人の心、クズ知らず。

木樫

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第十話 人の心、クズ知らず。

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 グプ、と丸みを帯びた太い先端を肉の輪に潜り込ませると、柔らかく解れた内部はゴムバンドのように強く締めつけた。

 離したくねーって?
 焦らしすぎたか、ごめんごめん。でもこれじゃ挿れにくい。本末転倒。


「食いちぎっちゃやーよ」

「んっ……あッ…あッ入ってきた…ッあッ…!」

「ふ、っ……野山、の……動かないで、くれ……ぁ…っ……はっ……」


 掴んだ腰を引いて覆いかぶさり、首筋にふっ、と息を吹きかける。

 力が抜けた隙に押し進めるとみっちりと収縮する襞が絡みついた。

 それをこそがれる快感で喘ぐ春木と連動して、ハルに貫かれているアヤヒサが微かな呻き声をあげてピク、ピク、と筋肉を痙攣させていることがわかる。


「あッ…もう奥、奥にとど、っ……あっ? なん、終わんねっ…のっ……」

「あぁ、ごめんね。もうちょっと長いんだよ、俺の」

「嘘、それいじょ、奥っ…な、内臓おかしくなっちま、うぅ……っ!」


 コン、と長く太い怒張が直腸の奥を小突くと、ハルは後ろ手に縛られた手をわななかせ、自分の背をカリカリと引っ掻いてのたうった。


「く…っぅ、うぅ…っうぅぅ……っ」

「っひ……ッ私、の……中、出すな……野山っ…ふ…っ」


 初めて男のモノを根元まで咥え込んで拡がるア‪✕‬ルが、強すぎるほどにギュッ、ギュゥッ、と断続的に引き絞られる。


「ん……あーらら……?」


 背筋を跳ねさせながら淫蕩に沈むハルの背中と、甘ったれた声で抗議し、いやいやと首を振るアヤヒサを眺めて、コテン、と首を傾げた。

 どうやらハルは挿れられただけで、絶頂してしまったようだ。

 アヤヒサの中のうねりで刺激され男として順当な快感を得ながら、これだけではイケないと鳴いていたくせに、尻穴を貫かれる圧迫感では容易に絶頂する。

 いけ好かないと言っていたアヤヒサの中へドクドクと精液を吐き出して、肉悦の極致に溺れているなんて──……。


「あはっ……一生かかっても理解できねぇ」

「っん、ぁあ……っ」
「ふっぅ…っう…っ」


 一度達して弛緩した胎内を突き上げながら、ユルリと笑う。

 未経験でここまで乱れるハルも、ハルを通して律動を感じ喘ぐアヤヒサも、どう頭をひねったって理解できないのだ。

 けれど彼らは昔から、理解できないクズ野郎を理解しようと寄り添い続けてこんなカラダになってしまった、カワイイカワイイ唯一無二。

 ならば──俺もコイツらを理解するために、一生を使って奉仕を続けることがコイツらへの愛し方なのかもしれない。


「アヤヒサのぶんも含めて、今日と明日と二日間。戦争しないように、平和的にカイケツしてあげちゃう。だから……抱かれたいハルのココは擦り切れるまで擦って娼婦みてぇにガバくして、欲しがりのアヤヒサにはゴムん中の精液と残ったぶんぜぇんぶあげる。その代わり──……後でオマエら、仲直りのキスでもしろな?」


 なにをされたら悦ぶのか、たくさん試して愛したい。
 誰一人漏らさず、奴隷のように尽くして。

 そうして組み伏せられた月曜日と火曜日は、口角を引きつらせて、けれども恍惚とした瞳で快楽に溺れていった。




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