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1章 召喚先でも仲良く
015 体育祭⑥ 〜リレー〜
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わーい、リレー1分前だぞー!
夜久と万象が出るぞー!
「リレー始まるね!」
「「ね!」」
暇柱とAとサクラはいつも通り。
「万象頑張ってよ~」
Aが万象の肩を叩いた。
「呑気な奴らだぜ」
競技が始まる前に一旦整理しておこう。
ご近所グループの中でリレーに出るのは、万象と夜久だ。
リレーは中学と高校で分かれて行われる。
中学生は全学年ゴチャ混ぜで4チーム編成、1チーム6人。
夜久は3番手、万象はアンカーだ。
「コウスケ、ハイタッチしたいって」
英華が呼びに来た。
彼女の指の指す方を見ると、ピョンピョン跳ねる2………いや3人の姿が。
あの2人に加えサクラも混ざった。
「分かった」
うるさい人たちから離れ、僕は中佐さんのところへ行った。
最も居心地がよさそうだからである。
「どうでしょう。勝てそうですか?」
「始まって5秒で聞くなよ」
「まあそうですよね」
いちばん速い第2走者がバトン渡しまで近くなった。
僕は既に一日中騒ぎっぱなしで疲れていた。
声援はろくにせずランナーをアナウンス通りに眺めていた。
「あいつら、体力が底なしだよな」
突然中佐さんが話しかけた。
あいつらとはA、暇柱、サクラなどのことだと思う。
「同感です。僕はもう疲れました」
「あいつらを見ていると年老いたように感じる」
「ですねー。まだも成人していないのに」
「俺もまだ未成年だが」
「誕生日まだなんですね」
中佐さん、高3だからね。
「………どうでもいいがな」
「なんか言いました?」
「いや?」
ここで夜久にバトンが渡される。
それに合わせて周囲の歓声が一段と盛り上がったのは、何も気のせいではない。
疲れているとはいえ、ここで声援をしないのは気が引けた。
「夜久頑張れ~」
夜久にバトンが渡ったとき、順位は3位。
1位はキツいかな、と思った矢先に彼女が2位の男子と並んだ。
でも中々抜かしきれず前後が入れ替わる。
それでも何とか抜かしきり、次の4番手には2位でバトンが渡った。
ただ5番手が他のチームと比べて遅かったようである。
5番ランナーの弁護のために付け加えると、相手が悪かっただけだと思う。絶対僕なんかよりは速い。
その影響でアンカー・万象はもとのまま3位スタートになってしまった。
「「「万象頑張れ~!」」」
例の3人が声を張り上げる。
あれ、Anneがいない。
前夜祭のとき、機嫌悪かったからなあ。
でも中佐さんも宣浩もいるけど。
体育祭の委員でもあるし、そっち関係だろうか。
まあ考えても無駄か。
「中佐さん、1位なれますかね?」
再度リベンジ。
「うーんどうだろう。微妙だな。確率としては6:4くらいか」
「どちらが6?」
「2位だな」
とそのとき万象が2位に返り咲いた。
これなら行けるか!?
「どうですか!」
「4:6にアップだ」
「そう大して変わらないじゃないですかー」
「変わってる。………分かるだろ? 1位とは距離が開いている。追いつきその上抜かすのは難しいんだ。残距離が足りない」
理詰めにされると反論できない。その通りなのだ。
「じゃあ1位が転んだら勝てますか」
「勝てるだろうが………」
「別に望んでないですよ」
「そうか」
リレーを見ると。
「………でも距離縮まってますね」
「これで3:7ってところか?」
「行けるかもしれないということですね!」
「ああ」
こんだけ望みをかけておいて不条理だ。
あとちょっとというところで抜かせなかった。
万象は2位だった。
これで体育祭シリーズは終了です。
夜久と万象が出るぞー!
「リレー始まるね!」
「「ね!」」
暇柱とAとサクラはいつも通り。
「万象頑張ってよ~」
Aが万象の肩を叩いた。
「呑気な奴らだぜ」
競技が始まる前に一旦整理しておこう。
ご近所グループの中でリレーに出るのは、万象と夜久だ。
リレーは中学と高校で分かれて行われる。
中学生は全学年ゴチャ混ぜで4チーム編成、1チーム6人。
夜久は3番手、万象はアンカーだ。
「コウスケ、ハイタッチしたいって」
英華が呼びに来た。
彼女の指の指す方を見ると、ピョンピョン跳ねる2………いや3人の姿が。
あの2人に加えサクラも混ざった。
「分かった」
うるさい人たちから離れ、僕は中佐さんのところへ行った。
最も居心地がよさそうだからである。
「どうでしょう。勝てそうですか?」
「始まって5秒で聞くなよ」
「まあそうですよね」
いちばん速い第2走者がバトン渡しまで近くなった。
僕は既に一日中騒ぎっぱなしで疲れていた。
声援はろくにせずランナーをアナウンス通りに眺めていた。
「あいつら、体力が底なしだよな」
突然中佐さんが話しかけた。
あいつらとはA、暇柱、サクラなどのことだと思う。
「同感です。僕はもう疲れました」
「あいつらを見ていると年老いたように感じる」
「ですねー。まだも成人していないのに」
「俺もまだ未成年だが」
「誕生日まだなんですね」
中佐さん、高3だからね。
「………どうでもいいがな」
「なんか言いました?」
「いや?」
ここで夜久にバトンが渡される。
それに合わせて周囲の歓声が一段と盛り上がったのは、何も気のせいではない。
疲れているとはいえ、ここで声援をしないのは気が引けた。
「夜久頑張れ~」
夜久にバトンが渡ったとき、順位は3位。
1位はキツいかな、と思った矢先に彼女が2位の男子と並んだ。
でも中々抜かしきれず前後が入れ替わる。
それでも何とか抜かしきり、次の4番手には2位でバトンが渡った。
ただ5番手が他のチームと比べて遅かったようである。
5番ランナーの弁護のために付け加えると、相手が悪かっただけだと思う。絶対僕なんかよりは速い。
その影響でアンカー・万象はもとのまま3位スタートになってしまった。
「「「万象頑張れ~!」」」
例の3人が声を張り上げる。
あれ、Anneがいない。
前夜祭のとき、機嫌悪かったからなあ。
でも中佐さんも宣浩もいるけど。
体育祭の委員でもあるし、そっち関係だろうか。
まあ考えても無駄か。
「中佐さん、1位なれますかね?」
再度リベンジ。
「うーんどうだろう。微妙だな。確率としては6:4くらいか」
「どちらが6?」
「2位だな」
とそのとき万象が2位に返り咲いた。
これなら行けるか!?
「どうですか!」
「4:6にアップだ」
「そう大して変わらないじゃないですかー」
「変わってる。………分かるだろ? 1位とは距離が開いている。追いつきその上抜かすのは難しいんだ。残距離が足りない」
理詰めにされると反論できない。その通りなのだ。
「じゃあ1位が転んだら勝てますか」
「勝てるだろうが………」
「別に望んでないですよ」
「そうか」
リレーを見ると。
「………でも距離縮まってますね」
「これで3:7ってところか?」
「行けるかもしれないということですね!」
「ああ」
こんだけ望みをかけておいて不条理だ。
あとちょっとというところで抜かせなかった。
万象は2位だった。
これで体育祭シリーズは終了です。
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