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メン限的な見たい人だけギャグなし話
特別第十一回『悪の素質とぼっちちゃん最強説』
しおりを挟む「一つ、重大な告知が」
「夜中の告知とか、もう爆弾以外の何者でもない」
「私の恋愛遍歴について少し語っとこう」
ミカは語った。
「例のあれやこれやが出たので、そのノリというかフォローというか、ひどい。あれはひどい」
「あれやこれやが最近多すぎて、どのあれやこれやかわかんないんですよね」
「この日この時この神ってことで察して。ちなみにこれ汚名を避けるとかの意味じゃなく、明言すると神はアンデッドさんじゃないよ。前にも言ったけど、一回メンシ入ってみて、メン限のあまりの1984年感に即抜けした人がこれだよ」
「あー、これはわかりました。はい」
「で、長らく擁護はしてきたけど、これは流石に無理。かつこういう人の皮を被ったクソってのは、男も女も関係なくいるよってのを便乗して、世に向けて注意喚起したくて立てたよ。というのもだ」
「お」
「神もまるで同じようなことをされたことがあるから」
「そっちの告白かい」
「うん。あまりにやり口が似てて同一人物かってくらい話から感じる印象が同じだったから、シンパシーを覚えてしまったんだ。で、ぶっちゃけ言うんだけど、たぶん、私らの好きになる=そいつクズの方程式あるよ」
「あー、ダメ男ダメ女好きみたいな……」
「うん。なんか鼻が効くのかもしれないよ。私も生まれ変わる以前からこの人嫌いじゃなかったけど、それゆえに絶対性格悪いだろうなって確信があったよ。センサーが働いたよ。メンシ入る前からヤバそうなのはわかってたけど、前述のダメ好きゆえに一回は入ってしまったんだ。でもメン限配信見て答え合わせした気がして、即抜けした、というのが顛末」
「ほうほう。ダメ同士惹かれ合うってことなんですかね」
「引力というかさっきも言った嗅覚みたいのは働くと思うよ。話し方とか耳にするだけでわかる人にはわかるものがあると思うよ。で、ここから、我々の未来のための話をしたい」
「ふむ。誰に向けてなんでしょうか。全国のダメシスターブラザーたちに対してでしょうか」
「過去の経験を踏まえて考えてみると、好かれた方との関係は上手くいってた気がするんだ」
「なるほど。自分から好きになったということではなく?」
「そう。向こうから来た人。その人は一般的な感性の人だった気がするし、関係もすごく健全だった記憶がある。それを踏まえると、我々ダメ好きは好きをセンサーに変えるべきだと思ったんだ。そして、それは好きではない。なんか同族に対する憐憫というか判官贔屓みたいなものだと認識するんだ」
マギは実しやかに何度も首肯した。
「なるほど。なるほど。ダメ好きは意識を変えるべきだと。好きになる=ダメ人間で、それは好きというわけではなくて、同族を見つけて嬉しい、ようなものなんだ。まさしくセンサーとして、自分の能力を認知し変えろと」
「そういうこと。これ、似たようなことをウメハラさんも言っていて、『自分は表情とかでそいつのヤバさがわかる』と。『笑ってたり、普通に接してるように見えて、自分からするとツノ生えてんじゃん、皆には見えないの?』って感覚の人がいて、自分は近寄らないと」
「あー、そういうのわかる人もいますよね。たまに」
「うん。で、ウメハラさんの感じ方と私らの違いがまさにそこで、ウメハラさんは近寄らないけど、私らは嬉しくてむしろ率先して近寄って行ってしまうところがあるように思う。その脳の認識のズレを自覚して、ウメハラさんのように避けるセンサーに変えてみては? って提案。近づきたくなるかもしれないけど、そこはぐっと堪えて。だって、経験からわかるでしょ。自分から興味を持ったからには、そいつはヤバい奴なんだって」
「パイセンにしてはえらく協働的な話ですね」
「うん。もふさんのクリスマスの奴とか、あんな感じのことをマジでやられたことあるんだ。神も。で、シンパシーを感じて、私もそうした人に向けて、そうした人だけがわかるような改善策を提案したかったんだ。幸せになりたいじゃん。で、そんな改善策があると思ったなら、どうせならみんなで、共有したほうがたくさんの人が救われるかもしれないじゃん。代わりにクズは滅びる」
「うんうん。パイセン、それまさに共感性じゃないですか?」
「いいよ。信じすぎてはいけないってのもそうなんだけど、そもそも信じるに値しないクソもいるんだよ。ベニーがロックに言った、真っ直ぐに見てはいけない類の人たち。で、前向きに考えればね、きっと私たちにはそれを見分けることができると思って。この、きっとこれまでは自分が抱えて鬱になるだけだった能力を前向きに活かせれば、と思って。その方法を伝授したいと思って」
「わかってしまった。私……パイセン? 自分から好きになればなるほど、そのセンサー濃い目に働きませんか? とすると、パイセンの元推しって……」
「わからん。正直その遍歴ゆえ、経験則ゆえに、疑ったというのも事実としてある。自分が好きになる=クズは以前からある感覚だったから。しかし、元推しに関してはわからん。憶測に過ぎん。今回は別の人に関して裏が取れたようだから、注意喚起として言ってるだけ」
「パイセンが好きになるシン・アスカを代表とした、いわゆるヤンデレキャラに関して、趣深いことを言った人がございまして。彼ら彼女らって、好きになった相手がどんなクソだろうと決して責めないんですよ。最後まで健気にかばう。でもそれが、いわゆる悪男悪女に振り回される原因にもなってるって示唆が」
「ほう」
「その通りじゃね。パイセン……」
「まぁ、元推しだから。もう知らんよ。今は忘れたい」
「あ! だから弱さ!」
「ん?」
「だから弱さを振りかざすんです、そういう彼ら彼女らは! パイセンが元推しに惹かれたのってどこでしたか? 具体的には?」
「この人、生きづらそうだと思った。で、私はわかるなーって思って」
「それだ! 彼ら彼女らはすでにわかってんですよ。自分の弱さがセンサーになることを。弱さをセンサーにして、ぼそっと生きづらいようなことを告白して、同情を買う! そしてかかった獲物を捕えるんです! クモみたいに!」
「あ……」
「まさしく共感を利用されてんじゃないですか。パイセン、共感性むしゃぶりつくされてんじゃん!」
マギは続けて、ミカの正気を取り戻すように言った。
「パイセン、わかりましたよね? もう絶対ダメですよ。それはもしかしたら、見る人が見たら、ツノが生えてるヤバい人かもしれません!」
「でも、私らも大概そうじゃね?」
「え、あ……」
「あと、その論理でいくと、ぼっちちゃんは最強の極悪女の素質があることに」
「あ……」
「あと今回の話には関係ないけど、リョウさんの性格、普通に悪いよね。ぼっちちゃん大抵面白いけど、あの絡みだけは私、笑えない。あれ、リアルでいたら、近寄っちゃいけないって警告するレベルの人だと思う。ベースの人ってそういうイメージなんだろうけど……」
とっさにマギはカメラのスイッチを切った。
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