俺TUEEE出来るって常識だよね?

チガーイ

文字の大きさ
上 下
44 / 96
第二章

町ブラ

しおりを挟む
 ボス討伐の為に万全をきして、午前中に挑み30分と経たずに倒してしまった為、今日という時間が有り余っている。
 でもふざけたことをするとユキに怒られるのが目に見えているし、たまには町をプラプラするのも悪くはない。

 この町に来てからのんびりと町を歩くこともなかったし、色々と見て回ろうと思う。今までの田舎町とは比べ物になら無い位にでかいし、道によっては馬車が走っていたりする。
 路面店では、果物屋や肉を売っている威勢の良い声も聞こえる。

 と、なると買い物袋で前が見えなくなった可愛い子が小石に躓き、袋からこぼれ落ちたリンゴを拾い『大丈夫?  前ちゃんと見た方がいいよ』なーんて優しさ振り撒いて、恋に発展なんてなもんだな。

 あー。やったなこれ。サクラビでも見た周りの目だ⋯⋯マスクして町歩こうかな。ニヤニヤしてても大丈夫だし。

 そんな思いをしていると肩をバンバンと叩かれた。
「あんた面白な」
 いてーよ⋯⋯

「あー、昔からの癖なんだよ」

「そーなんか。それは気つけねーとな」

「おっしゃるとおり」

 そうやって俺に話しかけてきたのは、ふくよかな男だった。年は30才手前くらいか。いかにも冒険者です。って格好はしてるが知らんやつだし、わざわざ敬語で話さなくてもいいだろう。

「で、何か用だった?」

「いや用ってことはないさ。周りから変な目で見られてたからどんやつかなと思って、声かけちまったんだよ」

「あー、好奇心か⋯⋯」

 人の事言えないが変わった人もいるんだな。

「そーいえば、あんた冒険者か?」

「あぁそうだが、それがどうかしたか?」

「いやなに、冒険者ってのは、この時間は塔にいるもんじゃないのかってな」

「それを言うならあなたもだろ?」

「だよなぁ~」

 やっぱり変わった人だな。

「紹介が遅れちまったな。俺はガンってんだ。よろしくな。こう見えても30階層にはいるんだ。あんたは?」

「俺はヒデだ。今日10階ボスを倒したばかりの駆け出しだよ」

「おぉ、駆け出しでもボスを倒したって言うならいっちょ前だな」

 笑いながら人の肩をバンバン叩くのやめねーかな、この人。

「将来有能な冒険者って事で、仲良くしてくれよ」

「有能ではないよ。知らない事ばかりだしな」

 そう伝えると、さっきまで笑っていたガンが真顔になる。笑ってたのが真顔になるの流行ってんのか?

「⋯⋯これから知ったら良いさ。にしてもあの塔は本当にたけーな。飛行機でもありゃ届くのかね?」

「ん?  なんだそれは?  アイテムか何かか?」

「あぁ、何でもない気にしねーでくれ」

 勿論、飛行機は知っている。この世界にはスロスカイと呼ばれるものしか無いことも。
 ただ、見ず知らずの人に伝えるべきではない。
 そもそもこの世界にない名前がなぜ出てくる?

「まぁ俺も塔に上ってるそのうち会うかもしれんさ」

「確かにな」

「そんときはよろしくな」

「こちらこそ」

 そう伝えるとギルドへと帰る事にした。これ以上プラプラしてたくなかったし、考えなければならないことも出てきた。

『この世界には、元の世界から来た人は俺以外にもいるんじゃないのか?』
 あそこで飛行機を知っていると答えたらどうなっていた?
 俺を元の世界の人間だと思って話しかけてきたのか?
 なぜ、元の世界から来た人間がいるとあいつは知っている?元の世界から来た人間をさがしてどうする?

 わからないことだらけだ。

 ふと頭に以前の記憶がよみがえる。

 ギアさんが一言だけ言った
「いいか、上位冒険者にも会うだろうが、|相手を観察して喋れよ」

 こういうことなのかギアさんよ。
 って事はあなたも元の世界から来た人間なのか。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...