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第二章

塔では上を目指すもの

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 塔では上へ行かなければクエストは無い。
 時々、素材系クエストが低階層でもあるらしいが、上層でもGET出来ることからついでにと上位ランカーがクエストを受けるのが一般的。
 確かに依頼する側も上位ランカーが受けてくれた方が安心は出来る。

 その為、低階層ランカーは自身のレベル上げがメインとなり、適当にGETした素材やアイテムを売り生活するのが一般的だそうだ。
 それでも一つ5k~10k程でそれでウハウハな生活とは行かない。それならば通常クエストの方が30kとか一回で稼げるので効率は良い。
 その為、あくまでも生活費程度という位置付けだ。

「ユキのスキルで塔のマッピングは頼めるか?」

「良いですけど、ヒデさんは自分でやらないんでか?」

 ジト目で聞いてくるが、俺にそんなスキルが無いのは知ってるだろうに。

「スキルがあればわざわざ頼んだりしないよ」

「いえ、塔のマッピングはアイテムを使えば誰でも出来ますよ。」

 そう言いながら、巻物を渡された。そんなものまであるのか。

「使い方は簡単でそれを広げれば、自分がいる階は表示されます。階が変わればまた最初からですが、一度マッピングしたものはその階に行けば勝手に表示されるので便利ですよ。買い直しても引き継がれます」

「マジかよ。めちゃくちゃ便利じゃん!」

 塔はなんでもありだな。

 その階その階、一通りマッピングしてから登って行く。ユキからは低階層なら必要ないとは言われたが、俺の性格上の問題だ。やるならコンプリートしたいんだよな。こーいうのって。

 塔の中での戦闘。最初のうちはコブウサギやスライムといった雑魚から始まったが、サクラビでは見ることの無かったスライムを初めて見たときは感動した。スライムって異世界ではTHEメジャーって感じだし。
 ぷにぷにしてるし。



 最初も最初も、新人冒険者向けと言ってもいいような所からスタートのため、特に苦戦することもなく階を上げていき、これと言ったイベントも無く半月ほどで10階。つまりはボス部屋とたどり着いた。
 10階に上がるとすぐ目の前にはでっかい扉しかなく、ユキと顔を見合せ頷き扉を開ける。

 気持ちを高めてドアを開けたが、そこにはこの前に見たばかりのオークが一体。一回り小さいオーク(子オークとでも呼ぶ)が三体いた。

 まさかのオークか⋯⋯ユキの顔は門を開ける前とはうってかわり『ほれみたことか。オークでしたね』と言わんばかりの表情で俺を見る

 ⋯⋯ハイハイごめんなさい。

 外にいたオークと戦闘スタイルも同様だし、子オークは特殊な事をするわけでもなく、オークの劣化番だった。
 何て事はなくあっさりと倒してしまった。

 達成感はゼロだ。以前の時とは段違いで楽勝だったんだから仕方ない。

 これ、危うく調子に乗るやつだ⋯⋯
 ユキからも『調子に乗らないでくださいね。まだ初心者レベルと言われてる所なので』と釘を刺され、そのまま上を目指すことはせず一旦町に戻ることにする。

 念のため、明日は11階からの情報をギルドで聞く事にし塔を出たところでユキと別れ町をプラプラして寝ることにした。

 なぜプラプラしたんだろう。
 いや、プラプラしたからヒントを貰えたから良かったのか?  モヤモヤするから微妙か⋯⋯
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