95 / 96
第五章
タカの思い出
しおりを挟む
『お前らには才能がある! さすが俺の子だ!』
それが父さんの口癖だった。
僕とアンザは、子供の頃から同年代に比べて運動神経が良かった。そして冒険者としての知識も多かった。それは父さんのおかげだろと思う。今は果物屋を営んでいる父さんが、一流の冒険者に育てたくれた。
暇さえあれば山や川に連れていってもらい、遊びの中で多くを学んだ。
運動神経は父から、性格は母から受け継いだ。
おっとりした、愛情に溢れた母。
ただ、極度の人見知りだった⋯⋯。
父さんは酔っぱらう度に『母さんと話せるまで本当に大半だった』と、言っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
年月も経ち、そんな僕は当然のように冒険者になり、翌年にはアンザも冒険者になった。
ギルド依頼を着実にこなし、Cランクになったその日に、珍しく父さんから真面目な話しがあると二人とも呼ばれた。
『お前も大概だが、アンザは母さん並みだ⋯⋯。アンザを連れて旅に出ろ。ここにいちゃ二人とも人見知りのままだ。それでは、周りから頼られる冒険者にはなれない。だから色んな人と交流し一流の冒険者になってこい!』
僕達は自分でも人見知りだとは気づいていたが、この時の父さんの顔を見るに、思っていた以上にマズイいのだと理解した⋯⋯。
「「旅立ちの挨拶なんてハードルが高すぎる」」
と、断ったが、
『手紙を書け!』と、怒られ旅立ちを決意した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから、色んな所を回ったがどこに行っても僕達は変わらなかった⋯⋯。
「はぁ~⋯⋯」
と、ため息をつきながら夜のバーで二人で項垂れていた。
僕には女性が、アンザには男性が定期的に話しかけては来るが、誰もが真剣に冒険者としての僕達を求めていなかった⋯⋯
「ねぇ!貴方達二人パーティーなんだってな。此方も二人だ。今日からは四人パーティーって事で宜しく頼むよ!」
不意に声をかけられ、勝手に話しを進めてくる。この人こそがマイコさんだった。
「おいおい、急に見知らぬ人に絡むなよ。相手の個とを考えくれよな」
「町で話題になってた、人見知りの美男美女パーティーってこの人の事だろう? むさ苦しい男との二人旅より、私は美男美女を含めたパーティーがいいのだ!」
自信に満ちたその姿が、僕達にはとても眩しくて、二つ返事でマイコさんのパーティーに加わった。
パーティーに加わるうえで約束事が二つ出来た。
一つ、【兄弟だとバレないようにすること】
兄弟だとバレれば、ナンパしてくる輩が近づいて来るから。
一つ、【それぞれがキャラ設定を全うすること】
演じることで、目線が変わり、人見知りも治るから。
後からヒデ君に教えてもらったことだけど、キャラ設定は、マイコさんがそういうプレーをしたかったからで、理由は口実だってこと⋯⋯。
ただそれでも、人見知りは完全にはなってないけれど、僕達は人と話すことが出来るようになったし、結果オーライってやつかな!
それが父さんの口癖だった。
僕とアンザは、子供の頃から同年代に比べて運動神経が良かった。そして冒険者としての知識も多かった。それは父さんのおかげだろと思う。今は果物屋を営んでいる父さんが、一流の冒険者に育てたくれた。
暇さえあれば山や川に連れていってもらい、遊びの中で多くを学んだ。
運動神経は父から、性格は母から受け継いだ。
おっとりした、愛情に溢れた母。
ただ、極度の人見知りだった⋯⋯。
父さんは酔っぱらう度に『母さんと話せるまで本当に大半だった』と、言っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
年月も経ち、そんな僕は当然のように冒険者になり、翌年にはアンザも冒険者になった。
ギルド依頼を着実にこなし、Cランクになったその日に、珍しく父さんから真面目な話しがあると二人とも呼ばれた。
『お前も大概だが、アンザは母さん並みだ⋯⋯。アンザを連れて旅に出ろ。ここにいちゃ二人とも人見知りのままだ。それでは、周りから頼られる冒険者にはなれない。だから色んな人と交流し一流の冒険者になってこい!』
僕達は自分でも人見知りだとは気づいていたが、この時の父さんの顔を見るに、思っていた以上にマズイいのだと理解した⋯⋯。
「「旅立ちの挨拶なんてハードルが高すぎる」」
と、断ったが、
『手紙を書け!』と、怒られ旅立ちを決意した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから、色んな所を回ったがどこに行っても僕達は変わらなかった⋯⋯。
「はぁ~⋯⋯」
と、ため息をつきながら夜のバーで二人で項垂れていた。
僕には女性が、アンザには男性が定期的に話しかけては来るが、誰もが真剣に冒険者としての僕達を求めていなかった⋯⋯
「ねぇ!貴方達二人パーティーなんだってな。此方も二人だ。今日からは四人パーティーって事で宜しく頼むよ!」
不意に声をかけられ、勝手に話しを進めてくる。この人こそがマイコさんだった。
「おいおい、急に見知らぬ人に絡むなよ。相手の個とを考えくれよな」
「町で話題になってた、人見知りの美男美女パーティーってこの人の事だろう? むさ苦しい男との二人旅より、私は美男美女を含めたパーティーがいいのだ!」
自信に満ちたその姿が、僕達にはとても眩しくて、二つ返事でマイコさんのパーティーに加わった。
パーティーに加わるうえで約束事が二つ出来た。
一つ、【兄弟だとバレないようにすること】
兄弟だとバレれば、ナンパしてくる輩が近づいて来るから。
一つ、【それぞれがキャラ設定を全うすること】
演じることで、目線が変わり、人見知りも治るから。
後からヒデ君に教えてもらったことだけど、キャラ設定は、マイコさんがそういうプレーをしたかったからで、理由は口実だってこと⋯⋯。
ただそれでも、人見知りは完全にはなってないけれど、僕達は人と話すことが出来るようになったし、結果オーライってやつかな!
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
おじさんが異世界転移してしまった。
月見ひろっさん
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる