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1章 召喚先でも仲良く
005 自称執事は主思い
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2週間前から始めた皆で朝食を摂る時間。ある日勉強会を開こうという話になった。先週の金曜日から毎回集まる部屋を変えて開催している。先週は暇柱、今週は万象の部屋だ。原則22時に消灯だが勉強会ということで日をまたがなければ許可されている。
「全員いるか?」
万象の質問に1人ずつ順番に名前を返す。10人分の回答を確認してAnneが今日勉強する教科のアンケートを取った。ぶっちぎり1位で英語になった。先週は数学だった。
「Anneちゃん。ここって何故こうなるの?」
夜久がAnneの肩を叩き質問した。彼女はノートを覗き込み説明を始めた。
「えーっとこれは………現在完了ね。現在完了は日本語でいう過去形に含まれているの。haveを使って過去の出来事を掴んでいるイメージ」
「何故、わざわざ現在完了なんて使うの?過去形で答えりゃ一発じゃん」
「いい質問ね。英語では時制の一致っていうのがあるでしょ?つまり、現在形で聞かれたら必ず現在形で答えなければいけないの。だから、haveという現在形でワンクッションさせて、過去分詞(P.P.)で過去について答えるのよ」
「なるほど。Anneちゃんありがとう」
僕ら中3以上組が中2相手に教える体制になっている。たまに英華が僕に聞いてくることもあるが。
30分ほど経過すると暇柱やAが脱落する。前者はプリンが僕を~などと戯言を吐き、後者は寝る!と宣言する。こうなると万象も構い始めて集中を遮られるから休憩を挟むことにした。ジュースを飲んでニコニコしているAがこう切り出した。
「そろそろ体育祭だよね」
「へえ異世界にも体育祭が」
「そうだよぅ。昨年の時点でここにいたのって誰?」
手を上げたのは万象、A、夜久、中佐さんの4人だ。
「うわっ4人しかいなかったのか」
「意外と少なかったのね」
「これもステータスに反映されるから気が抜けない」
横で暇柱が口を手で押さえている。僕もげっと言いたい気分だ。
「そこはオレに説明させてくれ。今年、オレとAnneが実行委員なんだ」
赤と緑のしましまのお面を被っている万象に話を遮られた。前から思っていたけど何故彼はお面をつけているのだろう。
「あんたが実行委員って大丈夫?」
「でもAnneちゃんがいるなら安心できるね」
「確かに」
「何だよお前ら。そんなにオレって信頼ないのか?」
「ないよ」
暇柱が夜久の持ってきたプリンを口に入れながら言う。夜久がすぐにプリンを取り返した。
食べながら口を動かすなー!
「ボクもあんまり………」
「いやお前が実行委員やるのは問題だと思うぜ?いかにも何も考えてなさそうだからな」
万象は真っ先にAの発言を否定する。
「そんなことない!天然なだけだもん!」
「自分で天然って言うなんて嘘っぽいな」
いやまあ確かに、分からなくもない。
「嘘っぽくないですよ!万象さん。僕の主は天然です」
とのりおせんべいくん。
「感動したよ。流石ボクのコ!」
Aがのりおせんべいくんを抱きしめる。コとは子なのか娘なのかどれなのかな?のりおせんべいくんの性別が分からないからどうにも………。
「Aさん、語弊があると思います」
「ないない大丈夫!」
「………そうなのですか?」
あっのりおせんべいくんが丸め込まれている。
「そうそう。のりおせんべいくんは世間知らずだからボクを信じればいいんだよ」
ん?新手の宗教勧誘?それとも告白?
「前半は正しいのですが………」
「何?主が第一だ~って言っていた君はボクを信じないの?」
ビフテキくんみたいなことを言うね。もしかして、いやもしかしなくても、のりおせんべいくんって同系統?そうだね?
「そういうことでは!………」
「止めなくていいよ~?」
「そういうことではありません!失礼致しました!」
見事に落ちたのりおせんべいくんを撫でていたAが僕を見てニヤリと笑った。
え、何!?怖すぎる!
「あーあーあー。のりおせんべいくん、あの子怖いねえ」
暇柱がのりおせんべいくんを持ち上げてAを指差す。のりおせんべいくんは少し縮こまっている。少し上目遣い気味のりおせんべいくんを見て満足気に頷いた暇柱は撫で回す。妬いたAが「返せ~!」と叫んでのりおせんべいくんを巡って鬼ごっこを始めた。さながら三角関係の図である。
「みんなー?落ち着いて?勉強会の許可が取り消されちゃうよ」
「Anneちゃん大丈夫でしょ」
鬼ごっこをしながらAが返事をする。器用なものだ。
「過信は厳禁」
「えっ現金?」
宣浩の言葉を聞き何を思ったのか暇柱が同音異字の熟語で聞き返す。
「なに言ってんの?寒い寒い」
夜久が暇柱をバシンと叩いてのりおせんべいくんを掴んだ。「ギヤっ」との声を残して無事夜久の手に渡る。
「うるさい人たちは置いてさ、体育祭について教えてよ。(一応)体育祭実行委員なんでしょ?」
「コウスケ、括弧の中が見えるが」
「気のせいだよ万象」
「じゃあ私が説明するね」
Anneが万象を制し、自室からA4の紙を持ってきた。それは以下の通りだ。
【体育祭】
日時:10月30日 9時~16時45分
場所:グラウンド
参加者:リカメンテ育成場に所属する生徒及び補佐官及び教師
褒美:各種目で1位になった者に3pt、2位になった者に1pt。総合成績で学年毎に1位に5pt、2位には3pt。教師陣から1人選抜し、その者に5pt、それぞれ与える。
集合時間:8時半に体育館前
この後、好き勝手にわいわいお菓子を食べながら勉強をしましたとさ。
「全員いるか?」
万象の質問に1人ずつ順番に名前を返す。10人分の回答を確認してAnneが今日勉強する教科のアンケートを取った。ぶっちぎり1位で英語になった。先週は数学だった。
「Anneちゃん。ここって何故こうなるの?」
夜久がAnneの肩を叩き質問した。彼女はノートを覗き込み説明を始めた。
「えーっとこれは………現在完了ね。現在完了は日本語でいう過去形に含まれているの。haveを使って過去の出来事を掴んでいるイメージ」
「何故、わざわざ現在完了なんて使うの?過去形で答えりゃ一発じゃん」
「いい質問ね。英語では時制の一致っていうのがあるでしょ?つまり、現在形で聞かれたら必ず現在形で答えなければいけないの。だから、haveという現在形でワンクッションさせて、過去分詞(P.P.)で過去について答えるのよ」
「なるほど。Anneちゃんありがとう」
僕ら中3以上組が中2相手に教える体制になっている。たまに英華が僕に聞いてくることもあるが。
30分ほど経過すると暇柱やAが脱落する。前者はプリンが僕を~などと戯言を吐き、後者は寝る!と宣言する。こうなると万象も構い始めて集中を遮られるから休憩を挟むことにした。ジュースを飲んでニコニコしているAがこう切り出した。
「そろそろ体育祭だよね」
「へえ異世界にも体育祭が」
「そうだよぅ。昨年の時点でここにいたのって誰?」
手を上げたのは万象、A、夜久、中佐さんの4人だ。
「うわっ4人しかいなかったのか」
「意外と少なかったのね」
「これもステータスに反映されるから気が抜けない」
横で暇柱が口を手で押さえている。僕もげっと言いたい気分だ。
「そこはオレに説明させてくれ。今年、オレとAnneが実行委員なんだ」
赤と緑のしましまのお面を被っている万象に話を遮られた。前から思っていたけど何故彼はお面をつけているのだろう。
「あんたが実行委員って大丈夫?」
「でもAnneちゃんがいるなら安心できるね」
「確かに」
「何だよお前ら。そんなにオレって信頼ないのか?」
「ないよ」
暇柱が夜久の持ってきたプリンを口に入れながら言う。夜久がすぐにプリンを取り返した。
食べながら口を動かすなー!
「ボクもあんまり………」
「いやお前が実行委員やるのは問題だと思うぜ?いかにも何も考えてなさそうだからな」
万象は真っ先にAの発言を否定する。
「そんなことない!天然なだけだもん!」
「自分で天然って言うなんて嘘っぽいな」
いやまあ確かに、分からなくもない。
「嘘っぽくないですよ!万象さん。僕の主は天然です」
とのりおせんべいくん。
「感動したよ。流石ボクのコ!」
Aがのりおせんべいくんを抱きしめる。コとは子なのか娘なのかどれなのかな?のりおせんべいくんの性別が分からないからどうにも………。
「Aさん、語弊があると思います」
「ないない大丈夫!」
「………そうなのですか?」
あっのりおせんべいくんが丸め込まれている。
「そうそう。のりおせんべいくんは世間知らずだからボクを信じればいいんだよ」
ん?新手の宗教勧誘?それとも告白?
「前半は正しいのですが………」
「何?主が第一だ~って言っていた君はボクを信じないの?」
ビフテキくんみたいなことを言うね。もしかして、いやもしかしなくても、のりおせんべいくんって同系統?そうだね?
「そういうことでは!………」
「止めなくていいよ~?」
「そういうことではありません!失礼致しました!」
見事に落ちたのりおせんべいくんを撫でていたAが僕を見てニヤリと笑った。
え、何!?怖すぎる!
「あーあーあー。のりおせんべいくん、あの子怖いねえ」
暇柱がのりおせんべいくんを持ち上げてAを指差す。のりおせんべいくんは少し縮こまっている。少し上目遣い気味のりおせんべいくんを見て満足気に頷いた暇柱は撫で回す。妬いたAが「返せ~!」と叫んでのりおせんべいくんを巡って鬼ごっこを始めた。さながら三角関係の図である。
「みんなー?落ち着いて?勉強会の許可が取り消されちゃうよ」
「Anneちゃん大丈夫でしょ」
鬼ごっこをしながらAが返事をする。器用なものだ。
「過信は厳禁」
「えっ現金?」
宣浩の言葉を聞き何を思ったのか暇柱が同音異字の熟語で聞き返す。
「なに言ってんの?寒い寒い」
夜久が暇柱をバシンと叩いてのりおせんべいくんを掴んだ。「ギヤっ」との声を残して無事夜久の手に渡る。
「うるさい人たちは置いてさ、体育祭について教えてよ。(一応)体育祭実行委員なんでしょ?」
「コウスケ、括弧の中が見えるが」
「気のせいだよ万象」
「じゃあ私が説明するね」
Anneが万象を制し、自室からA4の紙を持ってきた。それは以下の通りだ。
【体育祭】
日時:10月30日 9時~16時45分
場所:グラウンド
参加者:リカメンテ育成場に所属する生徒及び補佐官及び教師
褒美:各種目で1位になった者に3pt、2位になった者に1pt。総合成績で学年毎に1位に5pt、2位には3pt。教師陣から1人選抜し、その者に5pt、それぞれ与える。
集合時間:8時半に体育館前
この後、好き勝手にわいわいお菓子を食べながら勉強をしましたとさ。
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