39 / 42
決断
しおりを挟む
またぐわんぐわんと揺さぶられ、自分の部屋へと戻ってきた。
ふと時計を見ると、時間は全く変わっていなかった。こちらの世界の時間では一秒とたっていないんだろうな。
内容はかなり重かったけど。
暫く沈黙が続いたけど、この沈黙に耐えられずふと疑問に思ったことをぶつけた。
「なぁ、俺と切り離しされたら地上にいたらコイツはどうなるんだ?」
「天界に居たときとはわけが違いますので、人間として構築し直すのが一番かと⋯⋯」
「人間っ? 嫌無理だろコイツじゃ。な、なら俺が残りの期間使って悪魔を100体倒せればとりあえず天界には戻れるんだろ?」
「そうですね。そうしていただけるのであれ⋯⋯」
「無理よ」
コイツが珍しく急に話しに割り込んできた。
「自分でも感じてるでしょ? 一ヶ月位なら今の力のままで生活は出来るでしょうけど、そのスキルや、体の耐久性だって弱まってきてるの」
「な、なら一ヶ月で⋯⋯」
「仕事は? 仕事辞めたら死ぬわよ。人についてるのが殆ど何だから夜中じゃ殆ど悪魔を見つけられないから休みの日に探す? 1日10体も探して倒すなんて無理」
「⋯⋯」
今までだって早々見つかるわけでは無かった。人が多い所に行けば。とも考えたが移動までに時間がかかりすぎる。それに見つけられるとも限らない。
やるだけやってみて、無理なら俺だけ東京で生活する? そんなふざけた事は嫌だ。
「⋯⋯無くは無いですよ」
「⋯⋯っ!」
振り向くとたゆんたゆんは、静かに喋り始めた。
「今まではいばちゃんに任せて誤魔化してきた部分がありましたが、もう辞めます。確かにいばちゃんが天界から追い出された状況では100体は無理でございます。なので赤城さんが⋯⋯」
「東京神っ!」
たゆんたゆんに睨みつける。コイツがこんな顔をするのを初めて見た。
「私は、⋯⋯私は嫌なのよ。いばちゃんがいばちゃんで無くなのが! いばちゃんに沢山助けられてきた私は、助けてもらってばかりの私は、嫌なの⋯⋯」
泣き初めてしまったたゆんたゆんの肩にそっと手を置き、コイツは怒りを無くし、微笑みながらが喋り始める。
「アナタはもう一人でもやっていけるだけの力があるわよ。私が神でなくなったとしても、こうして会いに来て話せるわよ」
「で、でも⋯⋯」
そんな二人のやり取りを見て、自分だけ帰れるか?
ははっ、無理だな。
「言ってくれよ。その方法ってやつを」
「アンタっ」
「いいだろ? 聞くだけならたいした問題じゃないし」
俺はニコッと笑ってみせた。コイツはポンコツだけど、根は良い奴だってわかったしな。
「⋯⋯聞くだけならね、⋯⋯わかったわよ。その方法って言うのはアンタが私の眷属になるの。つまり天使になるのよ」
「天使?」
「そうよ。人間を辞めて天使になって悪魔を倒すの。それならば寿命も無くなるし期間も無くなる。人間って概念が無くなって私の眷属になるから、私のエネルギーの移動も私が自由に出来るわよ」
なるほど。まぁ詳しくはたゆんたゆんが説明してくれるだろうな。
「わかった。俺は天使になるよ」
そう言いながら、コイツの頭にポンっと手を置いた。
「ちょっ! アンタっ!」
「⋯⋯えっ?」
急に体が光始め、自分の体を見渡す。なんで光ってるの?
「アンタ、神である私に触れながら天使になるって言った瞬間に、契約が結ばれちゃうのよ」
「知らねーよ!」
「普通は神にそう簡単には触れられないの。日本でアンタくらいよ、そんな簡単に神々に触ってるのは」
言い方があるだろ。ちょっぴりエッチに聞こえちゃうだろ。
そんなことを思っていると光が消えた。体を見渡してみるけど、何も変わった感じはしない。
背中に小さな羽とかもないし。
「⋯⋯えっ? 何で?」
「わかりません。⋯⋯失敗? いえ、そんな話しは聞いたことがありませんよ」
『はははっ。こうなると思っていた。来なさい』
どこから。というか、頭の中から声が聞こえてくる。二人を見るとたゆんたゆんは驚愕し、コイツは凄く嫌な顔をしている。
「なんだ、どういうことだよ?」
「大神様よ。⋯⋯最悪。あの人絶対に見てたわね」
「のようですね。行きますか?」
「仕方ないわね。私の神としてのエネルギーも何か戻ってるし、行かなきゃまた怒られるわね⋯⋯」
二人が勝手に話しを進めているけど、着いていけていない。
「いやいや、どういうことだよ? 行くってなに?」
「行けば分かるわよ」
コイツは嫌そうな顔は変えず、俺の腕をガシッと掴んでくる。
「だからどこにだよ?」
「大神様の所よ」
こうして俺はよくわらないまま、天使になり、大神様の所へと向かうのだった――――
ふと時計を見ると、時間は全く変わっていなかった。こちらの世界の時間では一秒とたっていないんだろうな。
内容はかなり重かったけど。
暫く沈黙が続いたけど、この沈黙に耐えられずふと疑問に思ったことをぶつけた。
「なぁ、俺と切り離しされたら地上にいたらコイツはどうなるんだ?」
「天界に居たときとはわけが違いますので、人間として構築し直すのが一番かと⋯⋯」
「人間っ? 嫌無理だろコイツじゃ。な、なら俺が残りの期間使って悪魔を100体倒せればとりあえず天界には戻れるんだろ?」
「そうですね。そうしていただけるのであれ⋯⋯」
「無理よ」
コイツが珍しく急に話しに割り込んできた。
「自分でも感じてるでしょ? 一ヶ月位なら今の力のままで生活は出来るでしょうけど、そのスキルや、体の耐久性だって弱まってきてるの」
「な、なら一ヶ月で⋯⋯」
「仕事は? 仕事辞めたら死ぬわよ。人についてるのが殆ど何だから夜中じゃ殆ど悪魔を見つけられないから休みの日に探す? 1日10体も探して倒すなんて無理」
「⋯⋯」
今までだって早々見つかるわけでは無かった。人が多い所に行けば。とも考えたが移動までに時間がかかりすぎる。それに見つけられるとも限らない。
やるだけやってみて、無理なら俺だけ東京で生活する? そんなふざけた事は嫌だ。
「⋯⋯無くは無いですよ」
「⋯⋯っ!」
振り向くとたゆんたゆんは、静かに喋り始めた。
「今まではいばちゃんに任せて誤魔化してきた部分がありましたが、もう辞めます。確かにいばちゃんが天界から追い出された状況では100体は無理でございます。なので赤城さんが⋯⋯」
「東京神っ!」
たゆんたゆんに睨みつける。コイツがこんな顔をするのを初めて見た。
「私は、⋯⋯私は嫌なのよ。いばちゃんがいばちゃんで無くなのが! いばちゃんに沢山助けられてきた私は、助けてもらってばかりの私は、嫌なの⋯⋯」
泣き初めてしまったたゆんたゆんの肩にそっと手を置き、コイツは怒りを無くし、微笑みながらが喋り始める。
「アナタはもう一人でもやっていけるだけの力があるわよ。私が神でなくなったとしても、こうして会いに来て話せるわよ」
「で、でも⋯⋯」
そんな二人のやり取りを見て、自分だけ帰れるか?
ははっ、無理だな。
「言ってくれよ。その方法ってやつを」
「アンタっ」
「いいだろ? 聞くだけならたいした問題じゃないし」
俺はニコッと笑ってみせた。コイツはポンコツだけど、根は良い奴だってわかったしな。
「⋯⋯聞くだけならね、⋯⋯わかったわよ。その方法って言うのはアンタが私の眷属になるの。つまり天使になるのよ」
「天使?」
「そうよ。人間を辞めて天使になって悪魔を倒すの。それならば寿命も無くなるし期間も無くなる。人間って概念が無くなって私の眷属になるから、私のエネルギーの移動も私が自由に出来るわよ」
なるほど。まぁ詳しくはたゆんたゆんが説明してくれるだろうな。
「わかった。俺は天使になるよ」
そう言いながら、コイツの頭にポンっと手を置いた。
「ちょっ! アンタっ!」
「⋯⋯えっ?」
急に体が光始め、自分の体を見渡す。なんで光ってるの?
「アンタ、神である私に触れながら天使になるって言った瞬間に、契約が結ばれちゃうのよ」
「知らねーよ!」
「普通は神にそう簡単には触れられないの。日本でアンタくらいよ、そんな簡単に神々に触ってるのは」
言い方があるだろ。ちょっぴりエッチに聞こえちゃうだろ。
そんなことを思っていると光が消えた。体を見渡してみるけど、何も変わった感じはしない。
背中に小さな羽とかもないし。
「⋯⋯えっ? 何で?」
「わかりません。⋯⋯失敗? いえ、そんな話しは聞いたことがありませんよ」
『はははっ。こうなると思っていた。来なさい』
どこから。というか、頭の中から声が聞こえてくる。二人を見るとたゆんたゆんは驚愕し、コイツは凄く嫌な顔をしている。
「なんだ、どういうことだよ?」
「大神様よ。⋯⋯最悪。あの人絶対に見てたわね」
「のようですね。行きますか?」
「仕方ないわね。私の神としてのエネルギーも何か戻ってるし、行かなきゃまた怒られるわね⋯⋯」
二人が勝手に話しを進めているけど、着いていけていない。
「いやいや、どういうことだよ? 行くってなに?」
「行けば分かるわよ」
コイツは嫌そうな顔は変えず、俺の腕をガシッと掴んでくる。
「だからどこにだよ?」
「大神様の所よ」
こうして俺はよくわらないまま、天使になり、大神様の所へと向かうのだった――――
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる