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1章 召喚先でも仲良く

012 体育祭③ 〜綱引き〜

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 お昼の次の種目は綱引きだ。
 A、サクラ、Anne、中佐さんが出る。

 綱引きは学年対抗競技である。
 中1vs中2、中3vs高1、高2vs高3で戦う。
 ルールは日本と大差ないので割愛する。

「中2は手前なの?奥なの?」
「だから手前だってば」

 暇柱の質問に答えているとテンション高めの女声アナウンスが流れてきた。

〈綱引き、始まりますよ!発砲音で始めてくださいね。………ヨーイパンッ〉

 中2は初め優勢だった。
 体格差や経験値が影響するだろうから中1にとってみれば不利だ。

 このまま勝てるかなと楽観視し始めたとき形勢が大きく動いた。
 中1が圧倒し始めたのだ。
 劣勢だった戦況はは互角にまで引っ張られた。

 試合が面白くなったと捉えることもできるが、僕はそこまでポジティブでも能天気でもない。

「年下に負けないでよ?」
「負けたら夜久と2人で責めたてるから」

 夜久と英華に攻められたくはない。勘弁してほしい。
 Aには同情する。

「A………オレらのためにも頑張ってくれ」
「なんか負けたら僕たちも攻められそう………」

 それって僕にも飛び火しないかな。
 本気で心配するべきかも。

〈接戦です!いい試合をしていますね!〉

 アナウンスのカウントダウンが2秒前を知らせたとき、ア゛ーッと唸り声があがり一気に縄が動いた。

 これこそドンデン返しの逆転勝ち。

「「Yeah!」」

〈勝者は2年です!おめでとう!〉

 僕はみんなとハイタッチを交わした。
 次は………Anneとサクラが出るのか。





 中3は負けてしまった。

「高1のほうが強かったかー」

 暇柱が呟いた。

「そうだね」
「あ、宣浩は何に出るんだっけ」

 夜久が問うた。
 
「大玉転がしだけです」
「あれ、珍しい。中学生は大体2つ出るのに」

 サクラも割り込む。

「私のクラスの人、沢山立候補してたから譲ったんです。私は別に出なくてもいいので」
「へえ。優しいんだ」
「いえ別に」
「あっ次中佐さんだよね!」

 Aがパンフレットを見て言った。

「そうだな」

 ポーカーフェイスで誤魔化してはいるが忘れていたらしい。
 中佐さんの心の中が何となく分かるようになってきた。

「頑張ってくださいね」
「おけ」


〈さて、綱引き最後は高2vs高3です!
 ここまで上の学年が勝ってきましたが、ラストはどうなるでしょうか!〉

「「勝つぞー!!」」

 高3が円陣を組んで叫んだ。
 高2が僕らの側にいたから、この五月蝿いグラウンドで響き渡らせるには、相当声を張り上げなければならなかったはず。

 今なら少しだけ、少しだけだけどその気持ちが分かるかもしれない。

〈縄を置いていますか?………3秒前、2、1、パンッ〉

 始まった。

 まだ夏が終わらない強い日に、彼らの汗がキラリと光る。
 気付けば水が半分も減っていた。

 彼らに差がほとんどないことが幸か不幸か、停滞状況を保っている。
 応援の熱も入った。
 どんどんヒートアップしていく。

〈パンッ終了です!
 かなり接戦だったためビデオ判定をさせて頂きます。少々お待ちください〉

「ビデオ判定………? つまりこの体育祭はビデオで撮られているのか」
「そうだね」

 英華が首をもたげる。
 ふと中2組を見ると、うー神様~などと祈っている。

 2分経ってアナウンスが再開された。

〈ビデオ判定の結果が出ました。高校3年生の勝利です! おめでとうございます!〉

 中2組が飛び上がる。僕らはハイタッチした。





作者後書き。(書いたのは2024/05/17)

 今回は短くなっちゃいました。
 久しぶりに後書きを書きますね。
 日付は公開される日に合わせています。

 ちょうど今月で、これを書き始めて3年目に入ります。もう長いですよね。

 最近書くときに気をつけているのは改行を増やすことです。
 見にくいことにやっと気づいたんです!
 見やすくなってたらいいなあと思います。

 みなさんがどう思ってるか分かりませんが、思ったよりコウスケは悪い奴じゃないんですよ。
 擁護しておきたいですね。
 裏設定として、ここに召喚される人は更生する可能性がある人だけに限定されてるので、コウスケは更生可能性アリの人間ですから!

 これからもマジエくんと神女ちゃんをよろしくお願いします。
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