人の心、クズ知らず。

木樫

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甘話 サキとドMレッスン。

12(side蛇月)※

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「それに俺が抱かれるのも、させてもらったことはないが抱きたいのも咲だけだ……っ」

「ンァ? オレに種付けしたことあるじゃネェか。何回ヤッたと思ってんだよ今更知らねェ仲でもないだろうに……」


 俺がジロリと睥睨すると翔瑚は負けじと見つめ返したが、やれやれと指摘すれば、ワンコはぐぅの音も出ずに黙った。

 件の3Pの時な。
 まぁ俺に突っ込んで腰振らされながら、翔瑚は咲に指で前立腺をぐっちゃぐちゃに弄られてマジ泣きしながらイってたけど。

 そのあと中をキレイにしないとイカせてやんねーと笑顔で言われて、半泣きで自分の尻にスプーンを突っ込みながら事後処理をさせられた俺。

 に、泣きながら謝り倒す翔瑚。
 を、指差して笑う咲。
 の、地獄絵図。

 無茶振りレベルが上がるから、俺ホントは3Pも乱交もスワッピングも好きじゃねぇ。俺以外を抱いてるトコも見たくねぇし……。

 でもそういうこと、タツキは言わないから俺は言わないだけだ。

 まぁ──今にも泣きそうな顔で青ざめながら考え直せと訴えてくる翔瑚は、確かに、嗜虐心を唆られるものがあるかもしれないが。


「ダイジョウブダイジョウブ。目ェつぶっとけよ。咲にしゃぶられてると思っとけばイイ。咲もっとうまいけど」

「う、咲が俺のをなんて、そんな……」

「ほら、翔瑚が咲を抱くんだゼ。念願の下克上が叶ってよかったナ。咲に乗られてケツで抱かれたら最高にイイだろォ?」

「ッ、ん、~~~~ッじゃあ、もう、早く使って終わらせてくれ……」


 うん。たぶん翔瑚はマゾだな。
 真性じゃねぇけど翔瑚はマゾだな。

 ゴリ押しするとようやく抵抗を諦めた翔瑚は、ため息を吐きながら弱々しい声でゴーを出した。

 咲を出されると誘惑に弱くなる翔瑚へ、ありがとうと笑って見せる。

 本気で落ち込みそうだから翔瑚にはナイショだが、咲はたまーに、酒場や歓楽街で絡んできた変態や半グレにわざと引っかかって抱かれてンだよな。

 理由は知らないけど。
 試験っぽいテンションだった。
 なんだろうが俺は気に食わない。

 咲がやっぱり大して感じねぇわ、とつまらなさそうに使われているだけでも嫌なものは嫌で、冷めた目で自分に腰振る男を眺める視線すら羨ましい。

 俺に見せつけるようにワゴン車の中でヤッたりもするから、いつもうっかりキレてしまった。
 ボロ雑巾を量産してから詰め寄って我に返り、俺は咲に叱られて、怯える。

 咲はキレた俺を見るのは面白い、とケラケラと笑うけれど、短気は治したい。
 咲のしていることを邪魔するのは、なんでもダメだから少し、反省している。

 本当は、雑巾は気に食わないから殺してやりたかった。

 咲は抱かれても楽しくないと、なんとなく見ていてわかるのだ。
 試験なんて、やめればいいのに。

 これを言うと、翔瑚はモブすら抱かせてくれているのに自分はってホントにしょげてグルグル悩みそうだから、秘密にしておこう。

 翔瑚はイイコだから、スキだ。

 恋敵でも分け隔てなく弄ぶ咲だからなせるスキだけど、でも翔瑚は咲にイイコだ。

 咲のイイコは、俺の仲間。
 カミサマに恋をした不埒な仲間だぜ。




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