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1章 召喚先でも仲良く
004 ご近所組との出会い
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21時、部屋の中。
あれから説得され、教科書を使って勉強することに決まった。
明日に迫っている以上やらなきゃ仕方ないからな。
勉強を始めようとしたときドアがノックされた。
2人で顔を見合わせビフテキくんが首を横に振る。
スルーしているともう一度ノックが響いた。
数秒の自問自答の末声をかけることにした僕は、ビフテキくんにドアの前でスタンバイしてもらった。
「どなたですか」
「ボクたちはここの階の住人なんだ!」
「挨拶に来たんだよ。よろしくね」
「………あ、はい。よろしくお願いします。とりあえず中入ります?」
「ありがとー!」
ゾロゾロと合計9人の自称近所の人たちを中に入れた。
「まず自己紹介をしよう。オレは森羅万象だ。よろしくな」
お面をつけた少年。
「僕は暇柱」
茶髪の少年。
「ボクはA!」
天然系だと思われる少年。
「私はAnne」
この中ではしっかりしていそうな少女。
「俺はサクラ」
笑顔がスポーツ女子系? の少女。
「夜久よ」
言い方が一匹狼な少女。
「俺は中佐」
最年長だと思われる少年。
「武田英華」
ボソリと名前のみを告げる少女。
「私は島田宣浩です」
どこか同系統の匂いがする少年。
5秒の沈黙。
ビフテキくん以外全員僕のほうを見ている。
次は僕の番らしい。
「僕はコウスケです。よろしくお願いします」
また5秒の沈黙。
全員ビフテキくんを見ている。
自らを僕の執事のようなものと称した彼のことだ、自己紹介をする必要はないと考えたに違いない。
僕はビフテキくんの肩を叩いた。
「………っ。僕はビフテキといいます。よろしくお願いします」
「呼び方だが………呼び捨てでいいよな?」
森羅万象くんは何もなかったかのように見回した。
彼が連れてきた友人は快い返事を返した。
それを確認した彼は僕らを見て意向を聞く。
「僕らもいいですよ。ビフテキくんもだよね?」
彼らも僕と同じだ、という意味を込めて軽く圧をかける。
彼には前歴があるためこうやってでも伝えておく必要がある。
「………うん」
「あの、あなたの下の名前は万象だけ………ですか?」
「ああそうだ」
「コウスケくん、タメでいいからねー?」
「多分僕たちのほうが年下だしさ」
前半がA、後半が暇柱。
「みんないくつなの?」
A、万象、サクラが13歳。
夜久、暇柱が14歳。
Anne、宣浩、英華が15歳。
僕は16歳。
中佐さんが17歳。
流石に年上の人はさん付けしようと思った。
「全員分誕生日パーティーするから楽しみにしててね」
そうなんだ。
「話変わるけど、Aが持っているその子って誰?」
「この子はねのりおせんべいくんって言うんだよ。可愛くない?」
「うん可愛い」
と僕が返すと、暇柱が目をキラキラさせて便乗する。
「ね、羨ましいくらいだよ」
「暇柱には毎日触らせてあげているじゃん」
「いや足りない」
「のりおせんべいくん、自己紹介がまだだね?」
するとのりおせんべいくんが、少々申し訳なさそうに話し始めた。
「こんにちは初めまして。僕はのりおせんべいだよ!よろしくね!」
「初めましてコウスケです。よろしく」
あの騒がしいとも賑やかともいうご近所組(僕命名)に出会ってから1週間。
毎日のように会ったから今では非常に仲良くさせてもらっている。
また、3日前に暇柱と美味しいものを食べに行った。
出会った当初から誘われていたのだ。
今日は出発テストの結果発表日である。
テストの手応えはまあまあ。しかしそう悪くないと思う。
スマートウォッチに配信されるので、夜久の部屋に朝から集まって一斉に見るらしい。
なぜ夜久の部屋なのかというと………。
「ねえ、あんたたち。なんで私の部屋なのよ?」
「いやあさあ?」
Aが万象に目を向ける。
「お前の部屋、エレベーターにいちばん近いからさ」
「それだけ? ならこいつのでも変わらないよね?」
彼女が英華を“こいつ”呼びする。
この短期間でこの2人はよく喧嘩している。
「それぐらいよくな~い?」
「ギャルぽいの嫌だわ」
「まあまあ。あんまし怒ると寿命が縮むっていうじゃないか」
「それあんたのせいよね? 責任取りなさいよ」
「もとの世界に戻ったら君とは会わないから我慢しなよ」
「そうよね、私が大人気なかったわ先輩?」
「よろしい」
3周回って逆に面白い。
「2人とも縁を切る前提で喧嘩を収めるの止めて? ボク悲しい」
「「勝手に泣け」」
「酷いよ、夜久も英華も!」
ふんぬうと頬を膨らませたAを、のりおせんべいくんが見上げる。
「主さま大丈夫ですか?」
「ボクの味方は君だけだよ………」
「A、僕も含めてくれない?」
「ごめんごめん。忘れてたよ」
暇柱の肩を叩く。
だよね~と2人で笑っている。
「お前って意外とそういうとこあるよな………」
「そういうってなあに、万象くん?」
「ゴクリ 失礼したっ」
圧をかけられたことを理解した万象がすぐに発言を詫びる。
「うんうん」
「ちょっとみんな! 元気なのはいいけれどそろそろ落ち着いてほしいわ。もうすぐ発表されるから」
「ごめんAnneちゃん」
「ごめーん」
「怒っているわけではないから許すもなにもないけれど」
「………発表された」
宣浩がボソリと呟く。
あわてて僕もスマートウォッチを………じゃなかったスマートウォッチもどきを開く。
「発表されたってさ」
「え、ほんと?」
「お出たな。オレは………」
あれから説得され、教科書を使って勉強することに決まった。
明日に迫っている以上やらなきゃ仕方ないからな。
勉強を始めようとしたときドアがノックされた。
2人で顔を見合わせビフテキくんが首を横に振る。
スルーしているともう一度ノックが響いた。
数秒の自問自答の末声をかけることにした僕は、ビフテキくんにドアの前でスタンバイしてもらった。
「どなたですか」
「ボクたちはここの階の住人なんだ!」
「挨拶に来たんだよ。よろしくね」
「………あ、はい。よろしくお願いします。とりあえず中入ります?」
「ありがとー!」
ゾロゾロと合計9人の自称近所の人たちを中に入れた。
「まず自己紹介をしよう。オレは森羅万象だ。よろしくな」
お面をつけた少年。
「僕は暇柱」
茶髪の少年。
「ボクはA!」
天然系だと思われる少年。
「私はAnne」
この中ではしっかりしていそうな少女。
「俺はサクラ」
笑顔がスポーツ女子系? の少女。
「夜久よ」
言い方が一匹狼な少女。
「俺は中佐」
最年長だと思われる少年。
「武田英華」
ボソリと名前のみを告げる少女。
「私は島田宣浩です」
どこか同系統の匂いがする少年。
5秒の沈黙。
ビフテキくん以外全員僕のほうを見ている。
次は僕の番らしい。
「僕はコウスケです。よろしくお願いします」
また5秒の沈黙。
全員ビフテキくんを見ている。
自らを僕の執事のようなものと称した彼のことだ、自己紹介をする必要はないと考えたに違いない。
僕はビフテキくんの肩を叩いた。
「………っ。僕はビフテキといいます。よろしくお願いします」
「呼び方だが………呼び捨てでいいよな?」
森羅万象くんは何もなかったかのように見回した。
彼が連れてきた友人は快い返事を返した。
それを確認した彼は僕らを見て意向を聞く。
「僕らもいいですよ。ビフテキくんもだよね?」
彼らも僕と同じだ、という意味を込めて軽く圧をかける。
彼には前歴があるためこうやってでも伝えておく必要がある。
「………うん」
「あの、あなたの下の名前は万象だけ………ですか?」
「ああそうだ」
「コウスケくん、タメでいいからねー?」
「多分僕たちのほうが年下だしさ」
前半がA、後半が暇柱。
「みんないくつなの?」
A、万象、サクラが13歳。
夜久、暇柱が14歳。
Anne、宣浩、英華が15歳。
僕は16歳。
中佐さんが17歳。
流石に年上の人はさん付けしようと思った。
「全員分誕生日パーティーするから楽しみにしててね」
そうなんだ。
「話変わるけど、Aが持っているその子って誰?」
「この子はねのりおせんべいくんって言うんだよ。可愛くない?」
「うん可愛い」
と僕が返すと、暇柱が目をキラキラさせて便乗する。
「ね、羨ましいくらいだよ」
「暇柱には毎日触らせてあげているじゃん」
「いや足りない」
「のりおせんべいくん、自己紹介がまだだね?」
するとのりおせんべいくんが、少々申し訳なさそうに話し始めた。
「こんにちは初めまして。僕はのりおせんべいだよ!よろしくね!」
「初めましてコウスケです。よろしく」
あの騒がしいとも賑やかともいうご近所組(僕命名)に出会ってから1週間。
毎日のように会ったから今では非常に仲良くさせてもらっている。
また、3日前に暇柱と美味しいものを食べに行った。
出会った当初から誘われていたのだ。
今日は出発テストの結果発表日である。
テストの手応えはまあまあ。しかしそう悪くないと思う。
スマートウォッチに配信されるので、夜久の部屋に朝から集まって一斉に見るらしい。
なぜ夜久の部屋なのかというと………。
「ねえ、あんたたち。なんで私の部屋なのよ?」
「いやあさあ?」
Aが万象に目を向ける。
「お前の部屋、エレベーターにいちばん近いからさ」
「それだけ? ならこいつのでも変わらないよね?」
彼女が英華を“こいつ”呼びする。
この短期間でこの2人はよく喧嘩している。
「それぐらいよくな~い?」
「ギャルぽいの嫌だわ」
「まあまあ。あんまし怒ると寿命が縮むっていうじゃないか」
「それあんたのせいよね? 責任取りなさいよ」
「もとの世界に戻ったら君とは会わないから我慢しなよ」
「そうよね、私が大人気なかったわ先輩?」
「よろしい」
3周回って逆に面白い。
「2人とも縁を切る前提で喧嘩を収めるの止めて? ボク悲しい」
「「勝手に泣け」」
「酷いよ、夜久も英華も!」
ふんぬうと頬を膨らませたAを、のりおせんべいくんが見上げる。
「主さま大丈夫ですか?」
「ボクの味方は君だけだよ………」
「A、僕も含めてくれない?」
「ごめんごめん。忘れてたよ」
暇柱の肩を叩く。
だよね~と2人で笑っている。
「お前って意外とそういうとこあるよな………」
「そういうってなあに、万象くん?」
「ゴクリ 失礼したっ」
圧をかけられたことを理解した万象がすぐに発言を詫びる。
「うんうん」
「ちょっとみんな! 元気なのはいいけれどそろそろ落ち着いてほしいわ。もうすぐ発表されるから」
「ごめんAnneちゃん」
「ごめーん」
「怒っているわけではないから許すもなにもないけれど」
「………発表された」
宣浩がボソリと呟く。
あわてて僕もスマートウォッチを………じゃなかったスマートウォッチもどきを開く。
「発表されたってさ」
「え、ほんと?」
「お出たな。オレは………」
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