで一息に呑み込む。
「ンッ……! んッ…んん……ッ」
大振りでハイテンポ。
しかし緩くはない挿入感。
人が変わったように求める夜鳥の動きに合わせて腰をたゆませると、力強い貫通のたび、朝五の下肢が浮き上がった。
「は……っ朝五、そういうのも、俺がいなかった十三年で、知ったんだよね」
男を感じさせる動きを熟知している様子の朝五に、夜鳥は息を詰め、朝五の口端から零れる唾液を舌で舐めとる。
「俺の経験値は全部朝五だけど、朝五の経験値はほとんど俺じゃない。そんなことずっと前から知ってたのに、俺、なんで朝五のお母さんじゃなかったんだろう? って、なんだか止まらないよ」
母親であれば細胞単位でハジメテの男だと──そう情けない声でアホなことを囁かれ、隙間を埋めるように抱きしめられた。
途端、朝五の胸がきゅんきゅんと嬉しげに弾んだ。自分だって、と急く夜鳥の言葉の意味は、嫉妬だ。
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