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第四章
新しいスキル取得
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ドン! ドン! ドン!
扉が大きな音を立てて俺に起きろと言ってくる。
こんなに早く誰だよ。ってかどうせユキだろうな。と、思いながら扉を上げたら案の定ユキだった。
「もう、いつまで寝てるんですか? もう三人ともご飯食べてますよ」
「あぁ、そうか。あの人達は早いな、俺達はゆっくりでもいいんじゃないか?」
「何言ってるんですか? 今食べなかったら、食べる時間無いですよ。休みなしで走るんですから」
やれやれとユキはため息をついているが、ため息をつきたいのはこっちね。一緒に行かないようにするために、のんびり寝てたのに⋯⋯
「じゃあ、下で待ってますね!」
ユキはそのまま歩いて下へ歩いて行ってしまった。最悪だな、ゆっくり行けると思ったのにな。そうは言っても今行かないと本当に飯が無くなりそうなので、急いで着替えて食堂に向かった。
「おう、おはよう! 随分とゆっくりしてたな」
「おはようございます。ゆっくり行けると思ったんですけどね⋯⋯。ってか、ギアさんは走れるんですか?」
ご飯をバクバク食べながらギアさんは明るく声をかけてくれた。
「バカ言っちゃいけねーよ。これでもAランク冒険者だぞ。それくらい余裕だ」
あぁ、そうですか、希望が潰えました―――
その後は身支度を済ませ、門の待ち合わせ場所で合流した。ギアさんは、じっと町の中を見ている。
「どうしたんですか?」
「あぁ、多分ここにはもう来ないかも知れないだろ。お前に会って、待っていたってのもあるが、なんだかんだ好きだったからな、この町が⋯⋯」
そんな事を言いながら何処か寂しそうにも見えた。
「では行こうか」
タカさんがギアさんの肩を軽く叩く。
速い! 何で? 速いって⋯⋯
ずっと酒ばかり飲んでいたから、ブランクがあると思ってた。それにギアさんはどう見てもパワー型だ。それがどうして、あんなに速いんだ。
「言い忘れていたけど、ギアさんは僕達より全然強いからね」
俺の疲れた顔を見て、タカさんが横に来てそう教えてくれた。
「いやあの人、ずっと酒ばかり飲んでいただけですよ?」
「はっはっは。影で鍛えていたんだろうね。体が引き締まったままだから」
ははっ⋯⋯。たまったもんじゃないな。
それからはほぼしゃべる余裕なく、走り続けている。ディグナルドから走りっぱなしだった為、ある程度はスタミナが上がったんだろう。なんとかついて行ってはいるけど、疲れる事に代わりはない。もう一日中走りっぱなしなんだから。
【スタミナ+を取得しました。効果、スタミナが上がり減りずらくなる】
キターーー!!!
体に翼がはえたような気持ちだ。これならいける。
「やっと新しいスキルを覚えたんだね。おめでとう!」
「全くやっとですか?」
爽快に走り始めた俺の横に、タカさんとユキが並走しにきた。
「これでもっと早く行けますね!」
ユキはニコっと笑ってる。笑えねーよ⋯⋯。それとこれとは別だろう。
隠しておけば良かったかもしれない―――
扉が大きな音を立てて俺に起きろと言ってくる。
こんなに早く誰だよ。ってかどうせユキだろうな。と、思いながら扉を上げたら案の定ユキだった。
「もう、いつまで寝てるんですか? もう三人ともご飯食べてますよ」
「あぁ、そうか。あの人達は早いな、俺達はゆっくりでもいいんじゃないか?」
「何言ってるんですか? 今食べなかったら、食べる時間無いですよ。休みなしで走るんですから」
やれやれとユキはため息をついているが、ため息をつきたいのはこっちね。一緒に行かないようにするために、のんびり寝てたのに⋯⋯
「じゃあ、下で待ってますね!」
ユキはそのまま歩いて下へ歩いて行ってしまった。最悪だな、ゆっくり行けると思ったのにな。そうは言っても今行かないと本当に飯が無くなりそうなので、急いで着替えて食堂に向かった。
「おう、おはよう! 随分とゆっくりしてたな」
「おはようございます。ゆっくり行けると思ったんですけどね⋯⋯。ってか、ギアさんは走れるんですか?」
ご飯をバクバク食べながらギアさんは明るく声をかけてくれた。
「バカ言っちゃいけねーよ。これでもAランク冒険者だぞ。それくらい余裕だ」
あぁ、そうですか、希望が潰えました―――
その後は身支度を済ませ、門の待ち合わせ場所で合流した。ギアさんは、じっと町の中を見ている。
「どうしたんですか?」
「あぁ、多分ここにはもう来ないかも知れないだろ。お前に会って、待っていたってのもあるが、なんだかんだ好きだったからな、この町が⋯⋯」
そんな事を言いながら何処か寂しそうにも見えた。
「では行こうか」
タカさんがギアさんの肩を軽く叩く。
速い! 何で? 速いって⋯⋯
ずっと酒ばかり飲んでいたから、ブランクがあると思ってた。それにギアさんはどう見てもパワー型だ。それがどうして、あんなに速いんだ。
「言い忘れていたけど、ギアさんは僕達より全然強いからね」
俺の疲れた顔を見て、タカさんが横に来てそう教えてくれた。
「いやあの人、ずっと酒ばかり飲んでいただけですよ?」
「はっはっは。影で鍛えていたんだろうね。体が引き締まったままだから」
ははっ⋯⋯。たまったもんじゃないな。
それからはほぼしゃべる余裕なく、走り続けている。ディグナルドから走りっぱなしだった為、ある程度はスタミナが上がったんだろう。なんとかついて行ってはいるけど、疲れる事に代わりはない。もう一日中走りっぱなしなんだから。
【スタミナ+を取得しました。効果、スタミナが上がり減りずらくなる】
キターーー!!!
体に翼がはえたような気持ちだ。これならいける。
「やっと新しいスキルを覚えたんだね。おめでとう!」
「全くやっとですか?」
爽快に走り始めた俺の横に、タカさんとユキが並走しにきた。
「これでもっと早く行けますね!」
ユキはニコっと笑ってる。笑えねーよ⋯⋯。それとこれとは別だろう。
隠しておけば良かったかもしれない―――
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