魔王と! 私と! ※!

白雛

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第五章『魔王(仮)』

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 そうしてロキはなし崩し的に出陣した。
 初めて生身のヒトを切り捨て、魔法で燃やし尽くすのは呆気ないほど容易かった。彼らの時間の外を動いているような気さえした。
「大丈夫ですか? 王子」
「あ、ああ……」
 足元には今しがた動いていたはずの生き物が転がる。
 喋っていた。考えていた。もしかしたら子供がいて、国では帰りを待つ人がいたかもしれない……。
 言いようもなく、それは無惨むざんだ。
 しかし同時に、まるで未来の、自分の死体を眺めるようでもあった。
「顔色が……慣れないうちはよくあることなのです」
「慣れ……か」
「ええ。じき、慣れますよ……慣れてしまえるのです」
 兵士はくすんだ空を見ながら言った。
 そうして迎えた初陣も才知に優れたロキには何のことはなかった。
 彼は戦場にその姿を現すや、圧倒的な個の実力でもって瞬く間に各地の橋頭堡きょうとうほを潰し、防衛戦の戦況をひっくり返した。
 人類軍を海岸線まで押し戻すと、たちまち戦神アレスとして尊ばれるようになる。
(そういえば姉さんには何も言わずに飛び出してしまったな……今頃——いや、考えるな。戦場で恋人や母親を想うというのは死期を招く……まずは生き延びてみせるのだ、俺!)
 しかし戦争とは、たった一人や一つの絶対的な戦力があったからといって、どうにかなるほど甘いものではない。
 そんな思い上がりが敗戦を招くことも優にあるのが常で、絶頂期こそが最も危ういもの。
 まさにそんな脂の乗り切った頃、死線を抜けたこともあった。
 名声が広まれば、自然、個人的に狙われることも多くなる。多くの場合、戦場ではチームワークが何より重視されるが、ロキの優秀さは得てして命のバランスを失わせるものだった。
 見捨てるべき状況においてもロキならば手が届いてしまう、反対にロキを一人捨て置くような場面でもその重要さから周りは引き下がれない……。
 そうした状況がジリ貧を産むことも多々あり——そのように足並みの揃わないことは敵の軍師からすれば良い的であった。
 人類軍は半ば卑劣とも思える作戦を実行した。
 ロキではなく、その周りの兵士たちを狙った波状攻撃。つまり、ロキ一人を相手に雑兵を人質にとるかのような攻撃作戦に打って出たのだ。
 矢や魔法を始めとして、人類軍の主力にはここにきて〈ナルガディア〉のオーパーツも加わっていた。それらを一挙に用いるのではなく、時間をおいて各地の魔王軍兵士に向かわせる。
 ロキはその腕と誇りにかけて、迫りくる攻撃の全てから全ての基地、部隊を守ろうとする。しかし、一人の手ではどうしても足りなくなる瞬間が産まれる。
 そこを突かれた。
 兵士たちを守るために連日連夜、各拠点をめぐり、絶大なる魔力で防護するロキだったが、それを連綿れんめんと続けられ、力尽きたところに狙い澄ました一撃で——。
 明け方だった。
 その数日、不眠不休で野を駆け抜け、林を抜け、丘を一足飛びで越えて、人類軍の止まない波状攻撃に流石のロキも頭の深いところで重さを感じつつあった。
 若く、体力があるとはいえ、戦場でのストレスは平時のそれとは比較にならない。さしものロキであっても深部には負担が積もっていたのだ。
 それに。
(援軍がこない……これだけ長い間戦線を維持しているというのに……伝令は何をやっている? まるで——まるでそう、どちらからも狙われているかのようだ。敵を作りすぎたか)
 そんな不信感も募っていたところだった。
 一つの砦から丘陵を越え、また海岸線に近い崖に築かれた砦へ渡り、海から迫り来る無数の矢、そして魔術師どもの色鮮やかな魔法群を退けた矢先だった。
 突如ロキの背に未曾有みぞうの寒気が走った。
 感覚がその魔力を捉えるよりも早く脳髄のうずいに殺気が届き、超人的な反応速度で振り返ったところ、左右に切り立った崖の反対の方に、小さな点となって人が見えた。
 ヒトだ。砲台などではない……。
 しかし、その瞬間、そこから白い閃光が走った。
 こちらへ向かって、まっすぐに……!
 狙いすまされた一撃。光の矢はコンマ秒後にはロキの眼前にまで迫っており、ロキは考えるいとまもない薄い時間の中で、兵士たちを遠ざけるための暴風を巻き起こす程度しかできなかった……!
 対岸で光の矢を撃ち抜いた少女は、標的もろとも崖が崩落していくのを眺めると、傍らに付き添うエルフの青年と手を叩き合った。
 当時まだ候補生だったヒトの少女であった。
 これが見事に直撃し、ロキの戦力を無効化するに至ったのだ。そうしてロキが倒れれば、その場に残るは雑兵のみ。隊列は乱され、防衛線は一気に本国の懐まで迫っていた。
 初陣から一年余りが経ち、このとき十九歳。
 ロキは捕縛された。
 チームワークとは己の限界を見定め、時として必ず冷酷な判断もしなければならない。それを甘く見たロキの若さゆえの初めての敗戦だった。
 ロキの身柄は〈マリステリア〉のある〈ケツァルコアトル大陸〉の最西端、当時人類軍最大の橋頭堡として、建設されていた軍港に渡された。
 そこから海を渡り、本国〈ナルガディア〉に連行される手筈だった。
 尋問によって痛めつけられたロキはその夜、港にある営巣に囚われていた。そこへ一人のエルフがヒトの女を連れて顔を見せた。
 遠い世界の西の果て。〈レナ〉国からやってきたという学者と候補生だった。その女——葡萄ぶどう酒色のふんわりした髪が特徴的な——はロキの顔を見るなりこう言った。
「へぇ、魔王軍の王子って、〈エステバリス〉のアイドルみたいなんだ。さすが、王子様。びもしゅー」
「…………」
「インベル。あまり近づくな。こう見えてすでに百戦錬磨だ。ヒトを何百人もその手で殺めている」
 隣のエルフがこともなげに言う。
 その目は冷たくもなければ、熱くもない、まるで朝起きてきて初めのコーヒーを飲むときのような自然さで、口振りには出した言葉ほどの警戒心もなかった。
「それに顔は、王子にも、殺人鬼にも関係性はないよ。こういう話がある、昔話だ。その青年は友人を快楽殺人鬼に殺された。友人がソイツに連れて行かれるのも目の前で見ていた。しかし、止めなかった。なぜか? 友人が殺されたあとでその青年は記者に答えたよ。『顔を見て殺人鬼だなんて判るわけがない』。その青年は良い人だと思っていたんだ。ただ遊びに連れて行っただけだと……そんなものだよ」
「長い……話が。先生、それ知識マウントっていうんですよ。誰も聞いてないのに語り出して……」
 インベルと呼ばれた女は不満げに言うと、ロキにも話を振った。
「ね? あんたもそう思うでしょ」
「…………」
 バカにされている。そう思っていたので、最初ロキは答えなかった。
 インベルは気にせず、エルフを振り返って続けた。
「それに魔王国にもヒトはいる。敵なんだ。戦場での殺しは殺しに数えちゃいけないよ」
「解ったような口ぶりで物を言う女だ……」
 ロキはしかし、次の瞬間には口を挟んでいた。
 なぜだろう。この女には嘘とか虚勢とか、そういったもので答えようとする気をかせなくする力でもあるように、自然体、思ったことをそのままぶつけたくなる。
 そうしてもこの女は気にしない。
 その安心感があった。
「何が狙いだ? 嫡子ちゃくしときけばそれが魔王のものでもたぶらかしたくなったか、女」
 エルフが、ロキの話は素通りするように、こともなげに続けた。
「そうだな。インベル、君の言う通り。それは君自身が体現している」
 しかしその最中で、すっ——と突然ロキに視線を流した。
「——なぜなら、王子。君にトドメを刺したのは他ならぬ彼女なんだからな」
「な……! この女がっ!」
 インベルは後頭部をかいて照れた。無論そんな状況ではないが、それがインベルだ。
 王子捕縛作戦の要であり大トリを担う最も重要な一打は、それまでのヒトの波状攻撃などとは比べ物にならないほど強力なものだった。
 確かにロキは連戦で疲労し、動きも鈍くなっていたとはいえ、それでもまだ余力を残していたのだ。それをあの一矢が一挙に削り取った。
 ロキはそれを〈ナルガディア〉の科学による恐ろしい戦略兵器でも用いられたのだとばかり思っていた。人の手によるものではあり得ない威力だと……しかし、思い出すにつれ……そうだ。あの崖にいたのは砲台なんかではなかった。
 二つの人影だったのだ……と、納得せざるを得なかった。
(思えば、妙齢だからか……——この女、どこか姉さんにも似た甘さ。そう、母性を感じる……こんな女がいるのか、世界には……!)
 それ自体はロキの性癖による単なる偏見に過ぎなかった!
 ——が、ロキは孤独な少年時代ゆえその匂いに敏感で、母性たたえる女性と見れば親近感を、そして愛おしさを覚えずにいられないのだった。
 長身のエルフが仲介するように引き取る。インベルと呼ばれた女に空気ごと感化されたようにして、どこかすでに馴れ馴れしげであった。
「ああ、王子。君が魔王軍の百戦錬磨なら、この子が人類軍の百戦錬磨なのさ。同じように魔族をおそらく君以上に殺めている。この歳でね」
「歳のことはタブーですよ、せんせ」
「気にする歳でもないだろう」
「関係ないんですよ、せんせ」
「……なにがいいたい。何をしにきた、貴様ら」
 二人の顔を見比べて、再び口を挟むと、するとインベルはロキの目元を指すように、人差し指を突き立てて言った。
「あんた王子なんでしょ? 逃してやるから・・・・・・・国に戻って魔王を止めてこい・・・・・・・・・・・・・——」
「は——?」
「手段は問わない。殺したって、何なら私が手伝ってもいい」
 アホのように照れていたかと思えばにべもなくそんなことを言う。
 ロキは表情には出さなかったが、愕然がくぜんとした。
 インベルは続けて、これは念押しするように言った。
「あんたが想えば、私はいつでも助けに飛んでいけるから。それを信じて」
 この女は何を言っている? しかし、ロキはインベルの先の言葉を解すのでいっぱいだった。
 常識というものがないのか、この女——。
「バカな。俺の……親父だぞ。しかも俺は、その王子で……何なら父が崩御ほうぎょすれば次期魔王となるのはこの俺だ」
「あれ? きみ、その程度?」
 ロキは赤面した。
「なっ——! なんだとっ!」
「いや、それほどの魔力と実力があるなら、もっと話通じるかと思ったんだけど……期待はずれもいいとこね。がっかり」
「て……てめえ……」
「いかに地位があろうと頭が固いんじゃお先が知れるわね。おつかれ、いこう、先生」
 そう言うとインベルといった女はエルフを連れ立ち、そそくさとロキのいる営巣に背を向ける。
 ロキは逡巡した。
 永遠のように長い葛藤があった。
 まず初めに憤り。怒り。
 なんなのだ、この女は! いや女というカテゴリに留めておける気性ではない。もはや生物というべきだ。
 出会ったことのない、生物。
 信じていいのか?
 あの圧倒的なパワー。
 救世主の器……!
 もしかしたら、俺と姉さんをも助けてくれるのかもしれない……!
 時間にして数秒もなかった。この期を逃せば二度とない機会。それを失うことの恐怖を、後悔の絶望を、ロキは先見的に見抜いていた——。
「待て!」
 ロキは呼び止めていた。
 インベルが振り返る。
 その顔は得意げに微笑んでいた。
 ロキは……告白した。
「俺には……姉がいる」
 奇妙に浮いた感覚がした。
 恥ずかしいというべきか。
 話しているのが自分ではないような。
 魂の浮いた感覚。
「愛している。しかし、報われない」
「ほう!」
 インベルは鼻の穴を広げて食いついた。
 頭の隅では冷静な自分が嘲笑している。
 なにを語っている。
 赤裸々せきららな、誰にも漏らしたことのない秘密を。
 心の奥底に秘めた想いを。
 この者が吹聴ふいちょうしないとも限らないのに。
 それなのに、今出会ったばかりの女に甘えるように、ロキの口は止まらなかった。
「この夢も、貴様なら救えるのか」
「さぁ。それはこれからのあなた次第なんじゃないかしら。——でも、私は素敵だと思う。きょうだいだからなに? 愛はあらゆる障害を超えると、私は信じている」
「…………」
 ロキは言った。
 懇願こんがんだった。
「頼む。助けてくれ——」
 インベルは隣のエルフを見た。
 エルフはやれやれと肩をすくめたが、インベルはひどく満足そうな顔だった。
 それからロキをまた見て、返した。
「乗った! あんたの恋、叶えてみせるわ! その代わり、あんたは必ずそのお姉さんを幸せにしてあげなさい。あなたが王となって築く——本当の魔王国でね。いい?」
是非ぜひもない」
 数刻して、営巣が爆発した。〈ナルガディア〉の科学設備によって魔力の通じない石を用いた壁で覆われていたはずだったが、インベルにそのような常識は通じなかった。
 ロキは外に飛び出し、基地を後にする間際、インベルに尋ねた。
「なぜだ? なぜ俺にここまで……」
「首をすげかえてしまえばいいと思ったから。そして話してみればこの通り。あんたの方がずっと話が通じるわ。頭の固い親父よりもね」
 何にも遠慮のない言い方が気持ちよかった。
 ロキは笑った。
「さ。早く行って」
「インベル。感謝する。が、それはそれとして、お前個人に興味が芽生えた」
「ん?」
「真正面からやりあえば、お前と俺、どちらが強いかと」
 インベルはヒトよりも悪魔的な笑みをもって応えた。
 遊ぶことが好きなのだ。
 まず、最初に、それがある。
 生死をかけた戦いすらその範疇はんちゅう
 よく晴れた秋の空のごとく曇りなき澄みやかな条件のもとで、ただ己の真価を確かめたい。
 純然たる野生の欲求が、この女にはある……!
 それだけの時間を能力を高めることに費やしたからこその自信もあるのだろう。
 だから、この女には垣根かきねがない。
 常態の生き物が自然と持つはずの手垢てあかまみれの色眼鏡いろめがねがこの女にはついていない。
 ゆえに興味を示したものにはそれがどんなものであれ心を開き、無垢むく賞賛しょうさんし、盤上をひっくり返すような手も辞さずに打てる。最大限の効果を引き出せる。
 周囲を巻き込み、己の力に変える才能。
 王の資質。
 だから、より強くなる……際限なく、どこまでも……!
 ロキが触発されないわけがなかった。
 インベルは目の奥に闘争の焔を燃やし、含みながら言った。
「機会はあるわ。でも今は……」
 インベルが言う間にロキは頷き、
(願わくばヒトの世が彼女の瞳に曇り招かぬよう……)
 そう祈りつつ、颯爽さっそうと闇の中に消えていくのだった。





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