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第五章
決断
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手紙を見つけなれば、素直に元の世界に戻っただろう⋯⋯。もしも話しをするならば、何かの拍子でこの世界の。この物語を思い出したとして―――
俺はきっと誰にも話さず。時々は一人で思い出して。それでニヤニヤするんだろ⋯⋯。
勿論、この世界で俺TUEEEしながら一生を過ごすのだって良いかもしれない。ベックさん夫婦に全てを話して、「ただいま!」って、笑顔で挨拶が出来るだろう⋯⋯。
しかし⋯⋯ユキのおかげで俺は手紙を読む事が出来た。タカコさんを思い出せた。タカコさんが助けを求めてるのを知れた。
ならば道は一つしかない! わかってはいる。
⋯⋯でも。
俺で本当に助けになれるのか心配だった。昔のように守ってもらう立場になるだけの⋯⋯、足手まといにしかならない可能性だってあるんだ。
それでも! ユキは背中を叩いてくれた。俺に語りかけてくれた。
⋯。
⋯⋯。
⋯⋯⋯。
「俺、助けに行ってくる! 何が出来るかは会ってから考える!」
ユキを、そして皆を見て俺は伝えた。
「なら、私も行かなきゃですね!」
「⋯⋯えっ?何で?」
バチンッ!
ここでもビンタするの? はぁ~。とため息つくユキを皆が飽きれ顔で見ている。その顔するなら誰か止めてくれよ⋯⋯。
「い い で す か? ヒデさんの暴走を止めるのも、ヒデさんのフォローするのも私がします」
このユキの顔は抵抗するだけ無駄だと、経験でわかる。
「って、事なので私とヒデさんを新たなる道へお願いします」
『承知した』
俺とユキの体が光始める。これ喋る時間ほぼないな⋯⋯。
「皆さん今までありがとうございました! マイコは任せて下さい。またいつの日か、この世界で会いましょう!」
「苦労は目に見えてますが、私は頑張りますね!」
俺とユキが最後の挨拶をすると、三人は笑顔で、
「そうだな! その時は今と違った環境を見せてやるさ」
「マイコさんを連れてきてくれる日を楽しみにしてるよ!」
「ユキちゃん、大変だと思うけど頑張ってね!」
俺達が消えるその瞬間まで、皆で手を合わせ笑顔でその時を待った。
皆の顔を見ながら俺は、
ここに来た時の事を⋯⋯。そして、今までの事を思い出していた⋯⋯。
ゆっくりと視界が消え、三人の姿が見えなくなっていった―――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―――――。気が付くと、俺とユキは真っ白な空間にいた。ここはどこだ? と、思うより早く。
金髪で、白のローブを身に纏った無邪気な顔をした少女が急に現れた。
『やぁ!二人とも元気かな? これからの世界では今まで培ったスキルはそのまま引き継がれるよ! レベルを上げて魔王をやっつけてね! 詳しい話しは時間が無いから省いちゃうけど、頑張ってね~!』
そう言うと、さっきと同様にゆっくりと視界が消える。
「ちょ、ちょっとまっ⋯⋯」
全然わからねーよ。魔王ってなんだよ。ちゃんと説明しろよ。
薄れいく意識の中で、隣にいたユキと目が合い、なぜだかわからないがこんな状況ですら面白くなって二人して笑ってしまった――――
俺はきっと誰にも話さず。時々は一人で思い出して。それでニヤニヤするんだろ⋯⋯。
勿論、この世界で俺TUEEEしながら一生を過ごすのだって良いかもしれない。ベックさん夫婦に全てを話して、「ただいま!」って、笑顔で挨拶が出来るだろう⋯⋯。
しかし⋯⋯ユキのおかげで俺は手紙を読む事が出来た。タカコさんを思い出せた。タカコさんが助けを求めてるのを知れた。
ならば道は一つしかない! わかってはいる。
⋯⋯でも。
俺で本当に助けになれるのか心配だった。昔のように守ってもらう立場になるだけの⋯⋯、足手まといにしかならない可能性だってあるんだ。
それでも! ユキは背中を叩いてくれた。俺に語りかけてくれた。
⋯。
⋯⋯。
⋯⋯⋯。
「俺、助けに行ってくる! 何が出来るかは会ってから考える!」
ユキを、そして皆を見て俺は伝えた。
「なら、私も行かなきゃですね!」
「⋯⋯えっ?何で?」
バチンッ!
ここでもビンタするの? はぁ~。とため息つくユキを皆が飽きれ顔で見ている。その顔するなら誰か止めてくれよ⋯⋯。
「い い で す か? ヒデさんの暴走を止めるのも、ヒデさんのフォローするのも私がします」
このユキの顔は抵抗するだけ無駄だと、経験でわかる。
「って、事なので私とヒデさんを新たなる道へお願いします」
『承知した』
俺とユキの体が光始める。これ喋る時間ほぼないな⋯⋯。
「皆さん今までありがとうございました! マイコは任せて下さい。またいつの日か、この世界で会いましょう!」
「苦労は目に見えてますが、私は頑張りますね!」
俺とユキが最後の挨拶をすると、三人は笑顔で、
「そうだな! その時は今と違った環境を見せてやるさ」
「マイコさんを連れてきてくれる日を楽しみにしてるよ!」
「ユキちゃん、大変だと思うけど頑張ってね!」
俺達が消えるその瞬間まで、皆で手を合わせ笑顔でその時を待った。
皆の顔を見ながら俺は、
ここに来た時の事を⋯⋯。そして、今までの事を思い出していた⋯⋯。
ゆっくりと視界が消え、三人の姿が見えなくなっていった―――
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―――――。気が付くと、俺とユキは真っ白な空間にいた。ここはどこだ? と、思うより早く。
金髪で、白のローブを身に纏った無邪気な顔をした少女が急に現れた。
『やぁ!二人とも元気かな? これからの世界では今まで培ったスキルはそのまま引き継がれるよ! レベルを上げて魔王をやっつけてね! 詳しい話しは時間が無いから省いちゃうけど、頑張ってね~!』
そう言うと、さっきと同様にゆっくりと視界が消える。
「ちょ、ちょっとまっ⋯⋯」
全然わからねーよ。魔王ってなんだよ。ちゃんと説明しろよ。
薄れいく意識の中で、隣にいたユキと目が合い、なぜだかわからないがこんな状況ですら面白くなって二人して笑ってしまった――――
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