魔王と! 私と! ※!

白雛

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第五章『魔王(仮)』

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 二人は寺院の屋内に戻ると品物を押さえ、生き残っていた業者を捕まえて、外に並べた。
 メルキオールが尋問を続ける横で、ロキはメルキオールの出した風呂敷ふろしきの上に山と積まれたマモノンカードを数えながら、
「百二十一……百二十二……おいおい、端っこだけでこの量……お前らどれだけ買い占めてたんだ?」
 後ろ手に縄でくくられ、正座している業者に尋ねた。業者は苦し紛れに答える。
「……国中の店舗を回ってかき集めたからな……ましたから」
「〈ナサンリオ〉、〈ジョセフィーズ〉、〈ロータリオ〉、〈ケスキラ〉、〈アボルノ〉……他のアジトはこれだけですか? 隠すとろくなことになりませんよ」
「全部話した! ……ました! けど約束は守ってくださるんでしょうね?」
 話しながらも、傍らでは腹に自身の腕を乗せた巨人が野焼きのごとくごうごうと燃え盛っている。
 業者はそれを横目に戦々恐々せんせんきょうきょうと言い、メルキオールはにべもなく返した。
「ええ。全て話せばお国に帰れますよ。今日は月曜だから……週末にもね。てか、帰っていただく」
「ちくしょう……しかし、しかし、なんだってここまで!」
 だが業者は負け惜しむように漏らした。メルキオールとロキの目がようやく業者をまともに捉える。
「……あ?」
「だってそうでしょう? たかだか玩具おもちゃじゃないか! それに俺たちはきちんと正規のルートで金も出してんだぜ? ……ですぜ! 仕入れにそれだけ努力してただけとも言えるでしょう? 店舗から遠くて買えない人のために届けていたんだ! ……無論、その手間賃としての仲介料は頂くが……」
「そう、仲介だよ。仲介」
「え……」
 ロキは地を這う芋虫を眺めるような光の通わない目つきで業者を見下ろして続けた。
「誰が頼んだ?」
「…………」
「誰も頼んでねーのによ、しゃしゃりでてきて、てめえらはそれを勝手に仲介だの何だのと題目つけて利益だけ横からさらっていくだろ? そこなんだよ。虚業きょぎょうのクソさ加減ってのは。てめえ自身は仕事をしてねーんだ。てめえ自身で利益を産む努力をやめて、その努力を続ける者からむしることを考えだした横着者おうちゃくもの。それがてめえだ。ゴミと呼ばずして何と呼ぶ。実際てめえらがいなきゃ、子供たちが店頭で泣くことも、お母さんが無理して転売から高値を払うことも……」
 言いながら、徐々に……じょじょに積もるフラストレーションが、ロキの底から溢れ出す抑えきれない怒りとなって突如爆発した。
 暗緑色のオーラが決壊したダムのごとく噴出して、とたんに周囲の木々、生き物たちを即座に逃げ惑わした。
 暴れ回る巨人のそれなどよりも遥かに明確に、殺す、という意思を持った空気でもあるかのように。
「この俺様がわざわざ出向くこともなかったんじゃあねえのかっ——!」
 業者は心の臓を鷲掴わしづかみされたように硬直していた。
「邪魔してるだけなんだよ、仲介ってのはよ。楽して権益だけがめ・・てる乞食こじき野郎が適当なことほざくな。ましてや、それを一丁前に正当化してんなよ、なぁ、ゴミ野郎……。末代までぶち殺して二度と産まれなくするぞ」
 実際のところいつ何時ロキの手がその首に伸びてくびり殺してしまうかしれない。
封印されてなおこの殺気・・・・・・・・・・・……元に戻ったら……いやむしろ——この時間は若の基礎、底力を高めているに過ぎないのでは……?)
 メルキオールも隣で魔王の悋気りんきに注視していた。
(いざとなったら私でも止められるかどうか……)
「まぁいい。メルキオール、次行くぞ、次。今日はあと何件回りゃいいんだ?」
「ええと、五件ですね。国内の虫は全て払うおつもりなら」
「よし。とっとと行こう。ええぃ、胸糞悪い……」
 ロキは歯噛みしつつ、メルキオールの後を追った。

 ◇

 他のアジトも似たようなものだった。
 どうやら出張っているのは末端で大した使い手もいない。脅して吐かせればどいつもこいつも冒険者崩れで、甘言に踊らされて楽して大金が稼げると考えていたようだ。
ちたものだな、まったく。平和って実はがんなんじゃないか。詐欺とバカばかりが増える」
「それだけ、元首が舐められてるってことでもありますよ? わ、か」
 ロキは辟易へきえきして舌打ちする。
「だからこうして直接締め上げにきてるだろうが。いないぞ、自ら出向いて片っ端から殺しにいく王なんか」
「おほほほ。そんな王についていく秘書も私くらいしかいませんね。感謝してください、わ、か」
 最後の一人を締める頃には陽が暮れていた。
 当初は全員行方不明。国際会議の場で白を切って〈エステバリス〉の大統領マルティンヒゲたぬき嘲笑あざわらってやろうと考えていた二人だったが、予定を変更した。
 というのも、ケツ持ちへの意趣いしゅ返しは行えていないからだ。
 二人が相手をした連中が末端の素人集団であったことは確かだが、その一方で隠れ家と罠の用意があからさまだった。
 こんな時代でも不動産はいるし、入国には検問を通る。それらのあみにかからず、安定した菌床きんしょうを育めるのは手引きする者がいるからだ。
 そして数々のブービートラップの殺意が、それがアマチュアでないことを示している……。
 素人では鳴り子がせいぜい・・・・・・・・・・・・で、ギロチンとか吹矢とか、こんなのを用意できるのは軍人上がりか、イカれたマッドサイエンティストくらいのものだ。
 こんな末端をいくら吊り上げたところで頭が無事なら本体へのダメージは皆無かいむ、また同じことは何度でも繰り返される。例え本家本元まで切り込むことはできなくても、奴らへの示威じい行動くらいはしておきたい。今後の牽制けんせいにもなるだろう。
 そこで二人はより凶悪な……まさしく魔王とその配下らしい一計を講じることにした。
 同時に二人には先にやることもできていた。国内に潜む反逆者どもの始末である。
 末端を締め上げていくとどうやら金の流れは二通りあった。一つが〈エステバリス〉、そしてもう一つがこの国内反逆者組織だった。
 戦後、魔王国は生まれ変わったに等しい変化を遂げた。すると必ず産まれるのがそこに叛意はんいを示す者たちだ。
 旧来のまさしく魔物然とした振る舞いから人間的な理性ある社会への移行は殊にこんな奴らを多く産み、それらは当座国内に潜んで戦力をたくわえる時期に入っていると目測されていたが、
「しかし……転売なんて、少し前までは問題にもならなかったろう?」
「ここ一~二年で気がつけばどっと増えましたね。それだけ民の困窮こんきゅうがせっぱつまってきたということか……もしくは何かきっかけとなる事象が現れたか」
 アジトをしらみ潰しに回る前のこと。転売について解説する傍ら、メルキオールはそのように語っていた。
 事象に関して、まずロキが思いついたのは〈クリスタル通信装置クリスタグラム〉。
 これはクリスタルに特定の魔法を記録させることで魔力の充填さえ行えば、メルキオールやその他の高度な使い手でなくとも、平易に遠い国々の情報が得られる——情報の転移が行える——極めて魔法的な小型の通信機器のことだ。
 近年〈ナルガディア〉で開発されたものを〈エステバリス〉が改変を施した亜種が、主に国内に出回っている。
 この文化革命的な機器の出現によって、情報の取得は容易になったものの、悪意のある情報が広まりやすくもなった。すると、それだけ踊らされる連中も増える寸法である。
 国や文化の垣根が取り払われて、世界全土を母数に考えるようになった影響は、より良い効率化の手段を図れた一方で、最適解、最善、すなわち結果や数字のみを求める一神教のようにもなって、かえって不自由な選択を強いて、人々の心からゆとりを失わせる原因の一つともなり、果てにはこんな余計ないさかいも招いたわけだ。
 年端もつかない頃から多量の情報に右往左往とさせられた結果、大金を稼ぐ。名声を得る。それには手段を選ばないほうが効率が良い・・・・・と目す浅はかな若年層も後を絶たず、それでこんな阿漕な商売が流行り、それを利用するチンピラの手先にもなっている。
「あるいはその両方だな……」
 ロキはそんなメルキオールに対し、肩を落として返した。
「やれやれ……あっちを立てればこっちが立たず。平和になればなるでトンマが増えて、そのトンマがやらんでもいい余計なことをしでかして、我々の仕事が増えて……この平和ボケのジレンマはいつまで続くのかねぇ……」
「戦後は続くよ、どこまでも……ですよ、若。本来、私たちは私たちにできることをやるだけ……なんですがね。隣の芝生は青く見えるものですから。……結局、それを利用して吸い上げようという邪な思惑が見て取れるような、情報から身を守る術、すなわちリテラシーを一から育てることが急務なんじゃないでしょうか」
「その的確な人材がなかなかおらん。策謀に長けて、かつ〈ナルガディア〉の先端技術にも造詣が深く、かつ活きが良いものなど第一線で活躍している者ばかりだ。しかし、奴らは奴らで、研究の虫だからな。人に教えるより、自分でやりたがるのだ。それに戦後からここ五、六年で育った者はどうするか」
「解っているのでしょう、若」
「…………」
「私たちの手はいつも足りない。二つの腕を駆使しても足りない中で、取捨選択を繰り返していくしかない。未来のための犠牲は常に、已むを得ません」
 非情だが、あえて言っているのだ。本来ならばロキが言わなければならないし、いざとなればロキが国民の前に立って宣言しなければならないことでもある。
 事実として、そうして洗脳された若者が国内反逆者組織の主な追加人員になっているとの報告もあり、だからこそ、ロキもメルキオールも自らの手で狩りに出回っているのである。
「はねっかえりの面倒まで看てはいられない。良い子を大切にするほかありません。ややこしく立ちはだかるなら、斬り捨てるのみですよ」
 メルキオールは繰り返した。
「平和といって戦時となんら変わりませんね……」
 ロキは顔つき渋く、後頭部をかいた。
 大元は〈エステバリス〉のほうで間違いないだろう。
 〈エステバリス〉の(おそらくは政府主導と二人はにらんでいたが)ヤクザたちは国内のこんな跳ねっ返りどもに目をつけた。それで奴らを言葉巧みにたぶらかし、内部から〈マリステリア〉国民たちをいがみ合わせる対立扇動せんどうの一環として転売を用いたのだ。
 不満は不信を生み、不信は関係の破局につながる。不協和音は不況を招き、国力をゆるやかに低下させ、そこに住む人々をやがては死に追い込む。それが自滅させようとする敵対国の侵略行為に他ならないとも知らずに。
 そう、外貨を稼ぎ、その文化と技術を盗みつつ、仮想敵国への不和ももたらす一石三鳥にも四鳥にもなる、これは〈エステバリス〉の侵略行為だと二人は見定めていた。
 魔王国は戦後、こうした顔の見えない暗躍者にまんまと踊らされて、何も知らずばこのまま踊らされっぱなしというわけだ。
 もちろんそれは敗戦という事実から目を背けて、真綿まわたで首を絞めるような状況を平和と偽り、国民を煽動しつづけた戦後の国内の政治家の怠慢たいまんに必ず起因することだが、敗戦国の予後よごなんてこんなものである。
 敗戦しているのだから。
 負けているのに平和などありえない。平和は勝ちとるものと考えるべきところが、対外に睨み潰されて、そのような反骨精神の芽を自らみとり、要求に基づく妥協案を甘んじて呑み続けた結果がこれだ。戦後直後では苦肉の策であったはずが、今では政治に関わる人間たちですら、これを忘れ、本当に今の世を続けていこうと考えるだけの痴愚ちぐに成り下がっている。
 魔王の恐ろしさを再び内外に知らしめる時は近いのかもしれない。
 果てにそのような覚悟を抱いて、昨今のロキを筆頭に"彼ら"はバカ殿にふんしつつ、孤軍奮闘、動きつつあったところであった。
 本当ならば早々に国外の本元を叩きに行きたいところだが、しかしそれはもう戦争になる。そして被害に遭うのはようやく芽が出てきたばかりの愛すべき子供たち。それは二人の心情からも避けたかった。
 そこで外的には間接的な手段を用い、二人自身は先んじて国内のネズミを駆除するほうに決めたのだった。
 平和にかこつけた〈エステバリス〉の侵略工作、若者たちを哀れな傀儡にする国内反逆者組織の暗躍……。
 それらの現状を整理し終えてなお、メルキオールは考え込んで言った。
「それだけなら……まだいいんですけれどね……」
「なんだ、まだあるのか。メルキオール」
「一~二年ですよ。そこがどうにも——キナ臭い・・・・。ひょっとしたら、強力なリーダーでも現れたんじゃないかと、思いましてね……」
 メルキオールは鼻先に漂うものを嫌うように怪訝な顔で言うのだった。

 ◇

 まだまだ二人にはやることがあった。
 何よりも今を生き、将来を担う子どもたちのため。
 二人は急いだ。
 すでに陽が暮れていたが、それは二人にとってタイムリミットが迫っていることを報せるものに過ぎなかった。時間が惜しい。二人はアジトから大量のマモノンカードを城に持ち帰り、部下たちにも手伝わせて、ラッピング作業に没頭した。
「なに?! 一袋一袋ではダメなのか!」
「当たり前です。このような"とれぃでぃんぐかぁど"を購入するときには箱買いが基本ですよ、若」
「……先に言え。すでにちょっと開けてしまったぞ」
「あー! もう、何やってんですか、若。これではもう箱買いになりませんよ」
 メルキオールだけに留まらず、同じく作業に没頭していた城の召使やら甲冑騎士からも罵声ばせいが飛んで、ロキはたじろいだ。慌てて手元の袋の束を箱に詰め直して言う。
「こ、こうすればいいのでは? ほら、ええと三十で一箱だろ? これで元通りだ」
「違うんですよ、若。組み合わせができてるんです。箱には必ず何枚か最高のキラキラが入ってるようになっていて、バラにしたらもう判らなくなるじゃないですか」
「もう何やってんだか、若」
「魔王のくせにこんなこともできないなんて、若」
「き……きさまら……あまり図に乗るなよ」
 ロキがそう言って魔力を放出しかけると間もなくメルキオールの沈着ちんちゃく叱咤しったが飛んだ。
「この細かい作業をしているときにオーラなんて出したら、若、どうなるか解ってますよね」
「き、貴様が喧嘩売るようなことを抜かすから……」
「全国の子どもたちに配ってまわり、厚かましくも恩を着せたいのでしょう。そして魔王としての威厳を取り戻す、と……卑劣ひれつにもそう言ったのは若じゃありませんか」
 ロキは作業の傍ら、歯噛みして横に答えた。
「……貴様が言うとなぜとたんに下賎な詐欺師のように聞こえてくるのだ? 俺が言ったのは……」
「男が一度言ったことを取り下げて逃げるんですか、はぁ、情けない……」
「ぐ、ぬぬ……みんなで責めるから、トラウマ蘇って、ちょっと泣きそうなんだけど」
「なら、ほら、口より手動かしてください。若、若」
「ぐおおおお」
 その夜、城の王室周りの灯りが消えることはなかった。
 作業は夜を徹して続けられ、鎧戸から朝陽が差し込むのを眺めるなり、ロキは言った。
「明日でよくない? 明日で」
「若! なんてことを言うのです!」
「だって、もう眠いし、頭まわんないし、考えてみたらこんな顔で外歩けないよ。みっともない、そうでしょ、メルキオール」
「徹夜に駆り出した皆の苦労を何だと思ってるのです。ここまできて」
「いや、なんか、ここまで来たからこその疲労感と睡魔エグくてもう……」
 すると、召使の一人が挙手して提案した。
「……歯、磨きましょう。ミントの葉を混ぜて歯を磨くのです。そうしたらさっぱりして、少しは眠気がとれるかと……」
 川辺に行き、印象派の絵画のごとく滲んで白む空を、皆でぼんやり眺めながら歯を磨いた。
「ブラシは歯だけじゃなくて、歯ぐきにしっかり当てるんですよ。そうやってマッサージするとツヤも良くなるんです。きちっと歯と歯の間、歯と歯ぐきの間にもブラシを入れて……」
 皆でもがもがする中、気を紛らわせるためか、召使がつらつらと説明していると——ばしゃり、と顔面に水が飛んだ。
 水滴のぽたぽたと垂れる顔を横に向けるが、隣のロキを始め、皆、知らん顔して歯ブラシに精を出している。
 召使は哀しげに言った。
「……あれ、あれ? 今の、なんですか。若」
「え? 何のこと? ……あら! どうしたの、びしょびしょじゃない! あまりの眠さに顔でも突っ込んだ?」
「若……人がせっかく」
 ばしゃり。
 召使が二の句を告げる間もなく再び水が飛んできた。もはやエプロンまでびしょびしょである。
 ロキは川辺に屈み込み、召使を振り返りながら、にやにやと口元を緩めている。
「……だーっ! この青二才! 人が眠いの我慢して夜通し付き合ってやったと思えば!」
 そう怒鳴る矢先にも水飛沫が再三顔面を濡らし、いよいよ召使の女も川に足を突っ込んで、ロキに水をかけだした。
「ひどい! ひどいじゃないですか、若! もう!」
 ロキは歯ブラシを口にくわえたまま言い返した。
「さっきっから、こまごまとうるさいんじゃ! 神父の聖書読み聞いてるみたいで余計眠くなんだよっ! やめろや!」
「私は良かれと思って——」
「なにをちちくりあってんですか、まったく、王とその召使ともあろう者らが……」
 ばしゃり。
 そう言って冷静に仲裁に入ろうとしたメルキオールの顔面にも水が飛んだ。
 ロキは川の中ほどまで浸かっている。そうして言った。
「よくも貴様ら昨夜は俺をコケにしてくれたな! 仕返しじゃ!」
「若……この私を本気で怒らせるとどうなるか——」
 ——ばしゃり。
「知るかボケ! 最近貴様、俺に対する態度が杜撰ずさんだからな! 今日こそ格の違いを解らせてやるわ!」
「キーっ! このクソ魔王様が、下手に出てりゃつけ上がりやがってーっ!」
 メルキオールは杖で川の水を球状にすくいあげると、川の二人めがけて放った。
 どっぱーん。
 全身をずぶ濡れにしながらロキは返した。
「メルキオール……それは反則……」
「反則も何もありますか……勝ったものが正義なんですよ。それが摂理」
「……なんで私まで……」
 びしょ濡れになった召使が前髪を垂らし、亡霊のように両手を下げて言うと、横でロキが一層ムキになって続いた。
「クソがーっ! なら俺が勝って、正しさを証明してやる!」
 足の先に至るまでびしょびしょになりながら、気付くと皆して水掛け遊びに精を出していたのだった。





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